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ミステリ小説「葉桜の季節に君を想うということ」を読みました

「映画・ドラマ化は絶対できない。するな。」
最後まで読み切って思った感想がこれ。

※以下、なるべくネタバレしない様に書いていきますが、一応注意です。

歌野晶午さん作「葉桜の季節に君を想うということ」を読了しました。


この本、最近購入したわけではなく、7,8年前に購入、一度読了しておりました。

ですが時の流れで記憶も曖昧。
さらに最近見た記事で「おすすめのミステリ小説」に選ばれていたのを見かけたので、再び興味を持ち読んだわけです。

構成的には何章かに分かれ、最後にトリックの説明として全てが明らかになる作り。

ただ、その章ごとにかなり話が異なります。

……というのも主人公が様々な「仕事」を経験している人間。
探偵やその内偵による暴力団組員、パソコン教室の先生、等々。

探偵だった時の話、その流れで暴力団にスパイとして活躍した時の話、またパソコン教室として働いていた時の話。

全てが結構唐突に切り替わります。
話が進む中「今何の話?」と疑問に思いながら読み進める格好になりました。

ただどれもが話のフィナーレに必要不可欠なピースとなっていて、最終章では

「だから今までこんな話をしてたのか!!」

と納得する事請け合い。

なんというか、
「サウナでじっと耐えてた所から外気浴した時」
の気持ちよさに似ています。

衝撃の事実!ドーン!といきなり明かされるのではなく、ジワジワ……と、違和感がスッキリしていく様な展開。
まるで読む側も詐欺被害者になっていた様な感覚になります。

これ以上はネタバレを含めないとお話できない事が多いので割愛。

ただ一つ挙げるならば、最後の数ページに渡る物語に出てきた各単語の解説。

登場した電車の駅についての歴史的解説などが数行程度でまとめられています。

ただ年表的に事実、史実を淡々と挙げられているページな為、これだけでは意味がわかりません。

よく「後書きから読む派」な方もいらっしゃいますが、そういう方が最初にここを読むと頭にハテナマーク3つ出ること請け合い。

ただ頭から結末までを読んだ上でこのページを読むと、ある意味で笑いが込み上げてくるページになっています。

国語辞典の様な内容に、ここまでニヤッとできる事があるだろうか?
そんな単語解説のページ。ぜひ味わっていただきたい感覚です。

そして物語が終了した最後の1ページの一文。
エンターテイメントとして楽しませてもらった上に、とても勇気づけられるそんな締めくくりが記されています。

電子版もあるそうなので、気になった方は是非衝撃のラストまで「文のサウナ」に浸かってほしいと思います!

最後までご覧いただき、ありがとうございます。
貴方に良い事がありますように。

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