星の王子様 読書記録 あとがき 28回に渡るご拝読誠にありがとうございました
これは、僕にとって、この世で最も美しく、そして最も悲しい風景画だ。前のページの風景画と同じ風景画です。しかし僕はあなたによく見せるためにもう一度描きました。王子様が地上に現れて、それからいなくなったのはここです。
もしあなたがアフリカの、砂漠をいつか旅行するのであれば、その場所を見定めて、確かにその場所だとわかるように、その風景画を注意深く見てください。そして、もしあなたがそこを通りかかるとき、急がないでください、その星のまっすぐ下で少しだけ待ってください、そう強くお願いします。
もしそれから、一人の子供があなたのところに来て、もし彼が笑ったり、もし金色の髪の色をしているのなら、そしてもし彼が質問をしたときに全く返事をしないのであれば、あなたは彼が誰であるのかわかるでしょう。やさしくしてあげてください!僕をこれほどまでに悲しいままにはしておかないでください:彼が戻って来たと、すぐに僕にお便りをください・・・
🌈単語
✅supplie
♢supplier 他動詞
①・・・に懇願する
②・・・に強く頼む、繰り返し頼む
✅paysage
♢名詞
絵に描かれた田園風景;風景画
✅précédente
♢形容詞
前の、先の、先行の
✅
être sûrs de~
~であることが確かなものである
🌈文学
サンテグジュペリは、王子様がいなくなった場所の絵をもう一度描いた。
そして、最後にこういうことを言っている。私にお便りをください。彼が戻って来たということを。
前の記事で書いたことと、この言葉は以下のように符合する。例え肉体が消滅しても、その人の本質は変わらない。そうであるとすれば、その本質は再び形となって肉体をつけることになる。だから、王子様は再び戻ってくると、サンテグジュペリは信じている。
王子様の星から直下すると、ちょうどサハラ砂漠のど真ん中。人の住む場所から数千マイルも離れた場所だ。そこならば、王子様に出会えるかもしれない。
砂漠という、全く価値を置かれない世界。それもど真ん中。そこでは、人が住むことはできない過酷な環境だ。虚が全くと言っていいほどない場所だから、命をつなぎとめることは不可能だ。そういう意味では、その場所は死の世界。
しかし、死の世界にあっても、王子様の星は輝いている。自分達は、死の世界に産まれた。(砂漠よりはましだけど。)しかし、その「死」の世界に自分が飲み込まれないように、「生」を自分に取り入れる毎日を送っている。「性欲」こそが、生きる原動力になっている。
そのため、人によっては、「性欲」を満たすことにかまけてばかりの大人になる。「性欲」がうまく満たされないと、エンジンの故障を直すのにやっきになるサンテグジュペリのように、いらいらして、焦って、王子様をぞんざいに扱うことになる。他のことが目に入らなくなるのだ。
王子様が出会った大人たちも、「性欲」を満たし続ける大人たちだった。
王子様はそれを変な大人たちだという。そして、王子様を欲するものは、自分の「性欲」を満たすための媒介物としてだった。
そんなことをするよりも、星を見つけよう。星は、あなたの人生を輝かせる目標のメタファーだ。死の大地に生きるあなたに、希望の光を与えてくれる。あなたは喉が渇いている。その渇きを癒すために、一歩一歩、星を目指して行く。
あなたたちが定めた目標が、あなたの人生の道しるべになるはずだ。
そしてそれに到達したとき、あなたは祝杯の水を飲むことができる。
あなたはこうして、幸せになることができる。そして何よりも、それが人生に与えられた時間の正しい使い方であり、自分の魂を磨く、本質を磨くための道だ。
でも、こうも思う。もしたどり着けなかったら?中途半端な気持ちではたどり着けない。だからみんな夢をあきらめたり、始めからそんなものはなかったかのように考えたりする。他と比べてしまう。負け惜しみをする。たどり着けなかったときのことを考えるんじゃなくて、その過程が大切であり、そこにこそ人生の醍醐味が詰まっている。
絵描きになるのはいいことだ。自分の思い描いた絵を描くために、何度も何度も、イメージ通りの絵を描き上げようとする。自分の満足のいく絵は、なかなか描けない。喉は渇いていく一方かもしれない。しかし、あなたは不思議と、生きる力に満たされているはず!
進んでいきたいという思いに満たされているはず!
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