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宗教や信仰についての雑記 #79

◯ゴキブリ

だいぶ前のことですが、ゴキブリはなぜ気持ち悪いのか、ということを考えたことがあります。
それは、ゴキブリはなぜ気持ち悪い姿をしているのか、というのではなく、ゴキブリを見て人はなぜ気持ち悪いと感じるのか、という問いです。

おそらくそれは、ゴキブリがゴミや腐敗物をもあさって病原菌を媒介するため、衛生的な問題があるからなのだと思います。
そんなゴキブリを忌み嫌うほうが生存に有利だったため、そのような性質が受け継がれたのでしょう。

ただそこには、人間が農耕文明を持ったからということもあるような気がします。
農耕文明を持った人間は、森などの自然と自分たちの領域を明確に区別するようになり、そして自分たちの領域から自然を放逐しました。
ですからその自分たちの領域に自然が侵食してくることに脅威を感じ、警戒するようになったのだと思います。
ゴキブリは野生では林床に生息し、その生態系での一つの役割を果たしている生物の一種として生きています。そのゴキブリが家の中に侵入してくることを自然からの脅威と感じるのでしょう。

でもその一方で、自然は我々に大きな恵みをも与えてくれます。ですからただ単に放逐すればいいというものでもありません。人は昔からそのことを知っていて、それが「一寸の虫にも五分の魂」という言葉に現れているように思います。

宗教評論家のひろさちや氏は著書の中で、日常生活の中で蚊やゴキブリなどの害虫を殺すのはやむを得ないが、殺すときに心の中で念仏を称えるような心性を持つことが大切、といった意味のことを書いていました。
私も最近になって、そのとおりだなと思うようになってきました。

ちなみにゴキブリという名前の由来は「御器かぶり」だそうです。御器とは食器のことで、昔から台所によく出没していたことからこのように呼ばれたのでしょう。
「御器かぶり」という名はどこかユーモラスで、100%の嫌悪感からつけられた名前ではないように感じられます。
たとえ醜いゴキブリのようなものでも命あるものだ、という思いがあったようにも感じられます。
映画「風の谷のナウシカ」で、ナウシカが虫に向かって「森にお帰り」と優しく話しかけるシーンを思い出しました。昔の人にもそんな感覚があったのかもしれません。

ただそれでも私はゴキブリを見ると、気持ち悪いと感じてしまうのですが・・・

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