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【読書欲】本が点から、面や立体に見えたら、もう後戻りはできません(笑)。

本を普段は読まない人から、
よくオススメ本を聞かれる。
何かをお勧めして、
良かったと言われると嬉しいですね。

それからしばらくして、同じ人から
「またオススメはない?」と聞かれる。

え?この前の作家を
もっと掘り下げたらいいのに…
気にならないのかな?と感じつつ、
「この前の作家の作品の
前作とか?新作とか?
読むときっとハマりますよ」
と返すと、
「いや、もっと色々な人を読みたくて」

はああん!!
そうか。本好きではない人には
本は「単品」「単体」として
存在してるのかあ。

本好き人間には、
本は「線」や「面」や「立体」に
見えていたりしません?

自分の好みに合う本を探すのは、
だからその線や面や尾根を辿ればいい。

好きな作家や本に出会うと、
同じ作家の、他の本を読みたくなる。
彼&彼女は世界をどう感じ、
どう書いているか、
また、その変化が気になるんです。

単品の評価で&はなく、
ヒット作を書いた後も、
続いて人生を生きている人として。

また、彼&彼女が書評エッセイで
すごく衝撃を受けたという本も
気になりますね。
きっと影響受けてるでしょうから。

本を単体ではなく、
面や尾根として感じるのは、
デビュー作から新刊まで調べ、
作風の流れを追いかけて、
彼&彼女がどう変わって行ったか、
ちょっと調べると、
新たに読みたい本や作家が
続々とでてきますね。

それで自分の好みのアタリをつける。
見当が付かない時は、
エッセイや短編集からも入る。

数珠繋ぎ式で、もうきりがない。
ヤバい。お金が…!(笑)。
こんな時はブックオフや図書館も
大切ですね。

例えば、
三浦しをんの
『まほろ駅前多田便利軒』を読む。
いたく感激する。
彼女は他の作家の解説をよく書く方で、
三浦しをんが巻末解説を引き受けてる
作家を、知る。読む。調べる。
世界観がなんとなく自分にも合うなら、
その作家もまた、
デビューから最近まで追って、
一通りパラパラ読んでみる。

三浦しをんはエッセイも若くして
既に名人ですが、
エッセイがうまい女性作家なら、
須賀敦子や武田百合子という、
巨大な山が見えます。

武田百合子を慕う作家は沢山いて、
武田泰淳や色川武大、埴谷雄高、
大岡昇平ら、戦後の巨人が姿を表す。

夫の武田泰淳に近づくと、
彼は戦後の文壇の重鎮だったから、
武田さんと問題意識を共有した
開高健たちがまた視野に現れてきます。

吉本隆明、鶴見俊輔、開高健、堀田善衛。
もうきりがないですね。

須賀敦子を読むと、
また、同じくイタリア関連で
塩野七生が、浮上してくる。
(須賀さんと塩野さんは
仲は良くなかったらしいというのは
かなり有名でした)。

須賀敦子全集を読み始めたら、
その責任編集を担った池澤夏樹を知る。
池澤さんは最近、稀にみる画期的な
日本文学全集や世界文学全集を
編んだから、そちらの顔ぶれがまた、
目に飛び込んでくる。
石牟礼道子、トマスピンチョンを知る。
アイザック・ディネーセン
(映画「バベットの晩餐」の原作)も
知る。

本の世界は、
ただ履歴から作られた、
『Amazon購入お薦め』にはない、
有機的な、立体的な、人間らしい
繋がりで出来ているようですね。

それを何かの形で表現できたらいいな。
こうした、有機的な繋がりは、
本だけではなくて、
きっと、その道の人はきっと
同じように、宝物の山を巡るように
歩きまわるのでしょうか。

その過程もまた「楽しき読書」
かもしれませんね?

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