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Daft Punk解散報告動画「Epilogue」に寄せて

日本では2月22日深夜頃、明らかになったDaft Punkの解散。一瞬にして世界中を駆け巡ったこのセンセーショナルすぎるニュースには多くのDaft Punkファンが衝撃を受けたと思います。10代のころにDaft Punkを知って以来、長年ファンだった私ももちろんその1人。

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そんなわけで、TwitterでのDaft Punkの思い出語りに始まり、自分のブログでも解散に関連したコラムを複数公開していたわけですが、音楽メディアのblock.fmに先日、"block.fmライターがニュース記事からふりかえるDaft Punk"というコラムを寄稿させていただきました。


"ニュース記事からふりかえるDaft Punk"あとがき

その寄稿文の最後では、Daft Punkの解散報告動画「Epilogue」に寄せて、以下のような文章を付けさせていただきました。

"最後に「Epilogue」を見た感想を。「Epilogue」では冒頭で書いたとおり、Daft Punkの終焉が描かれていたが、それを見た筆者の頭に浮かんだのは、フランスの映画監督ジャン=リュック・ゴダールによる映画『気狂いピエロ』のラストシーンだった。ゴダールは、Daft Punkと同じフランスのポップカルチャーを代表するクリエイターということもあってか、『気狂いピエロ』の"顔面ダイナマイトによる爆発"と"太陽と朗読されるランボーの詩『永遠』の一節"という描写が「Epilogue」とやけに重なった。

おそらくDaft Punkも爆破されることで永遠になったのだろう。そして、我々ファンも空に太陽が浮かぶ限り、永遠にDaft Punkを感じ続けるだろう。このコラムを執筆するにあたり、改めて動画を見返した後にそう思った。

ありがとう、Daft Punk。我々はあなたたちを決して忘れない...。"

また、寄稿したコラムでは"『Random Access Memories』以降の空白期間"をテーマにこれまで執筆してきたニュース記事の中から特に印象深い記事6つを振り返らせていただきました。

1. 幻に終わった全ファン待望のワールドツアー「Alive 2017」
2. 1000曲にも及ぶ「Daft Punkに影響を与えた曲」のプレイリストが公開
3. 深すぎるDaft Punk愛を感じるファンメイドコンテンツの数々
4. Daft Punkはいつ、人間をやめたのか? その答えはこれを見ればすぐわかる
5. Daft Punkが音楽を手がけるという話も噂された映画『トロン 3』サントラ
6. フレンチハウスの名曲「Music Sounds Better With You」がリイシュー

こういった形にしたのは、何しろ10代からのDaft Punkファンということもあって、思い入れもそれなりにあるため、仮に初期の『Homework』時代からふりかえった場合、膨大な文字数になってしまうことが予想できたためです。

実際にコラムでも、例えば、"6. フレンチハウスの名曲「Music Sounds Better With You」がリイシュー"では、自分にとって印象的だった『Random Access Memories』以降にリリースされたDaft Punkメンバー、Thomas Bangalter(トーマ・バンガルテル)とGuy-Manuel de Homem-Christo(ギ=マニュエル・ド・オメン=クリスト)のソロでのリリース曲やプロデュース曲の紹介のくだりは軽く触れるに留まっています。

ということで、こぼれ話として本稿では、その泣く泣くカットした『Random Access Memories』以降のDaft Punkメンバーソロ仕事を解説を添えてご紹介します(参考になればと思い、これまでに執筆した記事の中から関連するものを添えておきました)。

空白期間のDaft Punkソロ仕事:Thomas Bangalter編

Thomas Bangalter - Sangria
Daft Punk始め、フレンチエレクトロ界隈とも縁が深い映画監督といえば、"フランス映画界の鬼才"ギャスパー・ノエ。Thomas Bangalterは、モニカ・ベルッチ主演映画『アレックス』、東京を舞台にしたサイケな映画『エンター・ザ・ボイド』などでギャスパー・ノエ作品の映画サントラに関わっていますが、2018年公開の『Climax』では、新曲「Sangria」を提供。映画の雰囲気にあわせた不穏なシンセ、4つ打ちビートと絡み合うノイズが印象的なトラックになっています。

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Thomas Bangalter - Riga (Take 5)
2017年のラトビア映画『Riga (Take 1)』のサントラに収録された「Riga (Take 5)」は、500枚限定片面プレスのアナログ盤としてリリースされたThomas Bangalterのレア曲。14分41秒もある長尺のトラックは、2018年にパリのLuminor Hôtel de Villeにて同映画が公開された際にのみ販売されました。ちなみに『Riga (Take 1)』サントラは、Discogsによると、ジャズパートとエレクトロパートに分かれており、4枚のアナログ盤で構成。「Riga (Take 5)」は追加音源としてアナログ化されたものです。曲調はTB-303ベースを使ったルーピーな4つ打ちアシッドミニマルといった感じです。

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空白期間のDaft Punkソロ仕事:Guy-Manuel de Homem-Christo編

The Weeknd - Hurt You
2016年にDaft Punkとして「Starboy」、「I Feel It Coming」でコラボしたThe Weekndが、2018年にサプライズリリースしたEP『My Dear Melancholy』にGuy-Manuel de Homem-Christoがソロでプロデューサーの1人として参加。同郷で"ダーク版Daft Punk"と呼ばれたこともあるGesaffelsteinとともに「Hurt You」という曲をプロデュースしています。先述の「Starboy」、「I Feel It Coming」の流れを汲んだフレンチっぽい耽美的な音はそのままに闇落ちしたかのようなメランコリックな曲になっているのがこの曲の特徴。この曲ではGesaffelsteinが客演としてもクレジットされており、個人的にはこれ以降、GesaffelsteinがThe Weekndに重用されていくと思っていたのですが、実際にはそのポジションはOPNに奪われましたね(笑)。

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Charlotte Gainsbourg - Rest
"フレンチ・アイコン"にしてサラブレッドで俳優/歌手として活動するシャルロット・ゲンズブール。その彼女が2017年にリリースしたアルバム『Rest』の表題曲で同名の「Rest」の編曲、プロデュースを手がけたのがGuy-Manuel de Homem-Christo。アルバム自体のプロデュースはフレンチエレクトロ勢でEd Bangerの大看板、SebastiAnが担当していることもあってか、リリース当時はフレンチエレクトロヘッズからも注目を集めました。とはいえ、曲調はエレクトロらしさを一切廃し、メランコリックに全振り。そのため、Daft PunkもしくはEd Banger的なものを求めていたヘッズの期待を見事に裏切っているわけですが、よくよく聴くとフレンチタッチ勢の大好物であるファンキーなベースラインが配されていることに気づきます。PCのスピーカーで聴いていると表情が見えてこない丸い低音にパリのエスプリを感じるニクい仕上がり。シャア専用ザクばりにフレンチ・アイコンのために捧げられたトラックになっています。もし、"フレンチかぶれ入門講座"なんてものがあれば、これは間違いなく上級者向けコース案件かと。

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"エレクトロ望郷録"

実は、去年くらいからぼんやりと現在の自分のライター活動のルーツになっているmyspace時代のエレクトロシーンのことを記憶を頼りにふりかえり、"エレクトロ望郷録"みたいなテキストを公開するみたいなことを考えていました。

今回のDaft Punkの解散をきっかけにここ数日の間、彼らがかつて運営していたレーベル「Roulé」、「Crydamoure」を聴く中で、かつての"東京エレクトロ"シーンにおいて、和製フレンチと称されたプロデューサーの音源に関することや、Daft Punk関連でいえば、「Face to Face」のことに関連したことなど、あれこれネタが浮かんできたので、近日中に"エレクトロ望郷録"をnoteで公開しようと思います。Daft Punkおよび、エレクトロを通過してきた世代の方はぜひ、楽しみに。

オマケ:Daft Punk解散後に書き綴ってきた記事プレイリスト

ちなみにDaft Punk解散後に書き綴ってきたテキストは以下のとおりです。

最後に。
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追記:Daft Punk 「Face To Face」をエレクトロ全盛期のバイヴスでエディットした音源

今から4年ほど前、日本でDaft Punkも登場したフレンチハウスシーンの黎明期を描く映画『EDEN/エデン』公開時に昔のDJ仲間と"フレンチハウスナイト"という一晩中、フレンチハウスをかけまくるイベントを渋谷の「渋谷花魁 SHIBUYA OIRAN」でやっていまして、そのイベント用に作った音源を外付けHDから発掘しました。

イベントはエレクトロ周りのDJたちで集まっていたこともあって、Daft Punk 「Face To Face」を"エレクトロ全盛期のバイヴス"(例:Sinichi Osawa的な変則的カットアップとか)でエディット。イントロの尺を引き延ばすなどDJフレンドリーな仕様になっているのもポイントです。
SoundCloudで無料ダウンロードできるようにしたので、欲しい方はどうぞ。

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