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地域ブランディングーヒットするネーミング方法

皆さんは、商品やサービスの名前を、どんな基準で決めていますか?

名は体を表すといわれますが、まさしくネーミングとはコンセプトそのもの。一言でその商品やサービスの全てを表すものといっても過言ではありません。

ここでは、それほど重要なネーミングのつけ方とその考え方をお伝えします。

ネーミングはコンセプトそのもの

商品やサービスのネーミングを考える時、陥りやすいのがひとりよがりになることです。ネーミングの本質を理解せずに考えると、表面的な格好の良さや流行のワードを意識して何となくまとめようとしてしまいます。

ネーミングの本質は、その商品やサービスの「らしさ」が詰まっているかどうかです。

宮崎県新富町に、「茶心」(ちゃしん)という民泊があります。お茶の心を体験できる一棟貸切宿として2019年5月に開業したのですが、この「茶心」という名前は私が考案しました。

地域に大きな功績を果たした方の立派な邸宅であるという背景、全国茶品評会で農林水産大臣賞を三年連続で受賞しているお茶園やその茶畑が目の前にあること、陽光が降り注ぐテラスや23畳の瞑想ルームといった自分と向き合うための空間があること。

そして何より、この場所でお茶の心を学んでほしいという強い思いがあったからです。

そして結果として「茶心」というコンセプトの全てが詰まっている名前にいきつきました。

「なぜここは茶心というのですか?」と聞く前に、コンセプトが自然と入ってくる。ネーミングを考える上でとても重要です。

短く、一度聞いたら忘れられない

コンセプトを体現するものですから、当然ながら長ったらしいものよりは短く、読みにくいものよりはキャッチーでわかりやすいものがよいと感じます。

ネーミングは、コミュニケーションツールです。

冗長で専門用語が飛び交うような話は、誰だって退屈で理解しにくいものでしょう。

ワードとしては、短く、キャッチーで、響きのよいものであることが大切です。

響きのよさにはいろいろありますが、私が意識しているのは「〃」の入る濁音や、小さな「っ」で表される促音(そくおん)が入っているもの。

フェラガモやルイ・ヴィトンといった世界的なブランドにも促音が使われているのですが、長く世界中で愛されている理由には、短くキャッチーで響きのよいネーミングであることも少なからず関係していると思います。

何よりまず、コンセプトを一言で言い表すものであること。そして短く、キャッチーで、響きのよい言葉であること。一度聞いたら忘れられないものを目指すのが大切です。

嘘をつかない

「贅沢〜」や「こだわり〜」といったワードが世の中の商品には頻出しています。どこかよさげに聞こえるワードですが、本当にその商品やサービスのコンセプトを捉えているでしょうか。

私が代表を務める地域商社「こゆ財団」が開発した商品に、宮崎県産の食材をふんだんに用いた「宮崎そばフロランタン」があります。

このネーミングは、そばとフロランタンという、一般に親しまれているワード同士が組み合わさって新しさが生まれたというものです。フロランタンは世界的に有名なパリ発祥のお菓子。

そばはいわずもがな、日本を代表する麺類です。ありそうでなかった組み合わせに、ユーザーは「そばとフロランタン?何それ?」と関心が生まれます。

大事なのは奇をてらうのではなく、嘘をつかないことです。

コピーライティングの第一人者である中村禎さんも「本当のことを伝えるのがコピーだ」とおっしゃっています。ストレートに、嘘をつかないことがネーミングには求められます。

現場のらしさを伝える

「どんなプロセスでネーミングをしているのですか?」と質問を受けることがあります。

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