見出し画像

マクドナルドは「強い!!」収益モデルを分析して、「強い」謎に迫る。

米マクドナルドは、ロシアのウクライナ侵攻を受けて3月には営業を停止し、5月にはロシアからの撤退を発表した。5月19日、ロシアでの事業を、フランチャイズ契約を現在結んでいるアレクサンドル・ゴバー氏に売却すると発表した。

マクドナルド(米国)のロシアとウクライナでの21年の売上高は20億ドルと、全体の約9%に相当する。
約9%の売上減が今後どのような影響を及ぼすのか・・・

マクドナルド(米国)はロシアで30年以上事業を展開しており、ロシアの約850店のうち約84%が直営店と力の入れようだっただけに、今回の事件は多大な影響が及ぼされるでしょう。

この少し前、新型コロナウイルスが猛威を奮い、経済に悪影響を及ぼしました。しかし、日本マクドナルドはいち早くモバイルオーダーやデリバリーサービスに力を入れ、決算を見る限り、乗り越えることができたようです。
正に「強い」マクドナルドと言えるでしょう。

ロシアのウクライナ侵攻による影響も「強い」マクドナルドが乗り越えていってくれることを願いながら
今回は、マクドナルドが何故「強い」のか。
収益モデルを見ながら考えていきたいと思います。

マクドナルドの収益モデル

画像10

マクドナルドの収益モデルは大きく3つあります。

3つ言える方は、おさらいでお読みください。
皆さん、3つ言えますでしょうか?

1つは簡単に出てくると思います。
そうです。ハンバーガーレストランの収益です。
日本では「マック」「マクド」と愛着のある呼び名で利用されているレストラン収益がマクドナルドで一番に考えられる収益モデルです。
ちなみに僕は関西人なので「マクド」と呼ばせていただいております(笑)

1.ハンバーガー・レストラン収益

マクドナルドセット

マクドナルドは、1955年にアメリカで誕生し、世界100か国以上約40,000店を展開する世界的なハンバーガー・レストラン・チェーンです。
年間売上高はなんと約220億ドル以上、日本円にして約3兆円という桁外れの数字です。
日本マクドナルドの売上は、コロナ過でも下がらず好調で2021年期で3千億円を超えています。
日本だけで全体売上の約10%と言うことも、日本で愛されるマクドナルドですね。

画像1

そして、マクドナルドは収益最大化に向けて、様々な戦略を実践しています。詳しく書くと趣旨がズレてきますので、今回は簡単に日本マクドナルドの戦略を少し・・・

・コストリーダーシップ戦略
名前の通り、コストに着目する戦略です。業界全体の広い顧客をターゲットにし、他社のどこよりも低いコスト実現することにより競争に勝とうとする戦略です。
低コストを目指し、マクドナルドは、オペレーションの効率化、従業員教育の徹底、品質の高い材料を安価かつ安定的に調達するサプライチェーンの構築などを行っています。

注文を聞かずに言いに行く、料理を運んできてもらわずに自分で運ぶ、食べ終わった片付けやゴミ捨ては自分でする・・・
レストランではウエイトレスやウエイターがする業務を、お客様がするスタイルなので、店内オペレーションも自然と教育され、コスト削減に協力していたのです。

しかし、経営の難しさ・・・日本マクドナルドは低価格に走り過ぎて失敗する時代もありました(笑)

・全方位戦略
全方位戦略とは、柱となる商品だけに特化したり、ターゲットを限定したりせず、市場を広くとらえて経済活動を行う戦略です。

期間限定のハンバーガーや新商品を随時投入し、メインのハンバーガーだけでなく、ポテトとチキンマックナゲットのポテナゲ、バンズではなくお米のライスバーガー、マックカフェやスイーツと幅の広い市場を取り込む戦略となっています。

マクドナルド利用者が家族三世代から家族四世代となりつつある幅広い年齢層の心(胃袋)を掴むため、夕食で利用する世代が満足できるように17時からパティ倍や子供が喜ぶハッピーセットなど、老若男女を問わず全ての世代をターゲットとすることで、多角的に経済活動を行うことができる戦略を行っています。

この全方位戦略の心構えが、コロナ過でモバイルオーダーやマックデリバリーなどを素早く展開できる所以だと思います。

まだまだデジタルマーケティングやプロモーション戦略などありますが、今回はこの辺で・・・

そして、2つ目の収益モデルが、この様々な戦略を考えることができる環境を作っています。

2.フランチャイズ収益

画像12

・マクドナルド(米国)の売上構成比率
米国41%:米国外59%
直営43%:フランチャイズ57%

・日本マクドナルドの売上構成比率

画像2

マクドナルド(米国)も日本マクドナルドもフランチャイズの構成比率が高いです。

フランチャイズとは、フランチャイズを展開する本部と加盟店が契約を結び、加盟店が本部のブランド名を使って事業を運営するシステムのこと。契約により加盟店は、企業の知名度やブランドイメージ、運営のノウハウやサービス・商品を利用することが可能です。一方、加盟店はその対価として、本部にお金を支払います。

マクドナルド(米国)や日本マクドナルドは本部として戦略的なことに注力し、加盟店であるフランチャイジーが店舗運営に集中できるようにして、協力して売上拡大に努めることができます。
そして、本部はロイヤルティーを収益とします。

日本マクドナルドのフランチャイズオーナーを例に見てみます。

画像3

中小企業庁の中小企業経営指標調査結果から確認すると飲食店平均の売上高対営業利益率は8.4%
ロイヤルティー:3%
フランチャイズオーナー:5.4%

ザックリ計算で
2021年期売上高317,695(百万円)÷2021年期店舗数2942=107,986,064円
※日本マクドナルド公式HPでは
「日本におけるフランチャイズオーナーは、約200名。その平均店舗数は10店舗、平均年商は約20億円となります」

上記の計算式を当てはめると
ロイヤルティー:3% 3,239,581円
フランチャイズオーナー:5.4% 5,831,247円

ロイヤルティー×フランチャイズ店舗数がフランチャイズの収益モデルとなるので、日本マクドナルドは、直営店舗よりフランチャイズ展開に力を入れていくことがトップメッセージから読み取れます。

「マクドナルドの成長は、
フランチャイジーの成功とともにあります。」

理由はフランチャイズ収益モデルが優秀なのと本部業務に集中できるからでしょう。

フランチャイズオーナー(フランチャイジー)としても十分収益のあるビジネスだと思われます。
マクドナルド好きなので一瞬考えましたが・・・加盟金と店舗取得額で自己資金が3,000万円ほど必要になります(笑)
店舗運営より本部業務の経営戦略が興味あるので、物言う株主を目指してコツコツ株を買い増ししております。来世には物言えるかと・・・(笑)

3.不動産収益

画像13

知る人ぞ知るマクドナルドの柱となる収益モデルです。

この話をする前にレイ・クロックはご存知でしょうか?

・レイ・クロック
マクドナルドコーポレーションの創業者で、マクドナルドをフランチャイズ展開して、世界最大のファストフードチェーンに仕立て上げた人物

「我々が『QSC&V(品質・サービス・清潔さ・価値』という言葉を言うたびにレンガを積み上げていたとしたら、おそらく太平洋を横断する橋ができていただろう」の名言があります。その名言にある『QSC&V(品質・サービス・清潔さ・価値』は、太平洋を横断した日本マクドナルドでも大切な経営指標となっております。

そんなレイ・クロックが本気か冗談かわからないコメントが
「マクドナルドの商売はなんだと思う?不動産業だよ」です。

不動産業とは、土地,家屋,ビルなど不動産の売買,賃貸,管理,土地の開発および家屋の建売分譲,不動産の売買などの代理・仲介などを行う業種の総称です。マクドナルドが???

マクドナルドには直営店とフランチャイズ店があることをお話しましたが、なんとマクドナルドは土地を買い、建物を建て、フランチャイズオーナーに貸し出し、賃貸料をもらうのです。
賃貸ビジネスのデメリットは借り手がいるかどうかですが、優良借主がフランチャイズオーナーになるので、ノーリスクの賃貸ビジネスです。

・マクドナルド(米国)の貸借対照表

画像4

有形固定資産が不動産の目安となりますので、この数字を基準に考えていきたいと思います。

38,272.60(百万ドル)日本円に換算すると4兆9千万~5兆円

この数字のすごさが伝わりにくいので、日本の不動産業界上場企業の有形固定資産ランキング2021年TOP20で比較して見たいと思います。

画像5

日本の不動産業界トップである三菱地所の有形固定資産でも4兆円強。不動産業界日本トップより多くなっております。ハンバーガー・レストランのマクドナルド(米国)が・・・
この数字を見ると、確かに不動産業と言えなくもないですね(笑)

日本マクドナルドはどうでしょうか?日本は都市型テナントや商業施設テナントなどもあるので、不動産業色はマクドナルド(米国)ほどではないですが、収益の柱であることが数字を見るとわかってきます。

・日本マクドナルドホールディングス株式会社 貸借対照表 資産の部

画像14

貸借対照表円グラフ

先ほどの不動産業界の表で考えると15位に入ってきますので、日本マクドナルドも不動産業と言えなくもない数字です。

マクドナルド(米国)、日本マクドナルド共に不動産が3つ目の収益モデルとなります。

個人的にはイオンモールが6位で1兆円超えになっているのが驚きでした(笑)

レイ・クロックの半生を映画化

画像7

ファウンダーを観た方は、3つの収益モデルを答えられたのではないでしょうか(笑)
世界最大のファストフードチェーンを作り上げたレイ・クロックですが、マクドナルドはマック&ディック兄弟が経営するハンバーガー・レストランでした。手段を選ばず資本主義経済や競争社会の中でのし上がっていくレイの姿は、まさにアメリカン・ドリームの象徴。熱い情熱で挑戦を続け、世界有数の巨大企業を築き上げた彼は英雄なのか。それとも、欲望を満たす為にすべてを飲み込む冷酷な怪物なのか。兄弟との全面対決に突き進む展開に、今回の収益モデルの答えが見てとれます。

まとめ

画像14

マクドナルドは3つの収益モデルがあるので「強い」ことが、ご理解いただけたかと思います。3つ目の不動産業は不況に強いと言われております。価格や家賃が大幅に下落することが少ないのが理由です。また、不動産業のデメリットである入居者がいない。がフランチャイジーにより回避されております。2つ目のフランチャイズ収益モデルにより安定収入を得て、1つ目のハンバーガー・レストラン事業の戦略に集中できるという好循環。これがマクドナルドが「強い」ハンバーガー帝国となった理由です。

正にマクドナルドの未来は、フランチャイジーとともにあると言えるでしょう。そのためにはハンバーガー・レストラン事業の収益モデルが重要になってきます。
売上拡大も重要ですが、飲食業の働き手が少なくなっていく社会をどう乗り越えていくのかも課題となっていくことでしょう。未来のマクドナルドはマスコットキャラクターのドナルドがロボットとなり接客し、完全自動化でハンバーガーやポテトが作られ、自動配送でデリバリーされる・・・あれ?従業員は?と思えるような展開になっているかもですね。

全世代がマクドナルド世代となるので、より身近なハンバーガー・レストランとして、学校給食がハンバーガーとポテトなんてことに・・・

「強い」マクドナルドの今後も期待していきたいと思います。

今回は収益モデルについてお話させていただきました。皆さんも一度、自社の収益モデルを再確認されるのはいかがでしょうか。改善を検討されていましたら弊社ビジネスパートナーである中小企業診断士とともにお話を聞かせていただきます。
また、新規事業やDXのご相談がありましたらお気軽にお声掛けください。

最後に

後藤又兵衛

普段は、歴史、温泉、紅茶、読書なんかのブログを書いておりますが、今回はビジネス系となりますので、会社の宣伝させていただきました。
勝手気ままにブログを書いてる後藤純ですが、他のブログもよろしくお願いいたします(笑)

マクドナルド株(米国株、日本株両方)の保有者として、新型コロナの影響や、ロシアのウクライナ侵攻等、気が気じゃない日々が続くので、信頼できるマクドナルドをまとめてみました。日本では親子三世代から四世代になりつつあるマクドナルド。これからも愛される企業として長く続いて欲しいと思います。
我が家では、子供が2歳になるとマクドナルドのポテトデビューとしているので、あと二ヶ月と迫ってきております(笑)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?