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ミライの小石23.未来の「消費」と「体験」はどうなるのか?~Z世代を起点に改めて考えてみた~

こんにちは、段野です。

年末にニュースサイトを斜め読みしていたところ、Z世代の倍速視聴・ネタバレ視聴に関するニュースが目につきました(注1)。

Z世代がタイパ (タイムパフォーマンス)を重視して、倍速視聴やネタバレ視聴を駆使し、自分が気に入った作品の視聴だけに時間を費やすことはよく知られた行動です。

私もコンサルティングの仕事では、市場調査や技術調査に臨む際、市場調査報告書の概要、技術論文のアブストラクトなどだけを読んで、読む価値がなさそうであればさっさと次に移るといった行動を日常的に取っているので、Z世代の皆さんの気持ちが分からなくもありません。ただ、これまではこの件について「今どきの若者はこういう志向なんだな」程度の受け止めで、あまり深掘って考える機会がありませんでした。

しかし、よくよく考えてみると、実はこれも未来の小石の1つなのかもしれません。Z世代のこうした行動が発展していくと、どういう未来につながる可能性があるのでしょうか?Z世代の次やその次の将来世代の消費スタイルはどうなる可能性があるのか、この機会に改めて考えてみました。


まず、「自分の好みに合うことが事前に分かっていなければ、時間を割かないし 、消費もしない」といったことが消費者行動の前提となると、コンテンツ提供側の姿勢も変わっていかざるを得ません。いまは動画コンテンツなどに限られますが、小説といった活字コンテンツ、果ては観光・スポーツなどの身体性を伴う体験型コンテンツなども、まずは結末まで一通り(VRなどで)体験してから、自分に合ったものをチョイスして試す(消費する)といった「結末確認(ネタバレ確認)」が当たり前になってしまうかもしれません。

さらにこうした欲求がエスカレートしていくと、取り返しがつきにくいような経験、例えば就職や、恋愛、果ては結婚といった経験について、あらかじめその選択の結末について、事前に高い精度での確約を求めるといったこともニーズとして顕在化してくるかもしれません。

さらにこのような行動が一般的になっていくと、ある選択について、事前に確認したはずの結末通りにならなかったときに対応するサービスも出てくるかもしれません。例えば、思い通りの結末になるまで何度もやり直しをさせてくれたり、あるいは保険のような仕組みでその経験に要した費用や時間を救済してくれたりするようなサービスです。あるいは、 より精度を高めるという意味で、1人1人の過去の選択の経緯をすべてAIが学習し、その人の好みをあらかじめAIなどで推定したうえで、「恐らくその人が納得するであろう選択肢」をオススメしてくれるようなコンシェルジュサービスも登場するかもしれません。

個人的には、エンジニア/コンサルタントとして、セレンディピティの効用を信じているので、そのような予定調和ばかりの世界には少し違和感を覚えますが、それも1つの可能性なのかもしれません。


(注1)「「おもしろくないなら、時間もお金もかけたくない」倍速視聴・ネタバレ視聴を駆使するZ世代特有の「テレビ」との向き合い方(集英社オンライン) - Yahoo!ニュース)(2023年12月23日/2024年1月12日閲覧)
https://news.yahoo.co.jp/articles/292421c24b98a6bab812087d74e56c0b0eb29ae2


この記事を書いた人 段野
「機能美」という言葉に惹かれます。先人の智慧が詰まった土木遺産を見るとワクワクします。
関心…機能とデザインの融合/土木遺産/ローカルなもの/新技術/エネルギー

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