チカムリオ 誕生秘話その②
「チカムリオ」が完成し、全文をNoteに掲載し終わった時点で、僕はそのことを親友O君に報告しました。
彼は中学時代の同級生で、『僕が出会った風景、そして人々②』に登場する、舎人での生活を共にした友人でもあります。
以前、「チカムリオのお話」という記事でも書きましたが、そもそも、この物語は、ずいぶん若い頃にО君と夜更けの井の頭公園をさまよい歩いていた最中に、ふと思いついて僕が語り始めたものでした。
彼がこの怪しげな物語にいたく興味を示してくれたお陰で、僕はその後も「チカムリオ」を書き続けることができたのです。
そして彼はまた、チカムリオの登場人物「キヨシ」のモデルでもあります。
О君はNoteを訪れてこの長い文章を辛抱強く読んでくれた後で、こんなメールを送ってくれました。
「チカムリオのまとめ、とても面白く読みました。綺麗な文章で、丁寧に下拵えした美味しい和食のような文章だと思いました・・・(中略)・・・家で昔の荷物を漁っていたら、10代のころ書いていたノートが出てきました。地下無量の詩もそこにありました」
そして、メールには1枚の画像が添付されていたのです。
それは、当時彼がチカムリオに思いを馳せながら創作した一編の詩と、チカムリオを描いた地図をひとつにまとめたものでした。
詩については当時彼から読ませてもらい、深く感動した覚えがありましたが、地図のことはすっかり忘れていました。
「紫色の切符は地下無量行・・・」で始まるその詩は文語調で、哀切な響きが読む者の心を震わせ、そこに紡ぎ出される言葉は、あくまで怪しく幻想的でした。
「チカムリオ」➡「地下無量」というロジックは、当時、僕が問わず語りに話して聞かせた物語を彼なりに解釈して導き出したものです。
また、彼が描いた地図の中には、「わすれ河」「生首池」「骨ヶ原」「死神通り」といった、おどろおどろしい場所があり、僕を夢幻の世界に誘(いざな)うのでした。
『なんだか、こっちの方が面白そうだな・・・』僕はそう思いました。
ということで、機会があれば、ぜひとも「チカムリオ地獄編(?)」を書いてみたいと思います。
そしてその時は、О君から許しを得て彼の詩と”地下無量マップ”も掲載しようと思います。
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