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ブックレヴュー 岩波新書の「メディア不信」林香里著

岩波新書「メディア不信」のレビュー

メディアとその情報の信頼性は、今日の情報過多な社会において、常に議論の的となっています。

林香里著「メディア不信―何が問われているのか」は、この重要なテーマに光を当て、読者に深い洞察を提供します。

本書は、フェイクニュースやポスト真実といった現代のキーワードを通じて、メディアの現状と市民に求められるリテラシーについて掘り下げています。

著者の林香里は、東京大学大学院情報学環教授であり、ジャーナリズムとマスメディア研究の専門家です。

彼女は、ドイツ、イギリス、アメリカ、日本のメディア状況を比較し、それぞれの国でのメディア不信の現状とその背景にある社会的、政治的要因を分析しています。

特に、商業主義の主流化やポピュリズムの台頭がメディア不信にどのように影響しているかを明らかにしています。

本書は、メディアが直面している課題と、それに対するプロフェッショナリズムの必要性を強調しています。

また、市民が情報をどのように処理し、信頼性を判断するかというリテラシーの重要性も指摘しています。林氏は、民主主義を支える健全なメディアの役割と、市民が情報に対して持つべき批判的な姿勢を説いています。

「メディア不信」は、情報に基づいた意思決定を行う上で、私たち一人ひとりが直面する課題を浮き彫りにしています。


この本は、メディアと情報の信頼性について考えるための優れた出発点を提供し、読者に対して、自らの情報源を見直し、より良いメディアリテラシーを身につけることの重要性を訴えかけています。

岩波新書「メディア不信」は、現代社会におけるメディアの役割と市民の責任について、深く考える機会を与えてくれる一冊です。。

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