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CSカレッジで学ぶ体系的知識と実践の重要性

こんにちは。タイミーの竹内です。

先週、CSカレッジ主催の「カスタマーサクセス業務設計シミュレーションゲーム」というイベントに参加しました。
CSカレッジとは、カスタマーサクセス(=CS)に携わる全ての人に学びとつながりの機会を提供し、成功のきっかけを生み出すラーニングコミュニティです。

講演者はCSカレッジ主宰の丸田 絃心さんです。
ゲストに高橋 歩さんをお招きし、カスタマーサクセスの業務設計を学ぶ講義・パネル討議・シミュレーションゲームを行った後、懇親会・講演者との相談会を行いました。 そして約3年半ぶりの #CSカレッジ のリアルイベントが開催されたのです。

はじめに


今回の記事では、カスタマーサクセスを体系的に学べる『講義』に重点を置いてレポートします。そのため、最終的にはカスタマーサクセスについて深く理解できる内容となっています。「カスタマーサクセスに興味があるよー!」という方にぜひお読みいただければ嬉しいです。

CSカレッジ(カスタマーサクセスカレッジ)とは?


  • CSカレッジは、カスタマーサクセスに携わる全ての人に学びとつながりの機会を提供し、成功のきっかけを生み出すラーニングコミュニティです

  • Facebookグループやオンラインイベントで情報交換や交流・勉強会などを行なっています

丸田 絃心さんのご紹介


慶應義塾大学を卒業後、新卒で外資系投資銀行に入社。その後、広告代理店、人材/組織コンサルを経て、AIスタートアップでカスタマーサクセス(CS)の責任者を経験。2022年にレクシエス(株)を創業。 これまでに多数のCSの講演や外部顧問、Newspics+dでの連載や大学の非常勤講師などを歴任。日立アカデミー様やビジネスブレイクスルー(BBT)様でCS研修講師も務める。 延べ数千社・1万人以上への講演・研修・イベント開催を行い、外資・日系の大企業からスタートアップ、設立間もない企業に至るまで、100社以上の支援に携わる。 CSの普及と支援を使命に約5,000人規模のCSコミュニティ「CSカレッジ」を主宰。日本最大級のCSカンファレンス「BRIDGE」などを開催。

イベント挨拶


CSカレッジ主宰の丸田さんより「本日は100名近くの方々にお集まりいただき、嬉しすぎてドリンクを200本。お食事を100人分近く頼んでしまったので、たくさん飲んで食べてください」という、茶目っ気たっぷりな前振りから本イベントは始まりました。
「このCSカレッジ、面白いタイミングに立ち上がりまして、コロナの2ヶ月前に立ち上がって、「さあ、これからイベントだ!」というときに、「コロナでイベントができないぞ!」となったので、実に3年半ぶりの対面イベントという機会になっています」
その当時、僕もぼんやりとオンラインイベントが行われていたことを覚えています。しかしながら、カスタマーサクセスの経験はまだ浅く、「丸田さんがレベルの高い講義をされているな〜」という印象だけが残っています。

参加者の属性について


参加者の半分以上の方が、CS歴が3年以上の上級者でした。
そのうち、8割以上の方が中級者以上の方という顔ぶれでした。
しかも、4〜5割の方がCSカレッジのリピーターの方と、
僕は違いましたが笑、顔馴染みがたくさんあるイベントだということがわかりました。

皆さん、自分の会社でどんなCSをやっていますか?


では、ここから講義の内容に入ります。
まず丸田さんより、参加者に向けて「皆さん、自分の会社でどんなCSをやっていますか?」という問いを投げかけられました。
僕を含めた皆さんが感じられたと思うのですが、「一言、二言では言い表せない・・・」という思いが一瞬で会場を包みました笑
実際、参加者のご回答は以下のような内容でした。
「お客様を相手に細やかにサポートする『ハイタッチ』を採用しています」
「ハイタッチ含め、お客様の活用支援をしています」

CSはどういう役割を担っているのか


CSの役割とは、お客様を成功に導くことです。
具体的には、お客様が素晴らしい体験をし、簡単に、楽に、商品やサービスが使いこなせることです。
さらに、業務効率化や売上アップなど、
お客様から「求めていた成果が出たよ!」と言っていただける状態を目指します。
また、自社のサクセス、つまりは収益の向上にも繋げなくてはなりません
具体的には、商品やサービスの単価を向上させたり、継続してもらうことを指します。

では、それらをどう実現するのか


では、それらをどう実現すれば良いのでしょうか?
そこで、お客様への商品やサービスの導入支援や、定着支援など、
導入したてのタイミングでイロハを説明するのです。
講義では、自動車教習所の免許センターで例えられました。
具体的には、「長距離ドライブができる」「ドリフトができる(?!)」など、車を使いこなすことができるといった支援が定着支援です。
その状態から、契約更新をしたり、拡大支援をする、つまりは継続利用やリピート購入をしてもらいます。
また、カスタマーサクセスは社外(=お客様)に向き合ってさえいればいいだけの役割ではないと説明します。
つまり、カスタマーサクセスは社外にいるお客様の成功に伴走しつつ、お客様の成功を全社的に支援できる体制を社内に構築しないとなりません。
例えば、プロダクトをより良くするために、VOC、つまり企業に対してお客様から寄せられるすべてのフィードバックを届けに行ったり、マーケティングチームがカスタマーサクセスに事例を届けに行ったり、お客様に対し、正しい期待値でオンボーディングを開始できるようにしてもらうことが必要です。
さらに、カスタマーサクセスは自組織のメンバーの育成や、業務生産性を高くしたり、仕組み化したり、ツールを取り入れたりと、様々な社内での行動も求められるのです。

具体的にどう業務に取り入れるのか


では、具体的にどう業務に取り入れれば良いのでしょうか?
これは、お客様がどのような目的を達成したいのかを明確に握り、その実現に向けたプロダクトの活用方法を導入から定着、成果創出まで伴走をすると説明しました。
ですので、まずサクセスのロードマップを敷きます。
例えば、導入期であれば初期設定をしたり、最初の研修で基礎理解を促します。それに加えて、操作説明をしたり、お客様によってステップを細分して差し上げます。
「あなたがやりたいことは、こういう風に進めば、こういう成果が出るので、こうやっていけば、こううまくいきますよ」という調子です。
それに対し、「僕たちはこういう支援ができますよ」というプレイブック、平たくいうとお客様対応における有効な方法があります。
有効な方法といっても、最初の導入期の支援なのか。より使いこなすための、より当たり前に使ってもらうための定着期の支援なのか。あるいは「もっとアカウントを増やして、機能を増やした方が成果が出ますよ」といった更新・拡大期の支援なのかで中身が異なるのです。

ヘルススコアとDEARフレームワークによる成功の指標化


ここからはカスタマーサクセスの本質部分に入るのですが、ただお客様に毎日メールを送り、打ち合わせをし、資料を送ればサクセスするのでしょうか?
「本当にお客様は動いてくれるのか」「本当にお客様は満足してくれるのか」はしっかりと確認しないといけません。
その指標として、お客様のヘルススコアがあります。ヘルススコアとは、お客様が自社のプロダクト利用を継続するかどうかを測る指標を言います。しっかりと情報を確認し、管理します。
また、DEARフレームワークでお客様の利用状況の完了率や、お客様との関係性や満足度、サービスの活用度、あるいは費用対効果を確認します。「お客様はうまくいっているんだな。そして、こうすればうまくいくんだな」ということを数字で測るのです。

米Gainsight社がまとめたヘルススコアを設計する際に用いるフレームワーク。 Deployment(最適な利用条件の充足度)、Engagement(顧客との関係値)、 Adoption(プロダクト・サービスの利用率)、ROI(費用対効果)から構成される。 この4つの観点を用いると解約理由が反映され、対策を講じやすいヘルススコアを構築できる。

カスタマーサクセス for successionより

お客様には登録してくれと言ったら登録してくれないし。使ってくれと言ったら使ってくれない。


この講義では、特に参加者の皆さんが「うんうん」と頷くシーンがありました。
それは、お客様がとるべき行動に対し、カスタマーサクセスがどう働きかけるべきなのかを説明するシーンでした。
例えば、お客様にシステム設定をしてほしいときは、「データを入力してください」「操作方法を覚えてください」といった、お客様がとるべき行動があります。
ただ、お客様に「データ入力をしてください」と働きかけ、「はい。データ入力します」と行動してくれるでしょうか?
答えはNOです。
カスタマーサクセスを経験すると、「そんなことは起きない」という現実を知るのです。
お客様は「ユーザー登録をしてください」と言えば、ユーザー登録をしてくれませんし、
「サービスを使ってください」と言えば、サービスを使ってくれないのが現実なのです。
「これ、わかりますよね?」と聞けば、わからないのです・・・笑
お客様が商品やサービスを使うのに困るから、カスタマーサクセスが課題を解決し、手を差し伸べることで真の価値提供ができると説明します。
それも「お客様がこうなったら、こうしよう」ということをあらかじめ決める必要があります。
それは、僕たちカスタマーサクセスのリソースも限られているからです。
「このコンテンツを用意すれば、このボタン一つで、情報が提供できる」という調子です。
お客様の状況に合わせて、どう対応するかを設計するのも、カスタマーサクセスの重要なスキルなのです。

さいごに


リアルイベントを終えて、このイベントに参加することができたことを「本当に良かった」と振り返ることができます。
パネルディスカッションやシミュレーションゲーム (グループワーク)についても触れたいところですが、そうすると文字数が2万字を超えてしまうため、以下の参加者さんのレポートをお読みいただけますと幸いです。

講義を聞きながら、改めて感じたのは、体系的な知識をつけることの重要性でした。
スタートアップは、日々状況が変化します。「明日からこのシステム設定が変わります」「来週からの戦術はこう変わります」といったように、軌道修正が非連続に発生します。
一方で、体系的な知識は、状況が大きく変化しても変わることのない「型」になります。それらがお客様の体験をより良いものにし、お客様の成功や利益向上につながるのです。
もちろん、ただ知識がある状態で、それが活かせていない状態もあってはなりません。
これらを事業会社で実践し、PDCAを回した数がノウハウになります。
先日読んだ、DeNAの代表取締役会長の南場 智子さんの記事でも、「私は「人は仕事でしか育たない」と思っている」と発言しており、実践することがいかに重要かを思い知りました。
イベントには100人の参加者がいました。ですので、100通りの感じ方があったと思います。
こうしたケーススタディを続けることによって、お客様の成功のきっかけを生み出し続けられるといいなと思います。
さいごに、イベントの主催にあたり、協賛いただいたコミューン株式会社様、株式会社ユニリタ様、どうもありがとうございました。おわり!

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