見出し画像

【実用本を出すなら】企画を持ち込む時、大切なのは、編集者をその気にさせること

実用書を出したい方へ②

以前、本を出したい方に、
出版社20年勤務の体験から、
ご参考になればというお話を書いて
お届けしました。

特に、小説とは違って、
ビジネス書や実用書、
自己啓発書は、登竜門になる賞も
余りないから、
始め方がわからないですよね。

今回は、私のところにきた例を
挙げて解説させていただきます。

ある日、自分の元に、
人気漫画を使った実用書の企画が
来た時がありました。

「『スラムダンク』で学ぶ
メンタル・トレーニング法」
といった趣旨でした。

マンガ編集者の誰かに頼めば、
スラムダンクの井上先生の協力を取りつけ、
絵柄を本に使わせてもらえる。
説得力も倍増するでしょう!
というのが企画の狙いでした。

その時の企画立案者は
メンタル・トレーニング界では
既に何冊か入門書を出してる人でした。

それに『ドラえもん』で学ぶ漢字?
『ちびまる子ちゃん』で学ぶ英語?
みたいな本はしっかり売れてます。
漫画でコラボという実例はアリです。

スポーツ漫画で
メンタル・トレーニングを
解説できるなら当たるに違いない、
と思ったのでしょう。

『ちびまる子ちゃん』や
『ドラえもん』は、
もうスタジオ制で、
アシスタントが描いているから、
色々なオファーにも
事務所として対応してくれます。

しかし、魂の作家であり、
アーティストのような存在である
井上雄彦先生には、
そのオファーはどうだろう?

ただ、先生をンムっと言わせる
口説くワザがあるなら
それもできそうですが、
立案者は特に『スラムダンク』に
大ハマりしてる訳でもなかった。
読み込んですらなかった。

さすがに、それは、
企画持ち込み人として、
井上漫画へのリスペクトが
足らないのでは?と思いました。

これで、もし立案者が
スラムダンク愛に溢れてたら、
また、それがメンタルトレーニングに
なるならば、私にも熱が移って、
腰を上げたと思います。

スラムダンクに込められた
メンタルの秘訣が読者にも、
必ず伝わりますね、と
確信を持てたならば、
プロジェクトとして
うまく行ったかもしれません。

このコラボ企画が
絶対に行けると思えたら、
必死で作者井上先生を
攻略するよう、作戦を
何ヵ月も練ったでしょう。

「ヒット漫画とコラボしたら
売上も倍になるでしょ」的な
安易な発想ではなく、
立案者には井上雄彦先生への
リスペクトが最低限、
欲しかったんです。

それがあったら、
まず私が説得されて、
社内企画会議に自信を持って出し、
会議でゴーサインが出たら、
井上雄彦先生と交渉して…
という流れになったでしょう。

だから、企画立案者は、まずは
チームの一員になる編集者が
モチベーションを持つよう、
一緒に動きましょうね、という
何かさえあれば、、、、。

よく本の企画立案には、
マーケティングが大事!
ターゲット対象の確定が大事!
なぜ今かの掘り下げが大事!
企画のコンセプトが大事!
などなど、色々難しそうなことが
言われています。

でも、まずは、同じチームとして
一緒にプロジェクトを 
やっていきたいなと、
思わせることが一番大事だ!
と改めて痛感します。

逆に言うと、コンセプトや
マーケティングはさておき、
一緒に頑張っていこうという気に 
さえさせてくれれば、
他の要素は、途中で、
チームとしてブラッシュアップ
できるかもしれないですね。

ちなみに『スラムダンク』には
文春文庫で、
スラムダンクを題材にした
教育学・斎藤孝さんの青春論
『スラムダンクな友情論』があります。
企画書次第、交渉次第では、
井上先生も相談に乗ってる訳ですね。

今、実用書を世に出したいと
お考えの方は、
まず企画を持ち込む編集者を
「その気にさせる」ことが第一です。 

出版社への攻め方について
ご参考になれば幸いです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?