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旅の哲学

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記憶が旅をする時間

記憶が旅をする時間

 手帳には、中止になったが、まだ消していない予定がある。

 もしまだ世界が、おおむね今まで通りに動いていたら。

 今日はフィンランドにいて、EJC2020に参加している予定だった。初日のスタートだ。きっともう一週間ぐらい前にはヨーロッパのどこかにいて、新しいものを見たり、古い友人に会ったりしていただろう。今日の朝には会場に移動して、だいごさんやふじくんと一緒に、ショップの準備をしていただろう。

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シンガポールの朝

シンガポールの朝

(◆ジャグリングがつなげるもの Weekly◆ 第53回より 加筆修正して掲載)

 別に何はなくとも、シンガポール人のスィン姉さんからはたびたびメッセージが届く。ちょっとしたことを頼まれることもあるし、最近元気か、みたいなメッセージの時もあるし、いろいろである。
 スィンとはもう7年くらいの付き合いで、初めて会ったのは2013年にシンガポールで開かれたサーカスフェスティバルに行った時だ。僕はま

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講演録 「旅とジャグリング」について語るときに僕の語ること

講演録 「旅とジャグリング」について語るときに僕の語ること

 海外のジャグリングとか、僕自身の生活とかに興味があるジャグラーが、目の前に2、30人くらい、感じのいい部屋に集まっていて、そこで講演をしているような気分で、今これを書いています。不特定多数に書こうとすると、なんか気後れしちゃって、話せないことがいっぱいあるから。
 あなたがもし、この文章を最後まで、少なからず関心を持って読んでくれたとしたら、あなたは僕が想定していたお客さんです。「なんだ、全然思

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家をただの囲いだと思おう

家をただの囲いだと思おう

 "Home sweet home"とはいうけども、家を「帰るべき場所」だと思うことをやめることにした。僕は今一人暮らしをしているから、余計にそういう風に気後れなく言える。

 今日、公園でジャグリングをして、帰り道を歩いていて、なんだか家に帰りたくねえなあ、と思った。なぜか。それは、家に帰ると、安心してしまうのがわかっているからである。僕は安心したくないのである。安心してしまうと、慢心してしまう

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