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宗教や信仰についての雑記 #125

◯「バイアスとは何か」を読んで③

今回もまた、前回の続きです。

前回バイアスに関して、そもそも人間が行っていることは、周囲を客観的に正しく認識することではなく、自分にとって意味のある世界認識を構築することであるという考え方を紹介しました。
それ読んで、トランスパーソナル心理学の考え方を思い出しました。

トランスパーソナル心理学では、変性意識状態などで得られたビジョンやイメージが客観的な事実であるかどうかよりも、その人の人生にとってどのような意味を持つのかということを重視する、ということを何かで読んだことがあります。

私は若い頃仏教哲学の本を読んで、全てが空であり、人もまた空で無我であるならば、何が輪廻するのか、という疑問を持ちました。
そして結論としては、輪廻転生とはバラモン教の考えをあえて否定しなかったため、その概念が仏教にも入り込んでしまったもので、仏教の教えの本筋から切り離して捨て去っても構わないものだ、と考えました。

でも上記のバイアスやトランスパーソナル心理学の視点から考えると、輪廻転生やカルマといった考え方が、それを信じる人に生きる意味や意欲を与えるものであるならば、それを否定すべきではないと思うようになってきました。

ただそれでも、その思想が他者を傷つけ苦しめるならば話は別なのでしょう。
仏教が輪廻の思想を否定しなかったが、カースト制は否定(あるいは無視?)したのはそのためだったような気がします。

我々は常に、自己の救いと他者の救いとか両立する道を探す努力を、怠らないようにすべきなのでしょう。

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