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ミライの小石20.相手を褒めることで自分を癒す

ここ数年、「SNS疲れ」というワードをよく聞きます。SNSの投稿を見て自分と相手を比べたり、「いいね」の数やフォロワー数など反応を気にしたり、誹謗中傷されることに不安を感じたりして、心が疲れてしまうことを指す言葉です。

こんな「SNS疲れ」の処方箋になるかもしれない新たなSNSがドイツで誕生しました。
主に10代を対象としたSNS『SLAY』の魅力は、友達からの「褒め言葉」だけを受け取れることにあります。
アプリをダウンロードすると、位置情報を提供して所属している学校を選択する(位置情報を共有せずに学校名で検索することも可能)、または/かつ、スマートフォンのアドレス帳へのアクセスを許可することで、『SLAY』があなたの友達を認識します。その後、アプリを開くと、ユーザーには12の質問(例:この人が幸せなら自分も幸せ、と思える人は誰?)が表示され、各質問の答えの選択肢として友達の中から4人が提示されます。12の質問それぞれについて、最もふさわしいと思う友達を選び終わると、友達から自分に送られた匿名での「褒め言葉」を見ることができる仕組みです。

自分は友達から大切だと思われている」と感じられたり、これまで気が付かなかった自分の良さを発見できたりするこのアプリは、いまやヨーロッパの各国で大人気になっているそうです。

“Slay bills itself as a “positive social media network for teenagers.” The reason we are talking about it today is that it’s grown like a weed after launching last year in Germany, where it reached No. 1 on the German iOS App Store four days after launch. It’s now claiming to have more than 250,000 registered users and claims it’s gaining traction in other countries, including the U.K., where it recently launched.” 

(引用1)German teens went crazy for this ‘compliments’ app, and now VCs are backing its next phase | TechCrunch

この、ポジティブな反応だけが得られるアプリ、「褒め言葉」を受け取る側ではなく、送る側に視点を移すと面白い気づきがあります。
「褒め言葉」を送る側は、友達に対して強制的にポジティブな思考になるのです。ポジティブな質問に対して、自分の感覚にぴったり当てはまる友達を直感的に選ぶとき、「褒め言葉」を送る側の心にも「この人と友達で良かった」と、優しく、柔らかな感情が広がるのではないでしょうか。
また、どんな特徴も見方によって長所になる、という思考訓練をすることで、相手の短所を矯正しようとする気持ちもなくなるかもしれません。

日本では、他人を褒めることや褒められることに気恥ずかしさを感じ、積極的に行動に出ることが少ないように感じます。時には『SLAY』のように、強制的に褒める・褒められる機会をもつことで、張り詰めた気持ちを和らげ、相手に寛容になれる効果があるかもしれません。

(引用1) German teens went crazy for this ‘compliments’ app, and now VCs are backing its next phase | TechCrunch

https://techcrunch.com/2023/01/19/german-teens-went-crazy-for-this-compliments-app-and-now-vcs-are-backing-its-next-phase/

2023年3月1日閲覧


この記事を書いた人:藍山
仕事と子育ての「ある」生活をしています(「両立」とはとても言えない)。混沌を解きほぐして一本の縄を綯うような作業が好きです。
関心…船釣り/Learning by doing/月イチ清里/ガロ系/法医学/ターコイズ
こんな記事も書いています→ミライの小石07.相談難民時代の助言者はアウトソースかインハウスか|日本総研 未来デザイン・ラボ (note.com)


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