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【訃報】山本文緒さん、58才。恋愛小説黄金時代の名手でした。

訃報に触れて、こんなに
動揺するとは思っていませんでした。
山本文緒さんが58才で
亡くなったそうです。

山本文緒といえば、
恋愛小説の名手でした。
『恋愛中毒』はキレキレな作品で
『プラナリア』は王道の傑作でした。

あの頃、
今から27、28年前は、
もうバブルは終わったとはいえ、
恋愛小説や恋愛ドラマは
ますます勢いづいてました。 
照りつけるように火照った、
恋愛小説黄金時代でした。

とりわけ、自分自身も
20代だったから、よく恋もしていて、
そんな自分に重ね合わせやすかった。
一行一行が頭に入ってきやすかった。

また、江國香織、鷺沢萌、角田光代、
唯川恵ら、よきライバルも絶頂期で、
恋愛小説の世界を賑わせていました。

でも、私が山本文緒さんに
特別な想いを抱いたのは、
その後でした。

2001年に『プラナリア』で
直木賞をとった後、
しばらくして、彼女は
うつ病になってしまうんです。

それからは、
抗うつ剤のせいか、
シルエットが急にふくよかに
なっていきました。

同じ境遇にあった私は、
彼女がかなりきつい薬を
飲んでるんだなあと心配でした。

でも、数年前からは
本格的に作家として復活し
山本さんならではの
生きづらさを抱えつつも
人生すてたものではない、
そんな女性たちを描いた作品を
ゆっくりしたペースで、
出し続けてました。

今日の訃報記事では
すい臓がんが原因とありました。
悲しいことに違いはないのですが、
うつによる自殺ではないことに
うっすら安堵してしまいました。
いや、これはだめですね?

これからだったでしょうに。
作品をまだまだ書けたでしょうに。
悔しいですね。

うつがなおったら、
今度はガンが彼女の前に
立ちはだかったんです。
ムゴい。

こんなにも酷い仕打ちが
続きながらも、
亡くなる少し前まで作品を描いてた
という勇姿の知らせは
わずかながら希望をくれました。

山本文緒。58才。あまりに若い。
あまりに惜しい。合掌。

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