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【本の編集】宮沢賢治文庫本、私ならこう編む?あなたならどう編む?

今週、宮沢賢治の研究者で有名な、
天沢退二郎さんがなくなった。

天沢退二郎さんといえば、
新潮文庫の宮沢賢治本の全ての
巻末解説を書いていた方ですね。

ちくま書房の宮沢賢治全集で
読んできた人でない限りは、
たいていの方は、
新潮文庫の編集部や
天沢退二郎さんの影響を
知らず知らずに受けてきました。

自分はあまり宮沢賢治の
良き読者ではなかったから
天沢退二郎さんには
感謝こそすれ、
反対意見はありません。

でも、ちょっとした違和感は
感じていましたね。 
もう少しちがう作品分けになっていたら、
私の宮澤賢治ワールドも
ちがっていたにちがいない。
そんな矢先に、
天沢さんの訃報を聞いて、
偶然にも思えなくなりました。

新潮文庫での、
宮沢賢治の編み方は、
4冊に分けられています。
『注文の多い料理店』
『銀河鉄道の夜』
『風の又三郎』
『ポラーノの広場』
それから、詩歌は散文とはまた別に
『宮沢賢治詩集』。
こんな具合に、
新潮文庫編集と天沢退二郎さんは
宮沢賢治を私たちに
提示してくれていた。

ところで、
個人的には、
「セロ弾きのゴーシュ」が
いちばん好きで読み返してきました。 
セロの腕がまだ未熟なゴーシュの家に
ヨナヨナ、動物たちが訪れて、
その度に曲を猛烈に弾いていく。
気がついたら、ゴーシュは
セロを引く腕前が上がっていた。

これは、宮沢賢治の作品の中では
通俗的です。かなり俗っぽい。
でも、私はそこが好き。

ただ、新潮文庫では、 
この作品は『銀河鉄道の夜』という
文庫に入っています。
「銀河鉄道の夜」自体は
とても美しい世界です。
そこが私にはどうも違和感が…。

宮沢賢治は多面体な創作だから、
どう編み上げても、
みんなが納得するような編集は
やはりできないでしょう。

いっそ、書いた時期に合わせて
5冊くらいに編み分けてみるか?

または、中身に合わせて、
動物がメインの童話群、
仏教思想が色濃い作品群、
「グスコーブドリ」みたいに
宮沢賢治の実人生がふんわりと
反映されている作品群、
宇宙や自然の深さ怖さが如実に
描かれた作品群、
たとえば、こんな風な区分け方で
編集し直したら??
宮沢賢治の世界は、
きっと今とはちがった見え方に
なるのではないか?

本当に、宮澤賢治は、
もっともっと色々な編み方が
できるに違いありません。
あなたなら、宮澤賢治作品群、
どんな風に編みますか?

あ、でも、こんなこと言ってると、
宮沢賢治の研究の第一人者だった
天沢退二郎さんに
鋭いツッコミをたくさん
入れられそうですね(汗)。

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