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おれのどうでもいい失敗、反省。

俺が駄菓子屋をやめたと言っても、駄菓子屋をやめたのを知らない当時の小中学生はそんな事は知らずにずんずんやってくる。「なつかしいー」「ひさしぶりだー」と入ってくる元常連に「駄菓子屋やめたぞ」とカウンターみたいな台詞を云う時はなんか清々した爽快感すらある。「まじで笑!?」と笑ってもらえたりすると気持ちいい。

元々店がなくなったから位の事でくよくよする付き合いではなかったし、一緒にそれをくやむなんてどこか嘘もあるようでそんなの恥ずかしい。どっちにしても フィクションなんかなくノンフィクションばかりだったと威張れる様な事でもなかったじゃんと。俺が駄菓子を近所で売っててたまたま駄菓子をお前が買ってた時はなんかもっとほんと普通だったじゃんと、

はじめから大人だった俺は思うんで、そう云うんだけど、

当時子供で、これから大人になっていく彼らや彼女らは、なんか惜しんだり誉めなきゃと思うのだろう。なくなった駄菓子屋を。


今日もなつかしい二人が「おひさー」とかやって来てくれて、駄菓子屋を辞めたことに気づかずに「なつかしー」「かわらないなー」と言ってくれてるんで、俺の方から「おかしくねーか」駄菓子が前より全然なくねえかと言ったらやっと「あれ!?」と気づいてくれた。うすうす内心では思ってたかもしれないが、。

そして、敬語になってしまった。


この瞬間はいつも寂しい、

彼らも彼らで駄菓子屋のおやじに昔の子供だった頃のままを少なからず演じながらわざわざやって来てくれてるのだ、ひさしぶりだ、なつかしいとテンションを保ちながら。

それの出鼻をくじくどころか、

駄菓子屋までやめてしまってたんで、俺がほんとにただのおじさんになってしまってたんで、演じる事をあきらめてしまって、お互い他人に戻って仕切りなおそうかとなってしまいそうなのを、

「いやいや前のままでいいんだ」と慌てて止める俺。

せめて、もう少し演じてやっててくれと俺の方からお願いしたいのだ、お互いよそよそしくなって「この頃の景気はどうですか?」なんて世間話を、昔生意気だっただけの奴に畏まれながら聞かれたりするなんてたまらねー。そんなのやなもんですよ。

ただこの二人は敬語だけのままになってしまった。俺の持って行き方の失敗だね。「やっぱり、自由に生きるっていいですよね」俺の商売をいい方向から見て言ってくれてるのだろう、ありがとう。「子供の頃、毎日来てましたよ」昔どおりの付き合いなら「そこ毎日じゃなくて、せめて週に一、二回の毎週だろ?」とちゃんと突っ込んでたよ、ありがとう。「いまの子供達は遊ぶとこがなく可哀想ですよねー、それと比べて俺達は良かったですよ」と誰でも言える大人の台詞をありがとう。


なんだこりゃ


こんなんじゃねー。

こんな事をそっちに

言わせちゃったら終わりだよ。

たぶんもう来てくんないだろうなー。そんな事またわざわざ言いに来るなんてつまらないでしょ。

いちお、帰る時「こんど皆を連れてきてよ」「たこ焼あるし」と言ったら、「はい!」と元気よく答えてくれたけど、

たぶんダメだろうなー。

しょうがねえ。

俺の場合、昔のお客さんだけはきら星の如くいる、次はよくやってみようとも思い直す。

ただ、さっきの事もやっぱり気にかかる。

そしてね、

たばこ吸いに行ってベンチでぼーとしながら、この事ももう一回思い直してみた。

子供の時あんなにバカで気兼ねなかったのだから、もしかしてまたなんも関係なく「俺、毎日来てたんだよなー」「なつかしー」「おひさー」と全く同じ事いいながら来てくれるかも、、あいつ昔ただのバカだったからそんな事をもう一度やってくれるかも、、その可能性もあるぞと思った。もう一回しれっとやって来てくれるかもしれない。あれは子供の頃からそんなところがあったな

と思った。

そしたら「駄菓子屋やめたんだよねー」ともう一回同じ事を言おう、で、その次を失敗しないようにしよう。うまくやろう。と決めた。

「あいつは子供の時そんなところがあったぞ」と、あいつがいつも遊んでた数人の事も一緒に思い出して来た。

あいつとあいつが仲良かったとかまで思い出して来た。


あいつは子供の時そんなとこがあったなーか、

そこまで思い出せれば、次はうまくやれるかもしれない。

「あいつバカだったからまた来てくんないかなー」と吸うタバコとてもおいしいかった。


追記

昔の常連はいつでも突然急にやってくる、あっちはまず自分が覚えてられてるかと緊張してたりする、こっちはまず、慌てちゃいけない。一緒に緊張するなんてなお悪い。覚えてても覚えてなくても気さくに出来たら俺的には上出来だ、あとはいろいろ聞いて、ちょっとづつ思い出して、全くお互い記憶のすみに忘れてた事を思い出して爆笑できたりしたら、最高だ。

三十分あればできると思う。時間を少し俺にください。ほんとはそれを久々にしに来てくれたんだと思う。俺に三十分くれ。昔の長い付き合いを白紙みたいにしに来ただけじゃ、そっちにもおれにもつまらねーし、浮かばれねー。


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じょん よしぎの
店での暇な時間を見つけていろいろ書いてみます。楽しい。 よしぎの、  駄菓子屋をしてたんですがやめました。いろいろ失敗して2019年からまた同じ場所で店してます。駄菓子もちょっと置いてます。コーヒー、かき氷、缶ビール、絵、他。宮城県仙台市