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【54.水曜映画れびゅ~】"Don't Look Up"~笑えるけど、胸がざわざわ…~

"Don't Look Up"ドント・ルック・アップは、12月24日からNetflixで配信されているアダム・マッケイ監督最新作です。

あらすじ

落ちこぼれ気味の天文学者ランドール・ミンディ教授はある日、教え子の大学院生ケイトとともに、地球に衝突する恐れがある巨大彗星の存在を発見し、世界中の人々に迫りくる危機を知らせようと躍起になる。仲間の協力も得て、オーリアン大統領とその息子で大統領補佐官のジェイソンと対面する機会を得たり、陽気な朝のテレビ番組「デイリー・リップ」に出演するなどして、熱心に危機を訴えてまわる2人。しかし人類への警告は至難の業で、空回りしてばかり。そのうちに事態は思わぬ方向へと転がっていき……。

映画.comより一部抜粋

待ちに待った今年度最注目作品!

ついに配信が開始された本作『ドント・ルック・アップ』

思い返せば昨年の中頃あたりから、何やらNetflixオリジナルのアダム・マッケイ最新作が超豪華キャストで作られると話題になっていました。

そして今年の初めに公開されたNetflix 2021 FILM PREVIEWで本編チラ見せしたり、夏にはCMスポットで30秒だけ本編が公開されたりなど、じらしにじらし続け…

そんなこんなで待つ続けたわ!
ほんとにやっとの公開と配信開始!

私は待ちに待ちすぎて配信が待ちきれず、クリスマスイブを前に劇場でフライング鑑賞しました。

空前絶後の超豪華キャスト集結!

そんなこんなで待望の公開・配信となった本作の監督は、アダム・マッケイです。

アカデミー脚色賞を受賞した『マネー・ショート 華麗なる大逆転』(2015)や『バイス』(2018)といった、実際に起きたアメリカの社会問題を風刺全開のコメディ調で描く作品を近年監督・脚本し、注目を集めています。

そんな彼が完全にオリジナルのSFコメディとして監督・脚本を務めたのが本作。

「彗星の地球衝突という大問題に直面した時に人類はどうなってしまうのか」というテーマを現代社会風刺・政治風刺たっぷりに描いてます。

そんな彼の最新作に集ったのが、史上空前といっても過言ではない豪華キャスト。

レオナルド・ディカプリオジェニファー・ローレンスという現ハリウッドのNo.1男女優がW主演というだけでもすごいのに、脇を固めるのがメリル・ストリープケイト・ブランチェットロブ・モーガンジョナ・ヒルティモシー・シャラメな…そして極めつけはアリアナ・グランデまで!

もうわけわかんないですよ(笑)!

しかもその一人ひとりがしっかり仕事してるんですよね~。
もうとんでもない演技合戦で、私にとっては眼福の極みでした(笑)

ちなみに私個人的に一番お気に入りだったのは、マーク・ライランス
昨年の『シカゴ7裁判』でキレッキレの弁護士役を演じてた彼があんな感じになるなんて…(笑)

笑いつつも、胸がざわざわ…

本作はいわばハリウッド版『シン・ゴジラ』(2016)。

人類滅亡という大危機に直面しているにもかかわらず、大半の人々は真面目に取り合わずに目先の生活にばかり固執。

社会の混乱が面白おかしく描かれています。

アダム・マッケイ節炸裂で終始笑いっぱなしの2時間18分ですが、それと同時に私は胸がずっとざわざわしていました…

その原因は、映画に描かれていることが実際に私たちが直面している多くの問題を大いに示唆しており、どうも他人事に思えなかったからなんですよね…

例えば、コロナ

まだ流行り初めだった2020年の2月や3月あたりの日本ないし世界って、完全に『ドン・ルック・アップ』そのものだったと思います。

「そんなちょっとしたウイルスで人間が死ぬわけないでしょっ」って高をくくって「コロナは単なる風邪」って思ってた人、結構いましたよね?

私もそうでした…

しかし、日本で言えば志村けんさんなどがお亡くなりになった報道などが出始めて「やばくね?」となり始めました。

今振り返ればそれってもう手遅れなんだったんですよね…

また別の視点で考えれば、気候変動問題なんかも映画の世界観と連動しています。

「地球温暖化で人類滅亡なんてありえないありえない」って思ってたら、もう取り返しがつかなくなりそうなフェーズまで来ちゃってるという現状は、もはや映画さながらの状況です。

しかも、まだそういう風潮が全然拭いきれてない感が否めませんよね…

だからこそ本作の宣伝文句が"BASED ON TRULY POSSIBLE EVENTS"実際に起きるかもしれない問題に基づくなんでしょうね。

つまりこの作品は単なるコメディ作品ではなく、アダム・マッケイとハリウッドスターたちによる私たちへの警鐘なのだと思います。

そういうメッセージ性ゆえに『アルマゲドン』(1998)や『ディープ・インパクト』(1998)といった類似のパニック映画とは一線を画すエンディングとなっているんだとも思いますね。


前回記事と、次回予告

先週投稿した記事はこちらから!

これまでの【水曜映画れびゅ~】の記事はこちらから!

来週は、ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞の濱口竜介監督作『偶然と想像』をレビューする予定です。
お楽しみに!
そして、よいお年を。