敬愛なる上司たち
午後一、支店長から電話がかかって来た。
「あ、ユリアンさん?今、ちょっといい?」
『嫌です』
即座にそう返したけど、支店長は「なんでよ~」と。
『支店長が頭に「今、ちょっといい?」って、言う時は厄介事がある時です』
そう答えたら、支店長は笑いながら、
「分かる?付き合い長いと話が早くて良いわ~。でね」
嫌だ。って、言ってるのに話を続けてきた。
この支店長。ものすごく分かりやすい人。
電話はだとこんな感じで、直接来た時にケーキやミスドを持ってきた時も頼みごとがあるというサイン。
今回は支店のスタッフが自損事故で社用車のサイドミラーを吹っ飛ばし、天井部分が凹んだと。
後で画像を送ってもらったが、車の天井は塗装が剥がれて、えぐれてるというか、凹んだなんて表現じゃすまない感じだった。
事故だし修理にお金がかかるし、上には報告しないといけないけど、
「どうにかならない?」
ということだった。
そんな権限無いし、上の機嫌を見計らって怒られ具合が軽く済む時に報告するしかない。
『巻き込まないで下さいよ』
って、言ったら返答は、
「いっつも、どうにかしてくれるじゃん」
だった。
電話を切ると部長から、
「石田さん、何だって?」
支店長の用件を聞かれた。
良い内容じゃないのは漏れ聞こえてたようなので詳しく報告すると、
「う~ん、俺は何も聞いてない」
この発言の後、「コーヒー飲むか?」と、自販機でコーヒーを買ってきて手渡された。
上に報告する時に支店長と一緒に怒られてあげて。という意味と解釈した。
敬愛なるクソババアとクソジジイ。
周りを巻き込むスキルと、内容によっては知らんぷりするスキルが出世には必要なのかも。
ジュースが飲みたいです('ω')ノ