ミライの小石21.「止められる」を積極的に疑ってみることもサステナブルな解決策になる
私たちが生きる世界は、持続可能であるために乗り越えるべき課題であふれています。その代表的な例として、「地球温暖化を止めなければいけない」ということは衆目の一致するところであり、そのために国際的な取り決めがあり、各国で政策が立案され、子どもたちでさえSDGs教育を受けています。
しかし、University College Londonの名誉教授(地球科学)であるBill McGuire氏は、多くの気候学者は本心ではすでに手遅れだと思っているのに、公の場ではまだ地球温暖化を止められるかのような発言をしている、という趣旨のかなりショッキングな指摘をしています。
同じようにわれわれが「止めなければいけない」と考えて立ち向かっている課題に少子化があります。直近では、岸田首相が「異次元の少子化対策」というスローガンを掲げ、大きな議論になりました。
では、少子化は「止められる」ものなのでしょうか。その問いに一石を投じるかもしれないニュースがありました。
日本の少子化は、未婚化・晩婚化、夫婦の出生力の低下が原因とされ、これを止めるための社会的・経済的な対策が進められています。
しかし、もし少子化が生物学的に抗あらがえない現象として、つまり、「止められない」現象として起きているとしたらどうでしょう。McGuire氏が気候崩壊についてそう言ったように、私たちは少子化した世界に適応するための社会システムを作り始めることに注力する必要があります。
地球温暖化や少子化以外にも、多くの人が「止められる」と信じ、「止める」ために努力を続けている課題があります。
「止める」ために努力をすることはもちろん重要ですが、「止められる」を疑ってみると、持続可能であるために注力すべき打ち手の幅はもっと広がるのではないでしょうか。
(引用)
1.‘Soon the world will be unrecognisable’: is it still possible to prevent total climate meltdown? | Climate crisis | The Guardian
2023年1月27日閲覧
2. ヒトの精子の減少加速 70年代から6割減、打つ手見えず: 日本経済新聞 (nikkei.com)
2023年1月27日閲覧
この記事を書いた人:藍山
仕事と子育ての「ある」生活をしています(「両立」とはとても言えない)。混沌を解きほぐして一本の縄を綯うような作業が好きです。
関心…船釣り/Learning by doing/月イチ清里/ガロ系/法医学/ターコイズ
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