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海外の漫画ファンってどんな人?「MANGA Plus」のユーザーアンケート結果を公開してみます。

こんにちは。少年ジャンプ+編集部のモミーです。

少年ジャンプ+編集部では、「MANGA Plus by SHUEISHA」(以下、MANGA Plus)という「少年ジャンプ+」の海外版のような漫画誌アプリ・WEBサービスを2019年から運営しています。(※その狙いなどについては、前にこちらのnoteで書きました。)

現在、MAU(マンスリーアクティブユーザー)は600万を超え、「少年ジャンプ+」連載作品では、日本のコミックスの初版部数を海外の部数が超えるような作品が続出している(他にも様々な要因がありますが)など、多くの海外読者が集まり成果があがっているサービスです。

今年、その「MANGA Plus」でユーザーアンケートをとりました。
なんと、10万人近い海外の漫画読者に回答してもらえました。
海外の漫画読者は一体どんな人たちなのか。なかなか貴重なデータかと思うので、今回のnoteでは、その結果の一部を公開したいと思います。

□ユーザーアンケート概要
・実施期間:日本時間2022/6/20(月)~7/3(日) 2週間
・対象地域:全世界(日本、中国、韓国を除く)
・対象言語:英語、スペイン語、フランス語、タイ語
・対象デバイス:web・アプリ
・回答総数:98,346件

最初に紹介するアンケート結果はこちらです。

1)あなたは紙のマンガの単行本を購入したことがありますか?

フランス語とタイ語のユーザーは、なんと約8割が「10冊以上単行本を購入したことがある」という結果でした。海外漫画ファンの熱を感じますね。

2)あなたはデジタルのマンガに課金したことがありますか?

多くの言語圏で、1~2割に留まりました。タイ語ユーザーを除いて、電子書籍で漫画を買う海外読者は日本と比べてまだ少ないことがわかります。

3)あなたは海賊版のサイトでマンガを読んだことがありますか?

こちらは変化が興味深かったので、2年前にとった同じアンケートの結果との比較でご紹介します。

2020年時点では、なんと9割近いユーザーが海賊版で漫画を「よく読む」「たまに読む」と回答していたのですが、今年の結果をみるとほぼ半減しました
「MANGA Plus」をきっかけに更新をとめた海賊版サイトもありました。
できるだけ多くの連載作品を日本と同時に更新する「MANGA Plus」の展開や、海賊版対策をされている方々の尽力などにより、読者が海賊版から正規の場へ移行し始めている、そんな成果が表れ始めているように感じます。

4)3の質問で「よく読む」「たまに読む」と答えた方にお聞きします。その理由を教えてください。

海外の漫画ファンが、海賊版で漫画を読む主な理由はなんなのか。
「海賊版でしか読めない漫画があるから」という回答が最も多い結果
でした。
言語にもよりますが、まだ日本と同時に海外で更新をできていない連載作品は多々あります。海賊版でしか読む手段がない作品が存在する状況を少しでもより改善する必要があると、再認識する結果でした。

5)ラインナップのうち、翻訳クオリティが不十分と思う作品はありますか?

漫画のセリフ表現は、繊細に考えられています。
日本語のセリフを適切に各言語へ翻訳をしてもらうことは、作品の面白さや魅力を保つ上で極めて大事です。
海外の読者にとって、翻訳クオリティにどれくらいストレスがあるのか。約8割が満足しているという結果でした。たとえばひとくちにスペイン語と言っても、スペイン・中南米各国など、話されている国によってそれぞれ特徴があるため、慣れ親しんだ種類の翻訳かどうかで、読者のストレスがかかることもあるような気がします。こちらも引き続きクオリティをあげるために改善を続けたいと思います。

6)あなたがマンガの情報をよく得る場所を教えてください。

英語圏の漫画読者はTwitterとRedditでした。スペイン語圏やタイではfacebookが人気ということで、地域によって差がみられますね。Twitterがどの地域でもよく使われているのは、日本の漫画家さんがTwitterで情報発信をすることが多く、そのアカウントをフォローしている海外読者が多いのではないかと予想します。

7)あなたが、新しい漫画を読んでみようと思うきっかけを教えてください。

絵柄やジャンルに加え、アニメを観て好きになったから、という回答が多かったのは、海外ファンの特徴だと感じました。動画配信サービスの普及で、海外のアニメファンは増加傾向にある実感があります。そのファンが、原作としての漫画に興味を持つケースが増加しているのではないかと思います。

8)あなたの年齢を教えてください。

どの言語圏も20代が多いですが、タイでは10代が明らかに少ないのが特徴的でした。おそらく、WEBTOONはたくさん読むがマンガはあまり読まない、そんな若い世代が東アジアや東南アジアで増えているのではないかなと予想します

9)どんな国・地域から読まれているのか?

「MANGA Plus」はどんな地域から読まれているのか、今回のユーザーアンケートとは別なのですが、2022年9月のMAUデータからTOP50を紹介いたします。
海外の漫画市場としてあまりこれまで上位にはランキングされてこなかったような国・地域、たとえば6位フィリピン、8位マレーシア、11位のインド、13位のチリをはじめとする南米の国々などから多くの読者に「MANGA Plus」で読んでもらっていることが興味深いと思います。市場としても今後の成長に期待ができそうです。

10)「MANGA Plus」における海外閲覧数ランキング

最後に、こちらも今回とったユーザーアンケートとは異なるのですが、海外読者がどんな作品を好んでいるのか、閲覧数ランキングTOP10(2022年8月)を紹介してみます。
最新話が最もたくさん読まれたのは、『ONE PIECE』でした。
ちなみに、上位作品は、どれも100万人以上に読まれています。
※作品によって翻訳言語数に差があります。

  • ONE PIECE

  • ドラゴンボール超

  • チェンソーマン

  • 僕のヒーローアカデミア

  • BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-

  • ブラッククローバー

  • 呪術廻戦

  • SPY×FAMILY

  • 怪獣8号

  • SAKAMOTO DAYS

さいごに

アニメ事業だけでなく、漫画の海外市場もここ数年ものすごい勢いで成長しています。
作品によっては、海外出版・配信の印税の方が大きいという作家さんも「少年ジャンプ+」では珍しくなくなりました。
少年ジャンプ+編集部は今後一層、海外展開に力を入れたいと考えています。
私たちの挑戦に力を貸してくれる海外の状況に知見がある方、アイデアのある方は、よろしければぜひ、「ジャンプ・デジタルラボ」まで連絡をいただければ幸いです!