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名曲喫茶へ
渋谷、道玄坂に知る人ぞ知る名曲喫茶「ライオン」というお店がある。
昭和元年創業の老舗。
クラシック音楽愛好家の憩いの場となっている。
夫が若かりし学生時代、よくこのお店に通いレコードを聴かせてもらっていたそうだ。
レコードマニアでもない私が足を踏み入れて大丈夫なのかとずいぶん迷ったが、昨日、思い切って「ライオン」に入ってみることにした。
お店のドアを開けると少し暑くてムッとする。
店内の正面に巨大スピーカーが設置してあり、その横で首振り扇風機が誇らしげに回っていた。
薄暗く、ソファや机は昭和初期のままなのか、レトロ感が半端なく映画のセットの中に紛れ込んだような錯覚を起こす。
そして最初は暗くて気づかなかったが、休日ということもあり席はほとんどお客さんで埋まっていた。
2階席もあり覗いてみようと思ったが、常連らしきお客さん方が上がって行ったので、小心者の私は遠慮して1階後方に空いている席を見つけて座った。
店内は私語禁止&撮影禁止🤫
ドキドキしながら店員さんに小声でアイスコーヒーを頼んだ。
ちょうど定時コンサートの時間だったようで、その時間に流れてきたのがマーラーだった。
◆マーラー
交響曲 第5番 嬰ハ短調
(指揮)ポール・パレー/デトロイト交響楽団
私はマニアではないのでよくわからないが、古い録音の名盤のようだ。
巨大スピーカーからは、レコードならではのあの懐かしくて温かく、心地よい音色が響き渡る。
マーラーの5番は大好きで若い頃よく聴いた。10代の頃に戻ったような錯覚を起こしそうになる。
曲の途中でドアが開き、お客さんが店内に入ってきた。
高校生ぐらいだろうか、可愛い若い女の子の2人組。
店員さんが近づいていって「演奏中なのでおしゃべりは出来ませんが大丈夫ですか?」と声をかけると、女の子たちは神妙な顔をしてコクリと頷き、空いている席を見つけてさっと座った。
マナーを守れば新参者でもお店に入れてくれるんだなと、私もようやく緊張が解けリラックスしながら曲を聴くことが出来た。
それでもレコードマニアらしきお客さんたちが、皆それぞれの想いを馳せながらスピーカーを見つめて無言で音楽を聴いている光景は、私は嫌いではない。
話し声は聞こえないが、独りのようで独りでない、なぜか連体感を感じられるような温かな空間。
老後はこんなお店にのんびりと通ってクラシックに浸る生活もいいもんだなと思った1日でした。
また機会があったら行ってみたいです🎵
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