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【環境】国境を越えてリサイクルされる再生資源

こんにちは、新小樽少年です!
最近家にいる時間が長いため、久しぶりにDSを起動してみたら、「トモダチコレクション」というゲームをプレイしてみたのですが、かなり面白かったです。(笑)
自分のアバターと仲のいい友達のアバターを作ったのですが、ゲーム上でも親友になっていました。これはゲームの性能がいいとも言えます。(笑)
そして裏を返して言えば、そのアバターを作った私もセンスがあるということになりますよね?(笑)

そんなことはどうでもいいとして、今回で「リサイクルと世界経済」も第3回目になります。今回は「再生資源」について取り上げます。

1.前回のおさらい

これ以降では「リサイクル」の定義を再使用と再生利用という広い意味で使用します。そして「リユース」を使用済み製品を修理・洗浄して、ほぼ同じ形で使用することを定義とします。

前回の記事では「リサイクル」と「リユース」を定義しています。
日本は中古品を様々な国に輸出しており、「再製造」という壊れたパーツだけを修理・交換することで、持続可能な経済への貢献を明らかにしました。

本記事では古紙や鉄スクラップなどの輸出された後の再生資源に焦点を当てますその貿易状況はどのようになっているのでしょうか

2.廃プラスチック

廃プラスチックの輸入量は圧倒的に中国が占める。2015年時点で、世界全体の48.9%が中国に行く。その重さは同時点で3,499万トンにもなる。2012年から平均18.3%で輸入が成長してきた。

日本からは魚箱や家電で用いられた発泡スチロールや廃ペットボトルは輸出されている。発泡スチロールは「ペレット」という粒状にされ輸出される。船のキャパシティをよくするためだ。廃ペットは「フレーク」という粒状にされたのち輸出。汚染や虫が湧くのを抑えるためだ。

中国の工場では、廃PETフレークは熱で溶かし、綿上の繊維にされる。これらはベッドや枕の中綿として利用される。衣服などは長い繊維が必要になる。異物混入を防ぐために、洗浄にコストをかける。

フィリピンの工場では欧州からのPETボトルをベール状(ペットボトルを圧縮し、紐やラップで梱包した状態)で輸入し、洗浄しフレークにした状態で中国へ輸出していた。

中国がベール状のプラスチックの輸入を決めたのが2011年である。2017年に再生資源を輸入しリサイクルしている工場の公害対策などの検査を実施した。この結果、洗浄の不十分や排水・排ガスの処理で違反が見つかり、家庭などで使用された廃プラスチックの輸入禁止を表明した。

3.古紙

古紙も廃プラスチック同様に中国の輸入量が大きい。中国は大量輸入・大量輸出に伴い、段ボールをかなり必要とする。それゆえ古紙の需要は依然として高い。

古紙は輸入の際、重量のかさ増し、プラスチックを混入させるなどの不正行為があったため、日本の古紙回収センターが回収の見直しをしたところ、日本の古紙の単価は他の国と比べ上がったとされる。

4.鉄スクラップ

鉄スクラップの輸入のトップ国はトルコである。輸出国にはアメリカ、ドイツ、日本と先進国が並ぶ。トルコは粗鋼生産のため、輸入鉄スクラップに依存している

雑品スクラップに含まれている金属を原料とするためには、素材ごとに分けることが必要である。しかしこれらのリサイクル過程で環境汚染が生じていることが問題視されている。

中国では雑品スクラップ輸入による環境汚染を抑えるために、工業団地の設置を決定した。これによって、輸入業者を集めることが可能になり、監視しやすくなった。

5.石炭灰

日本のエネルギーの主な発電は火力発電である。これに伴い、石炭灰という産業廃棄物が排出される。石炭灰はセメント業者が路盤材や計量盛り土材として使用することができる。またセメントの材料であったり、コンクリートの混和材としての利用できる。

しかし1980年代では石炭灰の利用はあまり進まなかった。2000年以降から石炭灰の輸出も進められることになる。ただ海外と国内処理の差があり、輸出先の韓国では日本の石炭灰からは放射線が見つかったりと貿易是非が問われている。

しかしマレーシアなどでは中国から2万トンの石炭灰を輸入している。また中東地域ではインドから輸入している国も多く、輸送コストを考えれば、石炭灰の循環利用が可能になるかもしれない。

6.貴金属スクラップ

日本に輸出が多い再生資源として、貴金属スクラップが挙げられる。貴金属は携帯電話や自動車に使われている。輸入の背景には非鉄金属製錬産業があり、鉱山の閉山に伴い、輸入した貴金属スクラップや再生資源をリサイクルすることで今日まで成長してきた。

7.再生資源貿易の背景

各国国内において再生資源の需要と供給が一致しない可能性が考えられる。まずある製品がリサイクルされた後、必ず同じ製品に使われるわけではないからだ。石炭灰もセメントに使われるようなものだ。

また再生資源の需要と供給のタイミングがずれることもある。例えば途上国などでインフラ建設が進んでいる国では、鉄スクラップの需要は高い。しかしこの時に、国内で供給量があまり確保できていないというような状態だ。それゆえ再生資源の貿易は必要性は増す。

ビール瓶がビール瓶になるように、使用済みのものが再び同じ形として利用されるものは「水平リサイクル」と呼ばれる。対し石炭灰や発泡スチロールなどの、別の形で再利用されることを「カスケード・リサイクル」と呼ばれている。

再生資源貿易はタイミングという理由以外で必要が生じる。段ボールは水平リサイクルが可能であるが、仮に中国から日本に段ボールを輸入したとする。しかしその段ボールは日本でリサイクルをしない。そのまま中国に送り返すことでコストを安くするためだ。このように再生資源貿易の必要性を十分に説明できる。

これらの理由から、国内で再生資源の循環を成り立たせることは難しく(国内の需給の一致)、これらのリサイクルが経済面でも環境面でも便益があることは言うまでもない
(ただしリサイクルにかかるコストに関してはあまり言及がないように思える。)

まとめ

中国の廃プラスチックの輸入量は世界の貿易量の半分を超えており、今後、世界全体のプラスチックのリサイクルに大きく影響を与えることが考えられる。

そして再生資源貿易は国内で成立させることは難しく、その原因はタイミング、コスト面という点にある。また経済面での問題でいえば、中国のような貿易競争力のある国による利益が独占が世界の所得格差を拡大させるようにも思える。

しかし再生資源貿易は世界規模で概観した時に、経済的にも環境的にも便益があると伺える。グローバル化といわれている今日の世界で、今後より一層取引が増えるのだろうと考える。

新小樽少年

参考文献

この記事は小島道一(2018)「リサイクルと世界経済」中公新書、p46-89を基に書いています。


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