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【読書】リフレッシュしたい時は、若手、海外、昭和に限る?

いつもの顔触れではなく、
たまにはちょっと変わり種の
本を読んでみたくないですか?
本屋さんで単行本や文庫の棚を
うろうろしてると、並んでいるのは、
出版社が売上を見込める
作家ばかりに偏っていますね。
東野圭吾、宮部みゆき、
誉田哲也、堂場瞬一、今野敏、
林真理子、村山由佳、原田マハ、
朝井リョウ、中村文則、、、
まあ、顔馴染みというか、
目馴染みの作家が並んでいる。

たまには違う味を食べたく
なるように、たまには
違う本を読みたくなりますね。

上記の作家を避けて
新鮮な本選びをするには、
3つの道があります。

まずは「若手」を選ぶ道。
先日「本屋大賞」をもらった
町田そのこさんや
その「同期」を探してみる。
深緑野分さんや加藤シゲアキ、
前回の本屋大賞・凪良ゆうさん、
あるいは変わり種としては、
ジェーン・スーさんに手を
伸ばしてみるとか。
こうした人を探すのに
今は便利な機能がありますね。
Amazonで「町田そのこ」を
検索してどれか本を選んだ時に
あなたにこんな作品も
オススメですよと新進作家が
出てきますよね。
昔はこのAmazonの機能が
嫌いでしたが、まあ、
統計的に作ってあるデータだから
ある程度は頼りになるんですね。
データに頼るのは悔しいけれど(笑)。

彼、彼女らの作品を読むと、
最初に挙げた平積み常連作家ほど
まだ手練れになっていなくて、
新しい挑戦をしているのが判ります。
新鮮というかチャレンジというか
そんな発展途上を味わうのも
また読書の楽しみでしょうか。

新鮮な気持ちで本選びをする
2番目の道は、海外翻訳に
目を移す道ですね。
アメリカ、イギリスはもちろん、
北欧ミステリーも定着したし、
最近は韓国文学の目覚ましい成果が
実ってますね。

さて、もう1つの道は
実は私としてはこれを一番
オススメしたいのですが、
戦後、戦中、戦前の文学を
ちょっと覗いてみる道です。

川端康成と同じ世代では
横光利一がいます。
非常に色々な小説を
書いていますが、今は
新潮文庫に辛うじて一冊、
岩波文庫で数冊。
でも、ネットの青空文庫なら
横光作品は全部読めますね。
『風たちぬ』の堀辰雄や
文藝春秋の創業者、菊池寛も
今読んでも通じるものが。

太宰治と同期では
私小説家や無頼作家が
現代の出版界では
ごっそり忘れられています。
講談社文芸文庫が辛うじて
昭和戦前や戦中、戦後の
作品を出しているだけ。

私小説作家では
葛西善蔵、嘉村礒多の
ツートップは凄い。
自分の惨めさを精一杯に
描写していて胸を打たれます。
自己破滅的といいますか。
これらを読むと、太宰治の
ウジウジさなんてまだまだ(笑)。
葛西や嘉村の自意識は
凄まじいばかりの豪速球です。

私小説で中でも人気だったのは、
川崎長太郎さん。
小田原で毎晩せっせと色街に
通っては、トタン屋根の
物置小屋で暮らしていて、
その色恋話を赤裸々に書いて
人気作家になっていました。

中でも注目を集めたのは、
映画監督・小津安二郎と
同じ女性を取り合い、
三角関係になりながら、
どっちがその恋を成就するか
世間をヤキモキさせた話。
相手は映画界の大監督。
川崎長太郎に勝ち目は…?
最後、どっちが女性を射止めたか?
それは読んでのお楽しみということで。

私小説ばかりではありません。
牧野信一や井伏鱒二、坂口安吾、
織田作之助らは
純粋な私小説とは違っていて、
自分をユーモラスに捉えながら
書いているから読みやすいです。
自分との距離を心得てた名人たち。

若手に手を伸ばすも良し、
海外翻訳の扉を開くもよし、
昭和文学の隠れた宝物を探すも良し。

時空間をあちこち移動すると、
よい刺激になりそうです。



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