昔の私に教えてあげたい。正しい「フィードバック」で必要な3つの要素
3年以上も前の話ですが、私は部下を2人も辞めさせてしまったことがあります。
その原因は明確で、「フィードバック」が下手くそだったから。
毎日「フィードバック」と称した"ケンカ"をしていました。
自分はチームメンバーや事業の成長を願ってフィードバックを伝えているのに、聞き入れてくれない。
むしろ強烈に反発をしてくる。
私も言葉のナイフが鋭くなっていき、相手の懐をエグっていきました。
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私「ねぇ、今日ずっとこの資料作ってるけど、なんでかな?」
相手「ちょっとユーザーさんが困ってるので、解説用の資料を作ってました。」
私「それは分かるけど、今はこのメールの対応のほうを優先したほうが良いんじゃない?TODOの管理できてる?」
相手「はい?やってますよ、ちゃんと。ポストイットでここに貼ってるでしょう。」
私「そうだけど、優先度が適切じゃないんじゃない?」
相手「いや、そのメールの対応は今やるべきじゃないでしょ。何も分かってないくせに。」
私「分かってないのはそっちでしょ。だいたいねぇ……」
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ずっとこんな調子で、毎日2時間はケンカをしていました。
「てめぇ、ぶっとばすぞ」とまで言われたこともあります。
ただでさえ忙しいのに、時間も取られて、みんなが疲弊していく。
他のチームから「うるさい」とクレームが入る日々。
人のことが、そして自分のことがどんどん嫌いになっていきました。
仕事人生の中でも大きな「失敗」の1つです。
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先日、noteの「下書きフィードバックグループ」が超良かった、という話を書きました。
このグループをやりながら、「フィードバック」をする時に必要な要素にいくつか気づくことができました。
同時に、あの時の「フィードバック」は何がイケなかったのか、はっきりと分かったのです。
結論から言うと、「正しいフィードバック」には下記の3つが必要でした。
①ゴールの共有
②信頼関係
③愛
①ゴールの共有
極端な例ですが、野球選手を目指している人に「サッカーのパスが下手だから直したほうが良いよ」とフィードバックをしても、本人のためになりません。
フィードバックされた側も「そこを伸ばす必要ないんだけど……」と思っていたら、フィードバック側との気持ちのすれ違いが起きてしまいます。
なので、フィードバックされる側が何を目指しているかを知らないと、正しいフィードバックはできません。
今運営している「noteクリエイターグループ」で下書きフィードバックを受ける際、プレビューのURLと一緒に「目指したいスキ数」を宣言するようにしています。
そうすることで「メチャクチャバズりたい記事」なのか「仲間内で良い反応をもらいたい記事」なのかが分かるようになります。
このお陰で、とても熱量の高い、クリエイティブなフィードバックが日々繰り広げられています。
私の部下が辞めてしまった原因の1つは、「ゴール」を共有できていなかったことでした。
私は売上を見ていて、部下はユーザーを見ていたんです。
今思えば、そもそも私のゴール設定が誤りだったのですが、そのゴールすら共有せず、部下に押し付けてしまっていたなと。
本当に申し訳ないことをしました。
②信頼関係
キングコングの西野亮廣さんの記事「イジメとイジリの境界線」に、このように書いてありました。
ただ、芸人さんのイジリの下地には、いつも"信頼関係"があります。
表層だけ切り取ると、乱暴な言葉(指)を浴びせているように見えますが、その裏では「一緒に面白くしようね」と握手を交わしています。
この「イジリ」と「フィードバック」はとても似ていて、どちらも「その人(の作品)のどこが"変"なのかを本人に直接言う」行為なんですよね。
だから「一緒に良いものを作る」という信頼関係がない限りは、ただの批判になってしまう。
そこに信頼関係が生まれるだけで、「フィードバック」は(「イジリ」も)、とてもクリエイティブな作業になります。
noteのクリエイターグループも、元々お互いTwitter やnoteで交流があったメンバーで、また各人がどのようなコンテンツを作っているかある程度知っていたため、一定の信頼関係が築けていました。
そのため、多少辛辣なことを言っても受け止められる素地があったように思います。
昔の私は、この信頼関係を築けていませんでした。
昔からあったサービスの運営チームのリーダーに私が新しく就任した形だったのですが、部下はそのサービスに昔から関わっていて、愛着があったんです。
そんなことも考えず、就任早々に今までのサービス内でのやり方を大きく変えるような施策を進めようとしていました。
そこに反発した部下に対して、自分の施策を押し通すためのフィードバックをいきなりしたわけです。
まだ信頼関係も築けていないのに。
結果は、もうご存知のとおりです。
③愛
とても概念的な言葉ですが、定義をすると「相手の事をしっかりと見て、世間の動きも踏まえた上で、その人がより良い方向に向かえるように思いやる気持ち」ということです。
表層的にしかその人のことを知らないと、その人の本当の良さを潰してしまう可能性があるため、フィードバックする相手を深く理解する必要があります。
また、その人が向いたいゴールに向かうために障害となる、世の中のトレンドだったり一般論が存在する場合は、それも踏まえて指摘する必要があります。
・相手を深く理解すること
・世の中を踏まえた指摘をすること
この2つのことをやり遂げるためには、やはり「愛」が必要だと思うんです。
「noteクリエイターグループ」でのうすいさんのフィードバックを見ると、「愛」に溢れてるんですよね。
他のメンバーのコンテンツをとてもよく読み込んでいますし、普段うすいさん自身がどのようなコンテンツがウケるのかや、世の中がどうなっているのかを深く注視し、そこでの知見も踏まえてフィードバックしています。
そのフィードバックを見て、私もとても勉強になりました。
あの時、私には「愛」が足りませんでした。
自分のことばかり考えてしまっていて、相手のことも世の中のことも理解しきれていなかった。
もっと歩み寄るべきだったし、冷静になるべきだった。
当時仕事を抱えすぎていて、心の余裕を全く持てていませんでした。
いかがでしたでしょうか。
あの時の私のように、フィードバックで悩んでいる人が居たら、伝えたい……。
そんな思いで書いてみました。
結論として「フィードバック」は、信頼関係と愛がある前提で、同じゴールを共有しながら進めていく営みだということです。
ここを蔑ろにしたフィードバックは自己満足の批判にしかなりませんし、人を傷つけるばかりです。
あの時の失敗を元に改善をして、私も今ではケンカをすることも全く無くなりました。
チームメンバーと良い関係を築けていますし、noteのフィードバックグループも非常に高い熱量で活動していて、日々気づきを与えてくれています。
失敗は成功のもと。
あの失敗があったから、今の私があると思っています。
私の失敗が、昔の私のように悩んでいる誰かの糧になることを願っています。
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