レールの上から外れた高学歴がレールの上に戻る方法【公認会計士】

前日アップした以下の記事では、東大であっても人生のレールから外れてしまうものがいると述べた。

別にこれは東大に限らず京大や一橋、早慶等他の旧帝大でも同じであり、どこの大学でも一定数は存在すると思う。
そもそも論として、「人生のレールに乗っている」を定義することが難しい。
人によって感じ方や考え方、価値観が異なり、レールの捉え方も異なるからだ。
でも何となくのイメージとして、日本ではまだまだこの大学からこのルートであれば合格点、このルートであれば次第点、逆にこのルートはさすがにレールから外れているといったぼんやりとしたものは存在するはずだ。

例えば、東大卒が就活であまりうまくいかず、希望の会社に入れなかったとしよう。この場合は、レールから外れたというだろうか?
さすがに言わないと思う。東大卒であっても、不本意就職するものはいくらでもいるし、とりあえず新卒段階でどこかの正社員になっていれば、レールから外れたとは誰も考えないだろう。レールから外れたというのは、もっとレアなケースで、新卒ではどこにも就職しなかったとか大学を中退してしまったとかそのようなケースだと思う。

日本では新卒主義がまだまだ強く、一流大手企業に職務経歴なしで入れるのは学部卒であれば、22歳から24歳、院卒であれば24歳から26歳と相場は決まっている。
日本では浪人+留年の合計はMAX2までといった暗黙のルールが存在して、ここから逸脱した場合はなかなか高学歴であっても大手企業から内定を獲得することは難しい。
筆者は一浪+一留で2年遅れていたため、新卒でいい会社に入りたいなら、絶対にこれ以上留年するなとは強く言われていた。
またこれも暗黙のルールなのだけれども、何故か既卒、つまり大学を卒業してから無職の状態で就職活動を行うことは著しく不利だとされている。
留年して大学に在学していた場合は既卒扱いにはならないので、学生の多くは授業は殆ど残っていないのに、留年の選択肢を取る。
他の方のnoteでも言及されていたが、企業に入ってからは65歳まで40年近く働くし、人生は100年時代なのに、入口の部分はかなり厳しく設定されている。
日本の正社員の太宗は大学で学んだ知識を活かさず、しかも入った後は全然勉強しないのだけれども入るまでは大きな失敗やレールからの逸脱は許されない(社会人になってからの1年や2年なんて大した差ではないにも関わらず)

一例として東大卒youtuberのチェリーあきぴでは卒業後4年間劇団活動をやっていたというだけで、東大法学部であるにも関わらず、就職活動ではことこどく大手企業からは書類で落とされていた。
書類を突破していたのは、楽天や外資金融等であったので、やはり新興IT企業やジョブ型を前提とする外資系しか門戸が開かれていない。
日本では、メンバーシップ型のJTCに新卒で入るには、上記の年齢でしかチャンスはない。(足元中途採用が盛んであるので、ジョブ型企業で確り技能を身に着ければ、中途採用でJTCに入ることは可能だと思う)
筆者の友人や知り合いでも+3もしくは既卒で大手企業にその後入社したものはいない。
勿論大手企業は彼らのようなタイプがいきたいと思う先ではなく、受けてもいないかもしれない。そこはさすがに聞いていない。

ここまで日本の労働慣行を振り返った上で、高学歴がどのようなパターンでレールから外れてしまうのかをまずは考えてみたい。
これは社会人の入口時点と途中時点に分けられる。

【社会人の入口つまり職歴がない時点】
・浪人と留年を合わせて∔3以上となってしまい、新卒就活で既卒扱いになってしまった
・内定を取ることなく、大学を卒業してしまい既卒になってしまった
・大学卒業後、数年間趣味や芸能活動に取り組んでいた
・大学でメンタルに不調をきたしてしまい、中退してしまった
・博士号取得などで卒業が遅れてしまい、かつそこから就職先が確保できなかった(現状、日本では博士号取得者に対する労働市場の見方は決して明るくない。ジョブ型が進展すれば変わるかもしれないが、メンバーシップ型の下では、異分子は弾かれる傾向にある)
等のパターンが考えられる

【社会人になった後】
・社会人経歴の浅い段階で転職を繰り返してしまい、転職先が無くなってしまった
・途中でメンタルに不調をきたしてしまい、勢いで会社を辞めてしまった
・何らかの事情で職歴に空白期間が出来てしまった

日本の雇用慣行の本当に良くないと思うところが、職歴の空白期間に厳しい点だ。
休職していたという事実があったとしてもそれは、休職後一年間い以内で転職するケースを除いては基本的にばれないし、わざわざいう必要も無いだろう。(バレるのは基本的に源泉徴収票関連なので、源泉徴収票を提出しない場合は、休職直後または休職中であってもバレないと思われる)その一方で、職歴自体は社会保険関連でどう頑張っても偽れないので、職歴に空白が出来てしまった場合は、かなり劣勢に立たされる。これが、勢いで会社を辞めてはいけないと言われる所以の一つであり、メンタル的に厳しい場合はまずはメンタルクリニックに駆け込むのが正解であろう。
日本社会では、まだまだ休職に対する風当たりが強いが、これは日本の雇用慣行を考えると仕方ないのだ。一度でも職歴に空白が空いてしまえば、復帰できなくなってしまうのだから、駆け込み的に休職するのは仕方ないだろう。これを理解できないのは、これまでの人生でずっとうまくいってきたタイプか視野狭窄で昭和の価値観を引きずってしまっているタイプだと思う。

ただ、配偶者の転勤についていった等の特殊事情がある場合は、また別かもしれない。この場合は、労働市場もさすがに好意的に解釈してくれる可能性もあるが、そうではない可能性もある。
これが途中でライフイベントが発生するケースが男性よりも多い女性が医学部などの資格職に大挙する理由の一つである。
JTCはこのような途中退場に厳しいことで本当に勿体ないことをしていると思うし、これが理系女子の理工系進学を妨げているのであれば、国家としての損失も非常に大きいだろう。なぜJTCはここまで言われても変われないのか?本当に不思議である。

では、いざ人生のレールから外れてしまった場合は、どうすればいいのであろうか?やはり、JTCの雇用慣行にいきなり復帰するのは難しいと考え、別のルートを模索するべきである。
やはり王道はジョブ型の職種で一度職務経歴を積むことである。

但し日本の場合は、中途採用に当たっても前職の格を問われることが多いため、変にベンチャー企業で経験を積んでも大手企業に行けるかどうかは分からない。
その観点で年齢や経験、学歴によるが資格取得はおススメなのではないか。
中でも筆者が一番おススメするのは、【公認会計士】である。
次点が医学部再受験である。弁護士資格は少し劣後するであろうか。


1.医学部を再受験する
これが一定の条件を満たせば最も堅く、しかもJTCの生涯期待賃金を余裕で超えることが出来る方法であると思う。
難点はやはり医学部入試が難しい点、卒業までに6年間を要する点である。
高齢になっていれば、筆記試験は通っても、面接でダメな可能性があるが、大学時点で挫折したのであれば、まだまだ若いのでそこはさすがに通るであろう。
学力の面で考えると、年齢を食っている分筆記試験で高い水準が要求されることや、加齢に伴い学力が低下していることを踏まえると現役時代に東大・京大レベルの学力を有していたものでないと厳しいかもしれない。
学力が高く、金銭的、時間的に許されるのであれば、一番試してみたいルートではあるが、なかなかその三つが高水準で揃う人の母数は限定されるのでないか。

2.弁護士資格を取る
要するに司法試験に合格することである。
医学部よりもこちらの方が時間的、金銭的な負担はないだろう。
但し、注意点としては弁護士の場合はいわゆる四大事務所(∔TMI)とその他の弁護士事務所で待遇差が大きく、更に四大事務所にはいわゆる予備試験や法科大学院を出て時間が経っていないものしか入れない点である。
また弁護士は昔ほどの待遇は期待できなくなってしまったことが難点であろうし、事業会社に転職する際にも法務やコンプライアンス関連等に限定されてしまう。

3.公認会計士を受験する
これが実は最も手っ取り早くレールの上に戻る方法である。
公認会計士試験の良いところは、職歴、学歴、年齢に関係なく誰でも受験できるところである。医学部のように6年間の期間(研修医更に+2年間か)が必要ではないし、高齢差別も試験自体にはない。司法試験のように法科大学院に通っている必要もない。勉強期間も2~3年程度で済むのでロスも小さい。東大の友人の多くは、1年~1.5年程度の勉強期間で合格していた。
予備校代もトータルで60万程度で済むところもあるようだ。金銭的な負担も小さい。

現状、監査法人は人手不足が続いており、更に現状会計士の監査法人離れが進んでいるので監査法人はかなりの売り手市場のようで、職歴なしでも内定が出るようだ。聞いたところでは職歴があれば、30代・40代でも内定が出る世界のようだ。普通に20代で合格出来れば職歴が無くとも、4大監査法人の内定は固いだろうし、別に4大に入れなくとも弁護士事務所ほどの給与格差は存在しない。

最初の3年間は600万程度、その後実務補修が完了し、正式に会計士登録が出来ると残業代込みで800万程度には達するようなので給与的にも問題ない。マネージャーに昇進する直前で残業代込みで1000万程度になるケースもあるようだ。
更に地方でも採用があり、都心と変わらない給与水準なので、地方に行けば裕福な暮らしが出来る。普通に地方都市で年収800万程度あれば、都心の1500万程度と同水準の暮らしを送れるだろう。
地方でこれほどの高水準を確保できる職種は他になかなか無いだろう。
勿論監査法人の繁忙期は激務で、将来会計士の仕事はAIに代替されるという話もある。しかしAIに代替されると言われているのはどの職業も同じであるし、会計士は別に監査だけをやれるわけではない。また監査法人はどこも事業会社のような窮屈さはない(と聞く)。
キャリア面で見てもM&Aやコンサル、経理、財務、更にはCFO等のチャンスも広がっている。

例え過去にレールから外れた経験があったとしても会計士としてのキャリアを数年間積んでいれば、それで落とすような企業はないだろう。
あくまで筆者の感想であるが、会計士は普通に人生を一発逆転させられる可能性を有する資格である。それだけ財務や経理周りのスペシャリストの市場での評価は高いということだ。(どこの会社であっても財務と経理の機能を有しているだろう)
レールに戻れるどころか、普通にJTCでずっと働くよりも可能性が溢れていて、最初からレールに乗っていた人の上を行く可能性もある。
人生路頭に迷っていたものが、自らの努力で資格に合格することできちんと職を確保でき、それに伴い社会貢献、マイホームの購入、結婚、子育て等の人生のあらゆる選択肢可能性が一気に出てくるのだから、これほど素晴らしいことはないだろう。
過去に筆者の公認会計士の友人がどのような人生を歩んでいるかを記載したのでそちらも参照していただけると幸いである。
(この友人の場合は、特にレールは外れていないが)

公認会計士の宣伝になってしまったみたいであるが、それだけおススメの資格であるという事だ。また資格職であれば職歴に空白が出来ても復帰できるため、女性にもおススメの資格である。
最近ではプロ野球選手を早期に引退したような方の合格事例もあった。

勿論公認会計士に合格するためには、ある程度の学力は必須になってくる。
また学力以上に忍耐力も必要だろう。

結局、人生何があってもそこで諦めてはいけないし、学力や勉強の才能は自分を救う可能性があるという事だと思う。