『アフターコロナの恋愛事情』恋愛小説の短編連載はじめます。
Jブックス編集部の六郷です。リモート環境でこれを書いています。自宅は鳩が来るのでうるさいです。
Jブックスでは、ジャンプ恋愛小説大賞という、恋愛をテーマにした小説賞の運営を担当しています。
運営しておいてなんなのですが、僕はとてもわからなくなりました。恋愛をテーマにしたエンターテインメントどうなるのか、ということがです。
コロナ禍の時代に生きる以上、生活様式の変容は避けられないと言います。
エンターテインメントにおける重要な要素、恋愛もまた、変容は免れないでしょう。
学校は、男女の出会いが生まれるイベントに満ち満ちた空間だったが、今後はどうか。酒場で隣り合った男女が恋に落ちることは、果たしてこれから先ありえるのか。
きっと将来、この災厄は克服されるはずだと思います。しかし疫病が去ったあと、人と触れ合う、出会うことは、2020年の春より前と同じでしょうか。どうもそうは思えない。
アフターコロナの時代、どんな恋愛ならありえるのか?
その答えを少しでも探るため、今回『アフターコロナの恋愛』をテーマにした短編小説を、気鋭の作家に依頼しました。
作家それぞれが想像力の限りを尽くして描き出した将来の恋愛像がどんなものなのか、確かめてみて頂けますか。
北國ばらっど 『仮面学級』
トップバッターは、北國ばらっどさんです。第十三回スーパーダッシュ小説新人賞を優秀賞受賞、『アプリコット・レッド』でデビュー。
ラブコメの名手、と思われていましたが……ジョジョシリーズの『岸辺露伴』を主人公にしたノベライズ作品で圧倒的な憑依芸を見せつけ編集部を驚愕させました。セリフが、確かに、完全に『露伴』だったのです。
その後、『呪術廻戦』のノベライズも担当、高い評価を得ています。※その辺のことはこちらの記事にもまとめているのでぜひ。
毎回毎回、作家としての引き出しの多さに驚かされる北國さんですが、今回の短編も予想だにしない読み味でした。少年少女のささやかな感情を丁寧な手つきですくってできた佳作です。
もっと短編書いてほしいなー!!
朱白あおい 『過渡期の僕らと受け入れない彼女』
『アフターコロナの恋愛事情』第2回目の更新は、アニメ脚本家や漫画原作者、小説家として活躍するマルチライター朱白あおいさんです。
漫画『神無き世界のカミサマ活動』を原作担当としてヒーローズで連載中。JブックスではTVアニメ『刀使ノ巫女』のノベライズでご縁を頂きました。
頂いた原稿は、まさに『ライトノベル』。さくさく読めて楽しめる。自治体と自治体の移動が制限されている世界を舞台に、ストレートなラブコメを展開してくれました。人と人が出会うコストって、どこまで高くなるのかな……。
柴田勝家 『アエノコト』
第4回目の更新、執筆したのは柴田勝家さん、SFを中心に活躍する作家です。柴田さんの今回の作品は……『アフターコロナ×民俗学』。一切接触せずに暮らす一組の男女。彼らが出会ったのは、いにしえから伝わる、ある行事の最中だった……。令和の今だからこそ生まれた傑作です。
半田畔『グッド・ローカス』
アフターコロナの恋愛事情、今回が最後の更新になると思います(書いてくださる作家さんが現れたら考えますけど)。書籍にもなるよう、企画を考えていきたいと思います。最後を飾るのは、半田畔さん。弊社はじめ、たくさんの版元で執筆経験のある多作な方。弊社からは、集英社オレンジ文庫より『群青ロードショー』『 さよなら、君の贖罪』の2タイトルが発売中です!! 読んだらきっと感じると思うのですが、男女問わず引き込まれる柔らかいテキストは見事です。とにかく、うまい。これからきっと、さらなる活躍が間違いない新鋭です!
上遠野浩平『しずるさんと見えない妖怪
~あるいは、恐怖と脅威について~』
コロナ禍での恋愛をテーマにした短編小説連載企画、『アフターコロナの恋愛事情』という企画をnoteで掲載してきました。
今回は、その総括となるようなテキストを掲載したいと思います。書いたのは上遠野浩平さんです。ご存じの方が多いと思いますが『ブギーポップ』シリーズ、『恥知らずのパープルヘイズ』など、話題作を多数執筆しています。
今回の主題は『恐怖と脅威』。まさにコロナ禍を過ごした作家の体験と思索が刻まれた作品です。