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自分の登壇が誰かのきっかけに。【kintone AWARD 2023】

こんにちは!
ジョイゾーの川岸です。

今回のnoteでは、「kintone AWARD 2023」について書いていこうと思います。予選から白熱していて決勝の大舞台幕張メッセでの発表の様子を、お見逃しなく👀✨


「kintone AWARD」とは?

「kintone AWARD」とは、kintoneの活用アイデアをユーザー同士で共有するライブイベント「kintone hive」のファイナリスト6社が登壇する講演です。各地域の「kintone hive」の様子は、弊社noteをご覧ください。

1社目 有限会社光成工業 畠山さん

トップバッターは有限会社光成工業の畠山さんです。
「kintoneで作るわくわく×ドキドキ 楽しい!を入り口に」をテーマにした発表です。今回の発表では、「kintone×enjoy」=「kinjoy」という言葉がたくさん出てきました!

物流用の台車・産業用の棚などを作り、開発〜完成までを自社で『一貫性のあるものづくり』を掲げる光成工業さんの特徴は"新規案件が多い"という点です。kintoneを導入し4年間の成果として、約5億円の年間売り上げup・2万枚の紙削減だけにとどまらず、残業も0になりました!ただ、その効果が出るkintoneの導入前と導入後には課題が山積みでした…

導入前の課題:共有されない情報
受注案件の半数が新規案件ですがなかなか情報が共有されず、フォーマットやルール・新システムを整えて自分たちで改善を進めてみようとするも、うまくいきませんでした。そこで2019年に導入されたkintone!少しずつ改善は進んでいくもののある課題にぶつかります。

導入後の課題:使われないアプリ
kintoneを導入したものの日報アプリが使われず記入率18%となり、メンバーが緊急召集される事態に。そこで「全員でやること!」「全体朝礼でkintoneを使うことを全員に宣言せよ!」という代表の指示により、なんとほぼ1日でキックオフを迎えることに。スピードの速さに驚くも「楽しいこと好きだっちゃ!」という気持ちを持っていたため、kintone宣言の告知動画と開始の儀式に備え、急ピッチで準備が進んでいきます。

そして迎えたkintone運用キックオフの日。日報の原本を破く儀式を行い、日報アプリの記入率はなんと81%までに上がりました!kintoneのアプリ作成が成功したことにより、年10回の社内イベントでもkintoneを使い、kintoneの要望が上がってくるまでになりました。「収集したい情報と目的があれば簡単なアプリでもいい」と改善の声からアプリを修正してみたり改善が進んでいきます。

そしてkintoneを使った業務改善が、会社を飛び出してkintone hiveに登壇、登壇者の方との絆がつながり、アプリの合同開発までつながりました。

楽しいを入り口にして情報が集約され会社が一つに、そして会社の文化を紡ぎ出した光成工業の畠山さん。キンコミにアプリ合同開発時のアプリをupしているそうなので、ぜひチェックしてみてください!

https://kincom.cybozu.co.jp/

2社目 檜垣造船株式会社 吉井さん/喜多さん

2社目は、檜垣造船株式会社 吉井さんと喜多さんです。愛媛県今治市にある近海船を作る会社である檜垣造船さんは、700隻以上建造しています。
お二人ともIT経験がない中での業務改善、「すべてはkintoneから始まった」

5年前まではアナログで、「ない」が当たり前でした。PCが支給されて「ない」、情報共有されて「ない」、共有ツールも「ない」と旧態依然の幕末状態の社内でした。そこで一石を投じたのが現取締役DX担当の林さんです。2018年に経営体制が一新され、「絶対にできない」から「できるかもしれない」という思いが募り、サイボウズまるごとセミナーに参加して2018年5月にkintoneを導入しました。

「簡単にイントラができた!」と構築を進め始めるものの、「なぜ今のままではいけないのか?」「やり方を変えると仕事が増える…」と不満の声が続出。そこで、吉井さんは3つのことを実践してみました。

①段階的な導入・環境構築
当時の状況に合わせて、複数回に分けて説明会を行ったり、独自マニュアルの配布・ブラウザ設定の変更など、丁寧に導入を行いました。そうすることでPCが支給されたりと、全員が利用できる環境が整いました。

②強制kintone
環境だけでは変わらなかったため、吉井さんはkintoneを使わざるを得ない状態をつくりました。申請しないと買えない!稟議書アプリや、有給申請や支払い請求など。最初は不便だと思われていたことも、進捗が目に見えたり・データの蓄積/履歴が追えるなど、周りが便利さに気づいていきました。

③共有kintone
部門間共有が必要な業務をアプリ化し、情報共有のメリットを体感してもらうことで、欲しい情報に最短アクセスできたりノウハウを共有・蓄積していきました。

ここまで進めてきたものの、「デジタル拒否軍団」は変わらず最大の敵となりました。しかし、ここまで周りがkintoneを使って業務を進めることで、kintoneが当たり前に変化しており、気がついた時には少数派になっていました。業務にkintone「必須」の時代が訪れていたのです。

IT管理者制度を導入しアプリがどんどん作られるようになり、いつの間にかペーパーレスが進みました。また、kintoneを使ってマインドが変化したことで、業務改善が定着したことで改善提案制度がうまくいったりDXプロジェクトが発足するなど、会社も変わっていきました。

kintoneがあったからこそ、「短期間で「アナログ企業」から脱出できた。マインド変革で業務改善が進められました。」と話すお二人。そしてもう一つ、業務改善には「明確なビジョン」と「最適なシステム(kintone)が必要」そして「これからも頑張るけん!」との発表でした。

3社目 有限会社アートワークス 宗政さん

3社目は、オーダー家具工房 アートワークス の宗政さんです。「家具工房がkintoneを入れてみたハナシ。」と題して発表が始まります。

新卒2年目の宗政さんは、入社当初から「めっちゃアナログ。」と感じていました。それもそのはず、とにかくめっちゃ紙で、ホワイトボードに貼ってある付箋で進捗管理を行なっていたのです。クリアファイルも人ごとに振り分けられており、他の人の案件は見えていない状態でした。

2021年9月からkintoneは導入されており、基本研修が月に1回行われる中で2022年4月に入社した宗政さん。伴走者の稲澤さんがお菓子をたくさん持ってきてくれるkintone研修を楽しみにしていました。 研修の内容は、アプリの大体の形を作り、使ってみて少しずつ修正するという流れでした。

アプリを作ってみても、「なんとなく嫌」「なんかよくわからん」とのことでkintoneの利用者は増えませんでした。そこで「なんで使ってくれないのか!」「刷り込み刷り込み」「絶対に触らないといけないアプリ」を作成して、試行錯誤してみることに。

タイムカードアプリを使って残業時間をみやすく・krewDataを使って月毎に表を作成したり、1時間から有給が取れるようにアプリを整備していきました。タイムカードアプリを作ったことで、有給残時間がわかる・承認者の顔を見ないで申請できるようになりました。そうすることで、有給取得数が24%から68%と、今までの約3倍に伸びました。納品日を伝えそびれてしまった場合でも、職人さんたちが「知っとる。kintoneを見たから」と、スマホで見やすいアプリを意識して作ったことで、スマホをよくみる職人さんたちもいつの間にかkintoneを使えるようになっていき嬉しい声が届くようになりました。

伴走者の稲澤さんから言われた「理想と現実の間が課題。その間をkintoneで埋めるんだよ。」との言葉が最初はわからなかったものの、アプリを作り直して「ありがとう!」と社内から感謝を伝えられ、「新卒の自分でも役に立ててる」との思いが強くなった宗政さん。「今回の発表が"できるかもしれない"のきっかけになってくれたら」と最後に発表していました。

4社目 株式会社ミエデン 山田さん

4社目は、株式会社ミエデン山田さんです。「ゆるくつながり、壁を壊せるチームへ」というテーマで、「kintoneをもっと広めたい」「若手が活躍する場を作りたい」「会社の壁を壊したい」と悩みをお持ちの「あなた」に聞いてほしいと発表が始まります。

時は遡り2020年。三重県を中心としたIT企業で新卒で自治体営業部に配属された山田さんに待っていたのは、カオスな職場でした。どのファイルが最新かわからない闇鍋ファイルサーバー・そして大事な情報は先輩の脳内という初心者には厳しい環境でした。

2021年、営業部門でkintone5ライセンスから始まったスモールスタートで、営業情報はkintoneに集約されることになりました。2022年には全社利用拡大し、「kintoneを使って、ゆるくつながり、不要な情報の壁を壊すチームに」をテーマに進めていましたが、壁が襲来。

現状維持な社内では、システムは平成のまま止まっており、平成35年になっていたり動作が重いなど、レガシーシステムが使われ続けていました。また、超アナログな運用のため、社内の人も含めてデータセンターに入るために必要な入館手続きが1-2日かかるといった課題がありました。「お客様にはDXを提案しているIT企業なのに、ITを使いこなせない!」と壁に挫折しましたが、上司から「いい提案がある」と、まずは生活の一部であるお弁当注文をkintoneで取り込んでもらうことに。写真や口コミを登録でき、ゆる〜いガイドを作成してアプリがゆる〜く繋がる場所へと変化しました。

そして、チャレンジしてくれた人を「独りにしない」とゆる〜く交流ワークショップを開催。ワークショップ内で現場の若手が入館申請アプリを作成し、1-2日かかっていた手続きが最短5分で完結するまでになりました。お客様用の入館申請にはフォームブリッジを使うことで、若手が主役となり壁を壊していきました

社内の申請書約70種をkintoneに集約し、システムコスト年間300万円・承認にかかる時間を年間6000時間削減することに成功しました。また数値の効果だけでなく、「一緒にやりましょう!」「チャレンジしてみたい!」と言ったポジティブな声も聞こえるようになり、"全社員業務改善人材化計画"が山田さんの今後の展望だそうです。現在は会社統合の壁にぶつかっているそうですが、「今後もkintoneを軸に改善!」と意気込んでいました。

5社目 北九州市役所 井上さん

5社目は、北九州市役所 井上さんです。「新型コロナウイルス感染症への対応〜保健所DXへの道のり〜」と題して、発表がスタートします。

新型コロナウイルス担当部署に所属している井上さんは、繁忙期は200名体制で行なっており、取り扱いが変わり事務も変わるため、臨機応変に動く必要がありスピード勝負、事務や係がたくさんあるということが特徴です。

流行のたびにピークの波が高くなるものの予測が困難で、医療機関から陽性者の発生届はFAXで届き、自宅療養の方への体調確認を毎日電話で行なって大台帳に書き込みという手作業が多く発生している状態でした。これにより、情報の多重管理やアナログな情報共有・増え続ける紙台帳と課題が多くありました。増員対応でなんとかやりくりをしていましたが、第5波の時には1日の新規陽性者が前回の2.6倍になり、全ての作業負担が倍増以上になっていきました。

そんなとき、2021年9月にサイボウズとのDX推進に関する連携協定が結ばれ、全庁的にkintoneの活用募集が行われ自分で内製してみることに。アプリを作ってみたものの、「入力画面が長くてわかりにくい」「誰かが開いていたら保存できない」「文字の入力制御ができない」「和暦表示ができない」など否定的な声が多数寄せられました。どんどん事務が変わっていくため要件定義が難しいことや、プラグインを使おうにもLGWANを使用しているためほとんど非対応で使えないという悩み、でも紙台帳では限界…と、自分でカスタマイズを実行することに。

情報収集の甲斐もあって、タブ表示を実現してアプリを見やすく・入力しやすくしたり、小さな改善を自力で疾走し、陽性者台帳と健康観察のアプリが稼働し、紙台帳が不要・コピー等も削減され、作業時間は年間2738時間、年間1000万円程度の削減効果が生まれました。

「めでたしめでたし!」となるわけではなく、次に第6波がやってきて感染者数は4倍以上に。システム化の効果を上回る圧倒的な業務量と職員の疲弊が押し寄せました。それを見ていた副市長が組織の垣根を超えたプロジェクトチームの結成を提案し、現場責任者に情報が集約されたことで、業務全体のフローの分析や改善が可能になりました。

改善や分析が進んだところで、要求されるカスタマイズのレベルも高くなり、「なんでもいいから少しでも情報やヒントが欲しい!」とkintone hive fukuoka 2022に参加した井上さん。そこでkintone devCamp」や「imoniCamp」「キンコミ」といったkintoneの充実したコミュニティに出会いました。コミュニティに「答え」があるわけではないけれど、職場は異なっても同じ道を歩む人たちに会い、知識欲・心理的安全性・やる気を得た井上さん。チームとコミュニティの力で、同じ人数体制で最大の波を乗り越え業務効率が3倍upしました。

作業効率がupしただけでなく、アプリを作ってみる人が増えたり、データの収集方法を意識して分析に興味を持つ人が増えてきたと職場にも変化が起こりました。まさにkintoneをきっかけに職場に「チームワーク」の輪が広がったのです。kintoneの全庁導入が決定し全職員にライセンスが付与されることにもなり、導入効果が続々と出てきました。「kintoneの強みは、プロじゃなくてもアプリが作れること」、「そして来年はDXへの魔法を身につけたあなたがここで語っているかも!」と締め括った発表でした。

6社目 株式会社モリビ 植田さん

発表ラストは株式会社モリビの植田さん。「kintone×業務改善」をテーマに、課題だらけだった会社がどう変化していったのか発表です。

紙やFAX・ハンコなど課題だらけだった会社で、情シスやIT人材がいない中で新しいもの好きの社長がうっかり導入したことがkintoneの始まりでした。ミスを恐れて複雑な多重チェックが発生し、チェックが目的になってしまった過剰防衛。まさに「やらなくていいことを全力でやっている」状態でした。

解決したい課題はたくさんあるため、「やらなくてもよさそうなことはやめてみよう」「やらなきゃいけないことで手間のかかるものをkintoneでやってみよう」と始めることに。

kintoneで進捗管理・共有などを行えるようになり、「このやり方は効率が悪いな。こうした方がいいと思う。」とどんどんkintone化を進めた植田さん。周りの人は「無駄なことをするな!」とついには"独裁者"と呼ばれるようになってしまいました。

否定的な意見がどんどんと寄せられてしまい、モリビの他に住職もやっている植田さんは仏様に「どうしたらいいのか」と聞いてみたところ、「応病与薬」という言葉を伝えられました。病に応じて薬を与えるとその人の合うやり方にすることで、違いを受け入れて「未来に何を求めるのか」を共有して全員で黄色い雲に乗ることを決意しました。

まずは、kintoneとFAXを繋げて1年間で423,840枚も紙を削減し、ペーパーレス化しました!紙の使用量は95%削減、28万円もの費用が浮き投資に回せるようになったのです。

トヨクモ3種の神器(フォームブリッジ・プリントクリエイター・kViwer)を使って取引先とのやりとり効率化を図り、他にもプラグイン・連携サービスを使って、会社の枠を飛び越えて効果が出るようになりました。

1人より2人 たくさんいると楽しいということで、kintone担当に早川さんが参入しました。ただ早川さんは、家の事情で会社のある長野から新潟に引っ越さなければならなくなりました。そこで、kintoneが働き方の選択肢を増やしフルリモートワークを導入できるようにもなったのです。

業務改善のためにたくさんの人を雇うことはできないため、今までいるチームから戦力を出すしかありません。マンモスの狩りを例えにして、「すごくない僕らがすごくないアプリを作ったら、すごい効果が出るかもしれない」と、作りながら考えられるkintoneの強みを強く訴えた植田さん。

「自分の登壇が誰かのきっかけになったら」と次の登壇者に向けて言葉をかけていました。

グランプリは誰の手に…!?


地方予選を勝ち抜いた6社の発表、グランプリは…

株式会社モリビの植田さん!
おめでとうございます!!✨

おわりに

今回のkintone AWARDもとても熱量の高い、みている人の心を動かす発表でした。登壇者の皆様お疲れ様でした!

発表の様子については、Xの「#kintonehive」「#kintoneAWARD」でも見れますのでぜひご検索ください🔍

そして来年のkintone hive開催日程が公開されました!次の登壇者はあなたかも…!?

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