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【西加奈子】病を得て、作家は変わるのだろうか?

病気は、作家を変えるだろうか?

4月19日、西加奈子の久々の
新作が書店に並んだ。

発売前から注目されていたのは、
今回は、自らの乳ガンの闘病記
だとわかっていたからです。

闘病記かあ、
と最初は私は引いてしまった。
それに、私はオッサンだ。
乳ガンは余り縁がない、
と、考えていた。
これが私の浅さだ、(汗)。

私の母や、
また、弟のパートナーが
乳ガンになったら、
それでも「縁がない」と
甘いことを言ってられない。

ここは、西加奈子本を
いつも通り読もうと思った。

そうして、読み始めた。
やはり、どこか、
今までの西加奈子ではない、
そんな気がする。
ポジティブな面は健在だけど、
ネガティブさはない。

かつての西加奈子は
ポジティブもネガティブも
清濁併せ呑むパワーが凄かった。
清濁併せ呑めるのは、
バイタリティが凄いからだ。

さて、病を得て、
西加奈子は変わったのだろうか?

今回は、たまたま闘病記だ。
治療法や医師やナースとの
やり取りがよく出てくる。
その辺りは、ナイーブに
ならざるを得ないし、 
繊細な話だから、
それは、いつもの
西加奈子ワールドのまんまでは
行けないでしょうね?

ただ、今回の作品は、
大きな分岐点になるのは
まちがいない。

西加奈子といえば、
私には、バイタリティの塊り
というイメージしかなかった。

一度行ったトークショーでは、
話し相手の穂村弘に
話すスキマを与えない
バイタリティの塊でした。
一人でしゃべりまくるから、
聴衆側はちょっと引いていた。

また、村田沙耶香さんの
エッセイによれば、
(二人は仲良しである)
二人を知る文芸の編集者が
村田さんにこっそり、
「西加奈子には気をつけろ。
西加奈子とは親しくするな」
という不可解なアドバイスを
言ってきたという。

あんなにパワフルで
バイタリティに溢れる西加奈子に
村田さんのような人が
仲良くしてるのは、
まるで、振り回されてしまい、
創作の妨げになるにちがいない、
という心配をしてしまうのも、
分からなくはない。

それくらい、西加奈子の
生命力は凄まじいのですが、
そんな彼女が、
病を得て、果たして
どんなふうになるのか?
または一切変わらないのか?
それを気にしながら、 
今作「くもをさがす」を
読み続けようと思います。

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