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国語教師・司書教諭のおすすめ図書  坂口安吾『桜の森の満開の下』

坂口安吾は明治・大正・昭和を生きた人です。生家は新潟の大富豪。
ただ、安吾の御父上が政治活動に狂っちゃっておうちが傾いてしまったとか。
ウソかホントかわかりませんが、
お金がないので視力が悪かったのに眼鏡も買えなかったという話も。

小学校では秀才の名をほしいままにしたんですが、成績は長じるにつれて下降し、旧制中学では勉強そっちのけでスポーツや文学にのめりこんだそうです。
中学卒業後は代用教員として小学校の先生になります。
が、仏教の勉強がしたいという思いが強くたった一年で先生を辞めて、東洋大学に入ります。
やっぱり勉強することは好きだったのかな?

さて、大学では寝る間も惜しみ仏教書や哲学書を読み、あまりにも根を詰めたために少々精神に変調をきたすようになったそうです。
何事も過ぎたるはよろしくない。
私なんか学生時代はあまり勉強しすぎないように自分でセーブしていました。(不勉強の言い訳にしてもひどすぎる…)

大学卒業後に発表した『風博士』が文壇で認められ作家として立つことができました。
その後は、まあいろいろあったものの、「無頼派」として文学ジャンルを確立します。

ここでご紹介する『桜の森の満開の下』は戦後の作品です。
安吾が押しも押されもせぬ大作家としてヒットを飛ばしていたころです。

タイトルだけ見ると、
「きれいだなあ」なんですが、内容はまあ、えげつない。
フウちゃんはこれを読んだ後は、満開の桜を見るのが恐ろしくなっちゃいました。
なるほど、その気持ち、わからないでもない。

安吾は東京大空襲のとき、犠牲者を荼毘にふす背景で桜が満開であったことから小説を着想したそうです。
そりゃ、残酷なお話になるのもむべなるかな。

ここでは内容についてはお知らせしません。
私は必読の書のひとつだと思っています。

美とグロテスクは紙一重。

まあ、読んでみてください。

教員時代、若手のヨネちゃんが坂口安吾の大ファンでした。
ヨネちゃん、元気かい?

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