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【農業】ポーランドの家族農業経営

こんにちは。新小樽少年です。
今日はIELTSという英語の試験を受けました。
初めての受験だったのですが、とても面白かったです。
どういった点が面白かったというとリーディングの記事内容です。
3つ目のセクションの記事なのですが、
アメリカのニューヨーク州における落書きは、
どのような意味合いを持っているのかという内容でした。
それを補足するように何人か人物名を出して、
落書きに対する多様な考え方を紹介していた点が面白かったです。

今回のテーマはポーランドの家族農業について取り上げます。
ポーランドは元々社会主義の国ということもあり、
生産手段は国有化されていましたが1989年に体制転換が起こり、
当然のことながら農業の生産手段変化します。
ではどのように変化し、そこにおいて、
家族農業経営はどのような役割を果たしているのかという点を
考察していきたいと思います。

ポーランドはEUの加盟国の1つです。
EUの共通農業政策に関しては以下の記事を参照してください。
世界を取り巻く農業の問題、
新自由主義」がもたらした「農業の工業化」に関しては
以下2つ目の記事をご参照ください。

ポーランドとは

第二次世界大戦時、ナチス・ドイツとソビエト連邦からの事前交渉を拒否し両国に侵略され、再び国土が分割された。戦後1952年、ポーランド人民共和国として国家主権を復活させたが、ポーランド統一労働者党(共産党)による一党独裁体制であり、ソ連に従属する衛星国であった。1989年に行われた自由選挙の結果、非共産党政権が成立し、現在のポーランド共和国となった。(Wikipediaより引用)

体制転換と家族農業

社会主義時代のポーランドは集団化方針のもと生産手段が国有化され、
大規模な集団農場国営農場が農産物生産の中枢を担っていた。
1989年の体制転換民主化への移行)以降は、
計画経済だけで賄えない食料事情を満たすために、
小規模生産組織が重要な役割を果たすようになった。

家族農家は体制転換によって、
農地の所有権、裁量権、経済活動の自由を手にいれた。
また2004年にEUに加盟したことで、
生産補助金や直接支払いの受給対象になった。
これによって設備投資が進み、農家所得を上げ、
生活水準の改善につながった。
財務、環境保全という点においても持続可能な経営を確立した。

家族農業を取り巻く環境

納税額は保有農地面積とライ麦収量基準の農地肥沃度によって決まる。
収穫量の5%程度の負担になっている。

ポーランドの家族農業には所得税、事業税などの支払い義務がない。
(付加価値税も含む)
これに対して家族を単位としない大規模企業型農業には、
付加価値税を含む税金に対して支払い義務が生じている。

しかし付加価値税の還付や減価償却のような財務上の措置は、
投入要素の効率的な利用、有用なビジネスの導入とビジネスプランの策定、
これらを可能にする措置とも考えられる。
つまり農業生産組織のとして近代化が進まないと懸念される。

EU加盟後の家族農家の変化

EU加盟後の農家経営数は213.8万戸から147.7万戸に減少した。
直接支払いによる生産調整が原因と考えられる。

また加盟により、農業生産部門食品加工部門は、
グローバル化の波に引き込まれるようになる。
外国資本先進技術導入のきっかけとなった。
ポーランドの食品加工部門は生産額輸出を徐々に増やしてきている。

ポーランドは国内産業を外国資本から守るような取り組みも行っている。
食品加工産業M&A制限がかかっているうえに、
外国人外国産業による農地の取得が禁止されている。

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小規模農家では女性が経営者となる事例が比較的多い。
またMichal(2016)の論文によると、
高齢者が経営の中心となっている事例は少なくなってきている
と分かった。
EU加盟後に経営規模を問わず、世代交代が進んできたからだ。
CAPの補助金適用のために、世代交代が進んだとも考えられる。

まとめ

EUに加盟したことによって、農地の流動化が進み、
世代交代が進んだという点に関しては、
農業の将来性を感じた。
また海外における女性農業者の進出に文化の違いを感じた。

ポーランドの農業は国内産業を外国産業に侵食させない、
小規模農家支援などの多岐にわたる政策で、
経済が上手いこと循環しているように思えた。

しかしこれはEUに加盟しているというメリットが大きいように思える。
高所得の負担が大きく、それを低・中所得国が恩恵受けているように思う。
とはいえ財政や産業の土台を固めるという点で、
EUの投資には将来性が十分あるように思えた。
日本のようにその場しのぎのための農家支援、
弱者の命綱のような支援では将来性が見えにくく、
反ってヨーロッパの共生的な組織構造に感動した。

新小樽少年

次回は「イギリスの家族農業経営とBREXIT農政改革」です!!

参考文献・HP

Wikipedia/ポーランド(2020/03/21 online)
Dudek, Michał(2016)「A matter of family? An analysis of determinants of farm succession in Polish agriculture」, Studies in Agricultural Economics, Research Institute for Agricultural Economics, vol. 118(2), pages 1-7, August.

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