【フランス文学】『美徳の不幸』のあらすじ

 最近『美徳の不幸』というマルキ・ド・サドの書いた小説を読んだので、この本ついて述べる。これは『悪徳の栄え』と対を成す作品である。

1791年(初版)

 『美徳の不幸』の舞台は18世紀のフランスである。主人公のジュスティーヌは、姉のジュリエットと共にパリの修道院で育てられていた。しかし12歳になった頃、家が破産した。父はイギリスに逃亡し、母は病気で死亡した。残された姉妹はお金を親族からもらって、何でも好きなことをするよう言われて修道院を出なければなりませんでした。ジュリエットは成功して、金持ちと結婚したが、この間、ジュスティーヌはとうぞくに会ったり、レイプされたり、そしてさらに悪いリベルタンの女囚になったりした。でも、多くの困難を乗り越えて、いつも信仰を保ち、罪人を許す。最後に姉に会って、一緒に暮らしますが、それほどの喜びに喜びに値しない(あたいしない)と思って、自殺した。

 この小説の主題は道徳と不道徳の対立である。まず、退廃的な社会のなかで不道徳のせいで正直な人や無邪気な人が犠牲になる。キリスト教の倫理への強い批判を通じて悪徳で腐敗した司祭達が描かれている。また、倫理的で哲学的な議論のなかで、偽善的な社会が風刺され、社会を支配するキリスト教が糾弾されている。私は物質論(マテリアリズム)の倫理は興味深いと思って、倫理のことをもっと考えてみたいと思います。最後にサドの思想はとても独特である。例えば、サドの物質論はカントの倫理の反対である。カントの道徳法則は同時に普遍的な妥当性を持ち得る行為だけをすべきだという定言命法である。その一方で、サドの立場は善悪を問わず自分だけの快楽を満たすべきだというものである。現代、快楽や利益などのほうが美徳より重要である以上、サドは先見の明があったと言えるだろうか。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?