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図らず発達障害について思いを巡らせる読書体験を得た話〜(漫画)君と宇宙を歩くために

Xで流れてきて衝動買いした作品。
想像以上に引き込まれた作品だったので、簡単にご紹介。

勉強もバイトも続かないドロップアウトぎみなヤンキーの小林。ある日彼のクラスに変わり者の宇野が転校してくる。小林が先輩から怪しいバイトに誘われているところを宇野に助けられ、その出来事をきっかけに2人の距離は縮む。宇野のことを知れば知るほど彼の生き方に惹かれ、自分も変わろうと行動する小林だったが…。「普通」ができない正反対の2人がそれぞれ壁にぶつかりながらも楽しく生きるために奮闘する友情物語。

あらすじ(ネタバレあり)

上は、アマゾンの紹介文の引用。
タイトル通り、ちょっと変な宇野くんとヤンキー小林くんの2人を軸にした漫画。

発達障害と(知能の)グレーゾーンがテーマとして取り上げられている点が特徴かと思うとともに、自分の過去を振り返ってみても、「あのヤンキー君はもしかしたら・・・」と思わずにはいられない読書体験でした。

小林が在籍している学校に突如転校してきた宇野。
自己紹介の声がデカいという時点でちょっと変わり者ぶりを発揮します。
宇野はいつも小さなノートを持ち歩いており、それにはどういう出来事に遭遇したらどういう風に対応する、というのが事細かく書いてあります。
例えば、泣きたくなったら家まで我慢するとか、そういった「普通」の生徒であれば意識せずにやるようなこと。
さらに、小林と天文部の部長の言い争いの大きな声や音を極端に嫌がり、パニックになる。
言葉は出てきませんが、俗にいう ”発達障害” であることが暗示されています。

実は小林もバイト先でミスが多く、なかなか物事を覚えられないという悩みがありました。
宇野のノートの存在を知り、バイト先で聞いたことをメモし再現し出すと、少しずつ状況は改善していきます。
二人とも天文部に入部し、これからどうなるというところで1巻は幕を閉じます。

自分の経験との対比

もう20〜30年も前の話になってしまいますが、自分が中高生の時には、同級生にいわゆる「ヤンキー」が数名おりました。
教師には反抗的な態度をとり、授業は真面目に聞かずに寝てばっかり。
人によってはタバコを吸ったり、単車を乗り回していたり。

もしかしたら、今の学校では絶滅危惧種かもしれませんが・・

自分は割と昔から分け隔てなくというか、誰とでも接するタイプだったので、ヤンキーカテゴリの人とも時々遊んだりしてました。
聞いてみると、シングルマザーで母親もヤンチャだったりとなんとなくそうなった理由がわかるような人もいれば、普通のサラリーマンと専業主婦が両親という場合もあり、彼・彼女らがそういう生き方を選んだ理由というのは一つではないような印象です。

ケーキの切れない非行少年たちという本で、人口の10数%の人が、いわゆる知的障害者と通常の知能の人の間のグレーゾーンに該当するという内容が示されており、個人的大きな衝撃を受けました。

余談になりますが、鉄道会社に勤める友人は
「乗り換えの仕方を何度説明してもわからない人が一定数いて、何度説明してもわかってもらえない」
といったぼやきをしていました。
どの切符をどうやって改札に通せば良いかというを理解してもらえない、というのです。なんとなく、このグレーゾーンの話と通ずる部分があるなと思って聞いていました。

で、本作品の中で小林が小学校の時に授業についていけなくなり、わからないと言って馬鹿にされるのが嫌だったから放置し、ヤンキーになったという旨の発言をしていました。

我々は、程度の差こそあれ一定程度のことは理解できる、という前提で全てのことを考えてしまいがちですが、そもそもの資質的に理解が難しい人、そして、仮に理解できなくても自ら助けを求めることは容易ではないことを肝に銘じておかないと、不幸な人を産んでしまうなと思いました。
本作品は漫画、フィクションではありますが、話の流れとしては実際にあっても全くおかしくないストーリーですからね。

ちなみに、「あれ、内容とタイトルがあってなくね?」と気になった方。
是非、一度手に取って読んでみてください。
宇野のノート、が鍵です。

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