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ヨーロッパ・ドラクエ紀行~リアル冒険の旅に出かけよう

日本が誇るRPG・ドラクエシリーズ。
初めて世に出て40年近く経った今も、国民から深く愛されています。

主人公に成りきり壮大な世界を冒険できるゲームで、ストーリーの奥深さや構成の緻密さも相まって、ゲームを進めながら本当に旅をしている気分に浸ったものです。

そんなドラクエの世界観は、中世ヨーロッパをモチーフにしていることはよく知られていると思います。

実際、ヨーロッパにはドラクエのモデルとなった場所、ドラクエ所縁の場所が多く存在しています。

私も○十年に渡るドラクエファンなので、これまで何度もドラクエを訪ねてヨーロッパを旅行してきました。

時には実際に行ってみて、「ここ、ドラクエの○○じゃない?」とイメージがぴったり重なる場所も見つけました。

今回は私が実際に訪れた、「ドラクエ・ヨーロッパ紀行」をお届けしたいと思います。



ドラクエのモデルの城(フィンランド・オラヴィ城)

ドラクエのモデルになったと言われる城が、フィンランドに存在し威容を誇っています。

その城とは、サイマー湖に浮かぶ「オラヴィ城」

首都ヘルシンキから300㎞程北の、サヴォンリンナという街にあります。
ヘルシンキからのアクセスは、鉄道で4時間半くらいです。

この城、「地球の歩き方 北欧」のサヴォンリンナのページにも、「ドラゴンクエストのモデルの城」と記載されていました。

ドラクエのどこの城とは明記されていないのですが、実際に行って見てみると、ラダトーム城のような竜王の城のような印象を受けました。

サイマー湖に広大な城影を浮かび上がらせている様が、海を隔てて比肩する二つの城をイメージさせるのかもしれません。

オラヴィ城
57130 Savonlinna, フィンランド
3つの連なる塔が特徴
城壁に迫ってみると、堅固さがよく伺える
城の中のチャペル
冒険の書を記録しておこう(笑)
大ホール?
塔の窓から外を覗いたところ
周りが湖なので、これは天然の要害だろう
なんかカッコいいエンブレム発見
城に備え付けられた大砲
角度を変えて見てみると、城の大きさがよくわかる


私が訪れたのは8月でしたが、夏でも夜になると14℃まで下がりました。

冬訪れたらさぞ寒いでしょう。
(雪と氷の上に浮かぶ城は幻想的かと思います)

その昔、城の警備にあたった兵士たちは、1日5リットルものビールを飲んで寒さを凌いだそうです。

城の中世式のトイレ
冷え込みの厳しい冬の夜に5リットルものビールなんか飲んだら、利尿作用でトイレが近くなりそうだが(笑)

「冒険の旅」のCMの城(オーストリア・クロイツェンシュタイン城)

トヨタ・アクアのCMをご存知でしょうか。
「冒険の旅」の音楽に合わせて、車が城の周りを行進するCMです。

勇者たちのパーティーに見立てて行進させられた車が、シュールながらカッコよかったですね(笑)

あの城は、オーストリアの「クロイツェンシュタイン城」といいます。
ウィーン郊外の、小高い丘の上に建つ中世の城です。

アクセスは、鉄道駅「Leobendorf-Burg Kreuzenstein」から2.5㎞です。

Leobendorf-Burg Kreuzenstein駅の周りは、このように何もない山と野原
駅から城までは公共交通機関が通ってなかったのでひたすら歩いたが、道端にこのような標識が出ていたので迷うことはなかった
やがて山の上に城が見えてくる
あれがクロイツェンシュタイン城
Kreuzensteiner Str. 2100, 2100 Leobendorf, オーストリア
山を登って城に近づくにつれ、城の全容が見えてきて期待が高まる
いかにもドラクエに出てきそうな城(笑)


ドラクエのフィールドを歩いて来たら、山の上に城を見つけた気分でワクワクしました。
ああ、王様に会いに行かなきゃ!ってね(笑)

ただ、私が訪ねたのは1月初頭。

実はクロイツェンシュタイン城、冬期の間はクローズしてしまうのです!

冬の休館期間について書かれていた看板


これ、ヨーロッパではよくあることで、オーストリアに限らず、冬期は休館してしまう城や観光施設が時々存在します。

冬にヨーロッパへ旅行する際は、事前に行きたい場所の開館情報を公式サイトなどで調べておくことをおすすめします(汗)

とはいえ、城の近くに行って外観を眺めることは可能です。

私は城の周りを一周してみましたが、それだけでもあのCMのような臨場感は充分伝わってきました。

クロイツェンシュタイン城に迫ってみた
城のゲート
ちょうど城の後ろの方に回ったところ
城の敷地はかなり広い
見回りの兵士が顔を出しそう(笑)


その他にも、ヨーロッパにはドラクエ関連のCMロケ地に使われた城や街が存在しています。

興味のある人は、ぜひ一度訪ねてみてください。

ドラクエ作曲家が評した「ドラクエ村」(イギリス・カッスルクーム)

長年、ドラクエ音楽を手掛けてこられた故すぎやまこういち氏。

すぎやま氏の音楽は、ドラクエ世界に美しい彩りを与え、生き生きとした世命を吹き込みました。
もしすぎやま氏の音楽がなかったら、ドラクエの世界観は全く違ったものになっていたことでしょう。

そのすぎやまこういち氏が「ドラクエ村」と呼んだ村が、イギリスにあります。

コッツウォルズ地方のカッスルクームです。

コッツウォルズへのアクセスは、ロンドン・パディントン駅から鉄道で、チッペナム、チェルトナム、オックスフォードといった町まで行き、それらの町を拠点に好きな場所を周遊することになります。

カッスルクームの村
村の中心・マーケットクロス
ドラクエだったら、村人が立ち話していそうな場所だ(笑)
小さくて静かな村には、「淋しい村(ドラクエⅤ)」や「のどかな家並み(ドラクエⅦ)」のメロディーが似合う(?)
小さな村にも教会があるのがお約束
実際に歩いてみると、あっけないくらい小さな村である
数少ない村の飲食店であるパブ
夜になると周りは真っ暗で、懐中電灯で足元を照らしながら帰って来た記憶がある
宿泊したカッスルクームのB&B
コッツウォルズのどの村にもB&Bはあるはずだが、何か所か周遊するならチッペナムとかチェルトナムとかバースとか比較的大きな街に宿を取る方がいいかもしれない


素朴で中世の香りを色濃く残すカッスルクームを訪れると、冒険の途中で安らぎを求めて村に立ち寄った勇者の気持ちがよくわかります(笑)

カッスルクームは1~2時間もあれば見て回れますので、コッツウォルズ地方の他の村を併せて巡ってみてもいいかもしれません。

コッツウォルズの村と村の間はローカルバスが繋いでいますが、本数が少なく、最終バスも早いのでご注意ください。
(レンタカーがあればべスト)

人気観光地のため、ロンドン発コッツウォルズ行きツアーも催行されています。
効率よく巡りたい場合は、検討する価値ありです。

空からしか行けない(?)小島(スロベニア・ブレッド湖)

ドラクエでは、ゲームが進むと乗り物を入手することになります。

ゲーム中盤で船、終盤で空飛ぶアイテムを入手でき、今まで行けなかった場所に行けるようになり、行動範囲がぐっと広がります。

特に空からしか行けない所……岩山の上や川・湖の中洲にはポツンと一軒だけ家や教会が建っていて、そこにはたいてい重要な情報やお宝が隠されているのです。

この「空からしか行けない」家や教会が、時にゲーム初期の行動範囲であるフィールドの近くに見られ、存在は知っているけど行けないという、ヤキモキした心情にさせられます(笑)

あの一軒家や教会の中には何があるのか気になって、空飛ぶアイテムを手に入れるのが待ち遠しくて仕方ありませんでした。

まさにそんな空からしか行けなさそうな、ロマンの塊のような場所がスロベニアにあります。

首都リュブリャーナから45㎞程北に位置するブレッド湖です。

私はこのブレッド湖の写真を初めて見たとき、これはドラクエの「空からしか行けない場所だ!」と思ってテンションが上がりました。

ブレッド湖の真ん中には小さな島が浮かんでいて、小島には色鮮やかな聖母被昇天教会がポツンと建っているのです。

ブレッド湖
湖に浮かぶ小島に建つのは聖母被昇天教会
あの教会には、まさに空からしか行けない?!

尖塔が天に向かってスッと伸びた品格ある教会は、まさにドラクエ世界のそれ。

教会では孤独なシスターが、何か重大な秘密を守りながら勇者の到着を待ちわびているに違いありません(笑)

実際には空からではなく、あのようにボートで湖を渡ることになる
湖では時々競艇も行われるらしい
小島に上陸
聖母被昇天教会
ひっそりとした教会の中
冒険の書を記録してくれる神父さんはいなかった(笑)
断崖のてっぺんに建つのはブレッド城
城から見下ろす湖は絶景だ
湖の周りは、このようなお散歩&サイクリングコースになっている
一周しながらあらゆる角度から教会を眺めてみるのも楽しい
歩き疲れたらスロベニア銘菓クレームシュニッタでブレイク
パイ生地とクリームが層になったケーキ


ブレッド湖へのアクセスは、首都リュブリャーナから鉄道またはバスで一時間半くらいですが、私は隣国イタリアから入国しました。

やたらとドラクエの匂いがする中世都市(ドイツ・ローテンブルク)

最後はドイツ・ロマンチック街道の中世都市ローテンブルクです。

ローテンブルク

私の大好きな町でもあるのですが、ローテンブルクはドラクエの香りで溢れています。

ネーミングからして、ドラクエの匂いがしませんか?

ローテンブルク=ローレシア+ムーンブルク÷2みたいな(笑)

そんなローテンブルクには、中世都市らしく「中世犯罪博物館」があります。

中世犯罪博物館
Burggasse 3-5, 91541 Rothenburg ob der Tauber, ドイツ
入り口に展示されているあの鉄の籠は、水攻めに使った拷問具である

ここには中世の拷問具や、戒めに使ったとされる道具が展示されています。

これに罪人を縛り付けたのか?
恥辱のマスク
詐欺師にこれを被せて辱めの罰を与えていたらしい
中世の衣装も飾られていたのだが、これは刑執行人の衣装だろうか?


時におどろおどろしく、時に滑稽な道具が展示されていますが、そのなかでドラクエのあるシーンに登場したものを見ることができます。

鉄の処女

そう、ドラクエⅧのマイエラ修道院で登場しましたね。

ククールが、ビビるトロデを中に放り込むと、その先には……

中世では、身持ちの悪い女性をこの中に閉じ込めて戒めを与えていたそうです。

ローテンブルクを城壁の外から見ると、より中世らしさが感じられる
周りはブドウ畑


「小説ドラゴンクエストⅡ」の中で、物語のスタート地であるローレシア城の城門に、「訪れる人に安らぎを 立ち去る人に幸せを」との言葉が刻まれています。

この文言ついて、著者の高屋敷英夫氏はあとがきの中で
「(旧)西ドイツの街の城門に実際に刻まれています。興味のある人は調べてみてください」
というようなことを供述しています。

実はそれが刻まれているのが、ローテンブルクのシュピタール門なんです。

ローテンブルク・シュピタール門
中世の旅人は、どのような思いでこの門をくぐったのだろう?


シュピタール門は旧市街南端に位置する門で、ローテンブルクでも最も美しい門と言われています。

この門にラテン語で「訪れる人に安らぎを 立ち去る人に幸せを」と書いてあるはずなのですが、、私は何度行ってもどこにそれが書かれているのかわかりません(汗)

シュピタール門の中は、このように通路がくねくねしている


ドラクエの世界は、ゲームの中だけの架空の世界と思ってしまいますが、案外現実世界にもドラクエワールドは存在しているのかもしれません。

鞄と航空券を手にして旅立てば、その先にはリアルな冒険の旅が待っています。

ここに挙げた以外にも、まだまだドラクエ所縁の場所は存在しています。

自分だけのドラクエワールドを探しに、旅に出てみませんか?

そして、こんなドラクエワールドを見つけたよ!と言う人は、ぜひ教えてください。

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