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大人の映画で巡るヨーロッパ

映画を観て旅気分を味わったり、映画の舞台を訪れる旅をしたり、映画と旅は密接に関わってますよね。

今回、ヨーロッパを舞台とした大人映画をピックアップしてみました。
映画に沿って、その作品の舞台となった場所を訪れてみようという企画です。

誰もが知っている名画ではなく、どちらかというとマニアックな、隠れた名画を中心に集めてみました。
では早速、映画の主人公になりきって、ヨーロッパの地を訪れてみましょう。




トスカーナの休日(イタリア・コルトーナ)



イタリア・トスカーナ州の小さな町、コルトーナを舞台にした、私の大好きな映画です。

サンフランシスコで作家として活動するフランシスは、離婚して傷つき、親友からイタリア旅行をプレゼントされ、コルトーナにやって来ます。

そこで売り出されていた古いお屋敷を見つけて衝動買い。
トスカーナに移住してきたフランシスの、新たな生活が始まります。

慣れない異国の田舎暮らしに戸惑いながら、古い家のリフォームを試みたり、愉快な仲間たちと出会ったり。
フランシスがトスカーナの住人として溶け込んでいく様子に目が離せません。

そして、新たな恋の行方は?

トスカーナののどかな田園風景や、コルトーナ旧市街の町並み、古いイタリア貴族のお屋敷など、旅情を掻き立てられる映像が随所に登場します。

ちなみに、主人公たちの背後にたびたび登場した町の噴水は、映画のセットです。

トスカーナの田舎風景
同上
コルトーナの町の中心広場


ジュリエットからの手紙(イタリア・ヴェローナ)



ロミオとジュリエットの舞台、イタリア・ヴェローナで繰り広げられる愛の物語の映画です。

ニューヨークに住むソフィーは、婚約者のヴィクターとイタリア・ヴェローナへ旅行に来ました。
しかしシェフで店の新装開店を間近に控えた婚約者は、ソフィーそっちのけで料理に夢中。

仕方なくソフィーは、彼と別行動をとることにし、ヴェローナの観光名所「ジュリエットの家」に一人でやって来ます。

ジュリエットの家では、訪れた観光客が恋の悩みを綴ったジュリエット宛ての手紙が壁に貼り付けられています。
手紙の返事を書く「ジュリエットの秘書」の存在を知ったソフィーは、手紙の回収を手伝い、そこに50年前に書かれたイギリス人女性の手紙を見つけます。
ソフィーは自ら志願し、その手紙の返事を書きました。

すると手紙の主クレアが、孫息子を連れてヴェローナにやってきました。
自ら過去の恋愛にケリをつけるため……。

ソフィーはクレアの恋の結末を見届けるため、彼女と孫息子に同行することにしました……。

誰でも若い頃の切ない未消化の恋の思い出、ありますよね(笑)。

ジュリエットの家の庭にはジュリエット像が建ち、観光客がジュリエットに胸タッチして記念写真を撮っています。
これは、恋愛成就のおまじないだと言われています。

ジュリエットの家の2階にはバルコニーがあり、ロミオと同じ目線で見上げることができます(笑)。
敷地内には自分と恋人の名を書いて永遠の愛を誓う南京錠が、たくさん結びつけられていました。 

酸いも甘いも心得た大人こそ訪ねてみたい、北イタリアの愛の聖地です。

ジュリエットの家のバルコニー
ジュリエットと記念撮影
恋愛成就を祈って……?


ONCE ダブリンの街角で(アイルランド・ダブリン)



売れない路上ミュージシャンとして活動していた「男」は、ダブリンのグラフトン・ストリートで、チェコ出身の「女」と出会います。
男は掃除機の修理業をしているのですが、それを聞いた女は、男の実家に壊れた掃除機を持ってきて修理を依頼します。

それから二人は一緒に楽器店へ行って一緒にピアノを演奏するようになったり、音楽を通じた奇妙な交流が始まります。
やがて二人は、一緒に音楽活動をするようになるのですが……。

この映画の奇妙なところは、主人公の二人がそれぞれ「男」「女」とだけしか出て来ず、名前が不明なのです。
そして二人の男女には、それぞれ元カノに捨てられたり、故郷に夫を置いてきたりと過去があります。

しかし音楽で心を通わせている二人には、余計な情報は一切必要ないのかもしれません。
音楽で繋がった二人の関係はいかに……。

二人が出会ったグラフトン・ストリートは、実際に路上ミュージシャンや大道芸人がパフォーマンス披露していて、賑やかな通りです。
おすすめは、老舗カフェのビューリーズです。

大人デートで一度訪れたい通りです。


グラフトン・ストリートの花屋
グラフトン・ストリートでパフォーマンスする芸人
グラフトン・ストリートの老舗カフェ・ビューリーズ
78-79, Grafton Street, Dublin, D02 K033 アイルランド


ビフォアサンライズ 恋人までの距離(オーストリア・ウィーン)



アメリカ人青年のジェシーは、ヨーロッパを移動する長距離列車の中で、ソルボンヌ大女子学生のセリーヌに出会います。

ジェシーはウィーンで降りて、翌日早朝の飛行機で立ち去る予定です。

彼はセリーヌにウィーンで途中下車し、飛行機が出るまでの時間、一緒に過ごそうと誘います。

既に時刻は夕暮れですが、二人はウィーンの街をデートし、心通わせて行きます。
美しい街並みを背景に、会話を続けていく二人。
映画の中の多くはこの会話シーンです(笑)。

そして朝が近づく頃、二人は……?

やがてタイムリミットがやって来て、駅のホームで二人は別れ際、半年後にこの場所で再会しようと約束します。

二人の恋の行方が気になる人は、続編の「ビフォアサンセット」「ビフォアミッドナイト」(それぞれパリ、ギリシャが舞台)もチェックです。

一夜の恋が、ここまで後の人生に影響することあるんですね(笑)。

ヨーロッパの鉄道の旅って、いいんですよ。
のどかな車窓の景色がどこまでも続き、旅情を掻き立てられます。

ジェシーとセリーヌのように、一生忘れられない出会いが待っているかもしれません。

かもめ食堂(フィンランド・ヘルシンキ)



小柄な日本人女性のサチエは、ヘルシンキに日本食堂「かもめ食堂」をオープンさせます。
しかし、店の客の入りはさっぱり。

ある時店に来た日本大好き青年トンミ・ヒルトネンから、ガッチャマンの歌を教えて下さいと言われたサチエですが、歌詞が思い出せず困惑。
そんなとき、書店で長身の日本人女性ミドリに出会ったサチエは、彼女にガッチャマンの歌について尋ねます。

目を閉じて世界地図を差し、差した場所がフィンランドだったのでやって来たというミドリは、快くガッチャマンの歌の歌詞を教えてくれます。
それがきっかけで、サチエはミドリに一緒に暮らすよう誘います。

それから彼女らとトンミ・ヒルトネンは、客寄せのためのメニュー開発に奔走。
あるとき国民食のシナモンロールを焼いたら、客の入りは急上昇。

そしてまたある日、両親の介護から解放された日本人女性マサコがかもめ食堂にやって来ます……。

その他いろいろな事情を抱えた大人たちが、かもめ食堂には集まってきます。
北欧の懐の大きな街は、そんな大人たちをゆったりと包み込んでくれるようです。

映画の中ではサチエらが市場に食材を買いに行ったり、路面電車の横を自転車で駆け抜けたり、街の映像が生活感いっぱいに盛り込まれています(笑)。

なお、サチエとミドリが出会った書店は、ヘルシンキ中央駅至近のアカデミア書店です。

3階建ての大型書店は1~2階が吹き抜けになっていて、とても開放的。
二人が出会ったカフェは2階にあります。

しかしガッチャマンの歌をきっかけに出会って人間関係が繋がったこの二人ですが、今だったらアニメソングの歌詞くらいYouTubeで検索できるので、この設定は成り立ちません。

時代の流れを感じますね(笑)。


大人の映画には、ヨーロッパの街がよく似合います。

映画の主人公になった気分でヨーロッパの街を歩いてみれば、いつもと違った景色が見えて来るかもしれません。

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