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【大江健三郎】何を書いても、大江健三郎であること。

この作家はまだこれを
書き続けているんだあ?
と感嘆したのは、宮本輝だ。

ライフワークというべき
「流転の海」シリーズは
1982年から2018年まで、
36年以上かけ、全9部作を
完成させました。

そんなに一つの作品に
いつまでも自分のエネルギーを
傾けることができるのか?と
彼のポテンシャルの高さを
教えられた気がします。

普通は、作家はたいてい
好奇心の塊だから、
どんどんと関心が移っていく人が
多い気もするんですが、
そういえば、
大江健三郎も、
『個人的な体験』以降、
ほぼ、どれを読んでも
この作家のメッセージと願いは
変わらず刻まれていますね。

そういう意味では、
同じシリーズではないものの、
大江健三郎は、
『個人的な体験』
『万延元年のフットボール』
『人生の親戚』
『レインツリーを聴く女たち』
『同時代ゲーム』
『新しい人よ眼ざめよ』を
読んできましたが、
どれも、
人物キャラクターはほぼ一緒だ。
責めているのではないですよ。

逆に凄いんですよ。
どこまでも
何を書いても、誰を書いても
常に大江健三郎であるのですから。

もちろん、上に挙げたのは、
大江さんの中期の作品群で、
中年期にとりかかった、
チカラも安定していた作品ばかり。

青年期はもっと
あれこれ、テーマや文体も
チャレンジしてますよ。

ですが、それが天才ゆえに
青年期には、すでに完成され、
青年期の末には
安定した代表作を
次々と書けたんですね。

まあ、村上春樹と違って、
広くに読まれてるかどうか
ノーベル文学賞作家のわりには
悲しい側面もありますが、
大江さんはなかなか手が出ない、
という方には、
『個人的な体験』あたりを
オススメしたいと思います。

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