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【戦争】皮肉にも、今、戦争文学が売れている…

今朝、電車に座ってると
隣の青年が文庫本を読んでました。
このスマホ全盛期、
動画かゲーム全盛期。

本を読んでる人がいるだけで
もう表彰状をあげたいわあ(勝手に)。

何を読んでるのかな。
ふと、チラ見すると、
ページの左上にある
肩小見出しに「兵士の荷物」と
いう文字が目に入ってきました。

あれは、紙から考えると
生成り色だから、
新潮文庫か文春文庫かな?

それで、グーグルで
「文春文庫」「兵士の荷持」で
検索したら、タイトルが出てきました。
ティム・オブライエン
『本当の戦争の話をしよう』
訳は村上春樹。

本当はこんなストーカーみたいな
こと、しちゃいけないんですよね?
ごめんなさい。

ただ、隣人が何を読んでるか
すごく気になってしまう、
知りたくなるのです。

モラルとして女性には
このチラ見検索はしません。

それにしても、
会社員風の青年が
オブライエンの戦争小説を
朝から読んでいるんだ。
決しておもしろいとか、
読みやすい本じゃありません。
それを青年が読んでる。
素晴らしいなあ。
嬉しいなあ。

その本はベトナム戦争で
苦しい体験をするアメリカ兵の
人生がつまった短編集です。

今、海の向こうでは
戦争が起きていますね。
それ自体は悲しくて
忌むべきことだし、
早く収束して欲しいんだけど、
日本人が戦争小説に関心を持つには、
本当の戦争が
海の向こうで起きでもしなければ、
なかなか、読む機会は
無くなっていたから。
日本はなんだかんだ、
戦争から縁が薄い
奇跡的な80年を送ってきたから。

私の出版社でも、ウクライナ作家の
本が売れていて、重版もしましたが、
喜んでいいのか複雑な心境です。

戦後小説や戦争小説が
もっと読まれて欲しいと
いつも思ってましたが、 
皮肉にも、
戦争が起きるという事実が
一番のトリガーになるんですね。

私がオススメしたい
戦争文学の一部を紹介させて下さい。

オブライエン
『本当の戦争の話をしよう』
ベトナム戦争の短編集

橋本治『二十世紀』
一年ごとに考察する
100本のエッセイ集。

吉村昭『零式戦闘機』 
ゼロ戦の誕生を追うノンフィクション

開高健『輝ける闇』 
戦争の真実をえぐるフィクション。

半藤一利『日本のいちばん長い日』
ノンフィクション

井伏鱒二『黒い雨』
原爆をテーマにした小説

坂口安吾『白痴』
戦争を追求した安吾の屈折した作品

山田風太郎『戦中派不戦日記』
学生時代の日記

カート・ヴォネガット
『スローターハウス5』
ヨーロッパ戦線の悲劇を問う問題作

堀田善衛『方丈記私記』
空襲に逃げ惑う青年、堀田善衛の
敗戦間近の体験記

まだまだ、おもしろい戦争文学は
いっぱいありますので、
また切り口を探して
記事にできればと思います。

それから、
どうか一日も早くウクライナに
平和が訪れてくれますように。

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