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中判フィルム PENTAX645 作例
僕が中判フィルムを始めたのはちょうど一年前にネパールに行ったことがきっかけだった。それまでフィルムは祖父の形見であるCanon7という古い35mmフィルム一眼レフカメラをデジタルの撮影の合間に撮ったり、登山で数枚撮るくらいでそこまでフィルムにはハマっていなかった。
ネパールの話をフォトグラファーの友人としていた時にせっかく行くなら中判フィルムを持っていったほうがいいとFujiGW690iiiを貸してくれた。もともと機材にあまり興味がなく撮れればいいと思っていた僕はそんなに重くないしとりあえず持っていくか、ぐらいの気持ちだった。
ただ、さすがにネパールでいきなりぶっつけでは撮れないので出発前に仲のいいモデルに頼んで数枚撮らせてもらった。現像から戻ってきた写真、そこには僕の知らないものが写し出されていた。語彙力の無さは否めないが、デジタルとはまた違った奥行き感があり、線が美しく、フィルム特有のざらつき感もある。それら絶妙なバランス感が写し出す優しい写真。それまで古いフィルムカメラしか使ってこなかった僕にとって中判フィルムの持つ美しい描写力は一気にその魅力へと引き込まれていくきっかけとなった。
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この流れでいくとネパールで中判をメインに使うかと思いきや、そうはならなかった。というのもネパールに行くために某カメラメーカーから機材を借りていてそれをネパールで試す予定だったからだ。ネパールではその機材をメインに使用し、要所でのみフジで撮るくらいだった。
今思えばもっとフジで撮っておけば良かったと後悔しているほどネパールのフィルム写真はいいものが撮れている。見返す度にその場の空気や匂い、そこに流れていた音までもが写真に切り取られている気がする。フィルムに見出す最大の魅力はそういった感覚を写真から感じられるところだろう。シャッターを切る度に露出やシャッタースピードなどを設定し、1枚1枚撮っているという感覚を持ちながら丁寧にフィルムを交換する。ましてや厳冬期の山の中ではその1枚を撮るためにガタガタ震えながら悴んだ指先を動かしている。そんな思いをしてまで撮った写真が現像から戻ってきた時にイメージ通りに全く撮れていない絶望感。そう簡単には撮らせてもらえない、だからこそ撮れた時の大きな喜びはデジタルでは決して味わえないフィルムの良さだろう。
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そしてネパールの帰国後に様々な作例や記事を読んで購入したのがPentax645。Pentax645には初代645,2代目645n,3代目645n2の3種類がある。大きな違いはAFが使えるか、ミラーアップ撮影ができるかくらいだったので値段も安い初代645の程度の良い物を探して購入した。中盤フィルムを始める1台目としては手頃でレンズを合わせても7,8万くらいだった。
なぜ今回この作例noteを作ろうかと思ったかというと正直に言ってどの中判フィルムカメラもなかなか良い作例が見つからなかった。デジタルに比べ圧倒的に使用している人口が少なく、メーカーも生産を終了しているので新しい作例もさほど出てこない。もちろん現代でも素晴らしいフィルム写真を撮っている方たちはいるが、彼らはSNSなどにはご自身の写真をあまりポストしておらず、自分好みの見たい作例を探すのに苦労した。個人的に思うのは本当に良いフィルム写真は雑誌か写真集、個展、または本人のホームページなどに掲載されていると思っている。(ここで言う"フィルムの良い写真"というのはまた別の機会に書きたいと思う。)
決して誤解しないでほしいのが僕の写真が素晴らしく、どうだ僕の作例を見ろ。と言うわけでは全くなく、この先中判フィルムカメラを使ってみたいと思う人たちにとって少しでも参考になれば良いなと思い、このnoteにまとめることにした。もしかしたら僕の写真が刺さる人もいるだろう。本当は撮ってみたいけど、なかなか一歩が踏み出せない。そんな人たちの背中をそっと押せるきっかけになればいい。そんな小さな気持ちだ。
僕自身まだまだフィルム撮影に慣れておらず、50枚に1枚でも自分の好きな写真が撮れていればいいほどイメージ通りには撮れていない。失敗も多く、お金はどんどん飛んでいくが、それでもこの中判フィルムが持つ魅力に引き込まれてしまった。現代ではiPhoneやGoogleピクセルなど携帯で誰でも手軽に綺麗な写真が撮れ、ミラーレス機や新しいレンズの性能、描写力はとめどなく進化し続けている。そんな時代の中でフィルムで撮る楽しさ、フィルムを使い続ける目的をこの作例noteをきっかけにあなた自身で見つけてもらえれば嬉しい。また、先日新しく購入した同じ中判フィルムカメラのPLAUBEL Makina67やいくつか持っている35mmフィルムの写真も今後は作例としてまとめていきたいと思う。
レンズは
smc PENTAX-FA645 55mm または smc PENTAX-FA645 33-55mm
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Film development by Carmencita Film Lab, Book and Sons and Photo Ueno.
石橋純
東京を拠点に様々な国や地域の自然に触れながら登山活動をする写真家。 山岳写真をはじめ東京・南青山にあるジャズクラブ BLUE NOTE TOKYO では国内外のトップアーティストを撮影し、ファッション雑誌やアルバムジャケットの撮影やコラム執筆など幅広い仕事を行っている。
またユネスコの無形文化遺産であるブラジルの伝統芸能「カポエイラ」を26年間学び、LAを本部に置くCapoeira Batuque カポエイラバトゥーキではContra Mestre(副師範) の位を持つ。20年近く子供から大人までを教えながらTVやCM、アーティストのMVや広告などでカポエイラの監修や指導をしながら自身もパフォーマー兼モデルとして活動する。2022年に写真集「Life is Fleeting」を刊行。
Jun Ishibashi is a Tokyo-based photographer. He travels around the globe, engaging in mountaineering and other nature-related activities. His wide range of work includes writing columns and photographing mountains, fashion, album covers, and top artists worldwide̶including ones in Japan’s BLUE NOTE TOKYO, a famous jazz club in Tokyo. He also studied Capoeira for 26 years, a traditional Brazilian art form that is listed in UNESCO’s Intangible Cultural Heritage. As a certified Contra Mestre in the LA- based group Capoeira Batuque, he has been teaching people of all ages for over 20 years. Furthermore, he is a performer and model, supervising and teaching Capoeira on TV, such as in commercials, music videos, and advertisements for artists.
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