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【編集部】私ももう少しで大バッシング受けるところでした?

大人がいない編集部は危ない。

今さら感も感じられるかも
しれませんが、
小山田問題についてです。
出版社の編集部には、
様々な人材、スタッフが
良くも悪くも離合集散して
出来上がっています。

数年前に扶桑社の「SPA!」で、
ギャラ飲みに来る女子大生で
どの大学が一番男子に都合いいか?
ランキングをしたことがありました。
「セックスできる可能性が高いのは
どの大学か?ランキング」です。

これ、下品ですよね。
しかもどの大学も名門でした。
(私もちゃっかり見ちゃいました、汗)

普通、これは男子ばかりの、
それもヒドイ男子ばかりの、
夜中の酔っぱらいが
繰り広げるヨタ話です。

これを、大の大人が
十数人もいるSPA編集部が
真面目に3?4?ページかけて
グラフなども作って信頼感を出して
週刊誌に載せました。
反発した大学や女子大学は、
謝罪と撤回を求める署名運動に
発展したので、よく覚えてます。

この時、感じたのは、
その時の編集部には
「まっとう」な人が
いないんだなということでした。
 
一人でも、その企画は
常軌を逸してると言う人がいたら
そんな話は企画段階で 
潰されるんですから。

ところで、私は一度だけ
ワル乗りをしたことがあります。
ある大人気漫画家と
強いパイプがあるフリーライターの
企画に乗って、漫画家の自伝を
出そうとしたことがありました。

私とライターで
何度か漫画家のスタジオに伺い、
少年時代の話をインタビュー
していきました。
毎回、先生とのトークも弾み、
一度行くと先生も二時間は
私たちの相手をしてくれました。
毎週の締め切りを抱えながら。

ある時、先生のいたずら話が
聞けました。
日本最初の長編カラーアニメ映画
『白蛇伝』が封切りされた時、
小学生の先生は、セーターの下に
テープレコーダーを忍ばせて、
映画を観に行きました。

録音できていたら
何回でも『白蛇伝』を楽しめる訳です。

ところが、1960年当時の機材の
クオリティが余り高くなく、
またセーターごしだったため、
レコーダーを聞いても
ほとんど何を言ってるか
わからなかったんだそう。
チャンチャン(笑)。汗。

もちろん、映画館で
映画を録音するのは違法。

ただ、うまく録音されてなかった
というのがオチになってる! と
私はそのエピソードを採用して
本に載せる気満々でした。

私はまだ書籍編集者としては
駆け出し同然の33才、
ここはあの巨匠のイタズラ少年時代の
おもしろエッセイを出して、
世の中をあっといわせるぞ、
いかにも様子のいい話ばかりには
しないぞ!と野心がみなぎってました。

それにしても、まっとうな大人が
きちんといる編集部は凄い。

数日後、先生が話した
映画録音エピソードは
採用しないで欲しいと、
その漫画家さん専属の編集長から
じきじきに私の会社の社長に
電話があったんです。

他社からの依頼ながら、
私もしぶしぶ、受け入れざるを得ません。
さすがにあの、天下の
少年ジャンプ編集長には、
反抗できなかったですね…。
こちらは無理言って、
漫画家先生をお借りしてる立場。
悔しかったですね、当時は。

でも、今考えたら、
先生の少年時代の行為は
映画の著作権をおかしてる訳で、
それが今や漫画家として著作権で
稼いでいる現状を考えたら、
やはり公には出来ないでしょう。
今だったら、大バッシングを
受けてたでしょうね。汗。

「まともな判断力がある大人」
がいるって大事ですよね?
編集部も会社組織だから
人事の偶然のたまものです。

時々、たまたまヤバい人材しか
集まってない時もありますね。
でも、外部ライターとか
専属デザイナーで
しっかりしたまっとうな大人が
きちんといて、
変な企画が本になるまでには
色んなチェックが働くんです。
通常は。

いやあ、それにしても…
反対された時は悔しかったですが、
あの時、漫画家さんの未来を
私はおもんぱかってなかったんですね、
大馬鹿野郎でした。反省です。

大事なことは何か?
いつも頭の片隅で
「これで本当いいんだろうか?」
とチェックする頭を持っている
べきなんでしょうね?

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