マガジンのカバー画像

〈小説〉腐った祝祭

72
お話がとても長いので、一節ずつをここにまとめてみようと思います。 よろしくお願いします。
運営しているクリエイター

2023年12月の記事一覧

小説|腐った祝祭 第一章 40

 執務室で書類を読んでいると、ドアをノックされる。  クラウルが開けるとナオミが立ってい…

mitsuki
6か月前
7

小説|腐った祝祭 第一章 41

 三月に入っても、街の雪はすぐにはとけない。  馬車が雪を押し分けて地面を見せることもあ…

mitsuki
6か月前
4

小説|腐った祝祭 第一章 42

 サトルは寒さに目を覚ました。  空調設備が壊れていない限り、部屋が寒いわけがなかった。 …

mitsuki
6か月前
5

小説|腐った祝祭 第ニ章 1

 ルル国内には地域ごとに中心的な存在の教会があり、様々な祭事を行うのにそれらは利用されて…

mitsuki
6か月前
4

小説|腐った祝祭 第ニ章 2

 空港に用意されたのは皇太子専用のジェット機だった。  大使館で棺を替えてナオミは運ばれ…

mitsuki
6か月前
4

小説|腐った祝祭 第ニ章 3

 ナオミの死から一週間ほどで、大使館の生活は元に戻った。  ナオミが来る前の、元に戻った…

mitsuki
6か月前
6

小説|腐った祝祭 第ニ章 4

 翌朝、サトルは一人で目を覚ました。  時計を見ると9時を過ぎている。  なんだ。  ミリアは起こしてくれなかったのか。  もぞもぞとベッドの上で動いて、ベッド脇のテーブルに手を延ばす。  水差しからグラスに水を注ぐ時、少しテーブルにこぼしてしまった。  一杯の水を飲んで喉を潤すと、自分が着替えないまま眠ったことに気が付いた。  上着さえ脱いでいなかった。 「よく眠れたな」  自分であきれて、上着を脱いでタイも外す。  服には酒の臭いがすっかり染み込んでいる。  これでは

小説|腐った祝祭 第ニ章 5

 そしていつものように、その日もサトルはリラの木の下でぼんやりしていた。  そこにミリア…

mitsuki
6か月前
3

小説|腐った祝祭 第ニ章 6

 それから度々、ベラが大使館を訪れるようになった。  用件はパーティーの誘いだったり、芝…

mitsuki
6か月前
3

小説|腐った祝祭 第ニ章 7

 サトルは正門から屋敷内に入り、エイミーに案内されてベラの部屋の近くまで来た。 「二人で…

mitsuki
6か月前
3

小説|腐った祝祭 第ニ章 8

 大使館についた頃には、カレンの言う気分は良くなったようだ。  カレンをしばらく宿泊させ…

mitsuki
6か月前
4

小説|腐った祝祭 第ニ章 9

 中にいたリックがドアを開けてくれた。 「度々すまないね」 「いいえ、そんなことは。どうな…

mitsuki
6か月前
1

小説|腐った祝祭 第ニ章 10

 ガリガリという音でサトルは目を覚ます。  しばらくの間音に耳を澄まして、ドアから聞こえ…

mitsuki
5か月前
1

小説|腐った祝祭 第ニ章 11

 朝食の席にカレンは時間通りに現れたが、サトルは十分ほど遅れて食卓についた。  カレンは嬉しそうに笑って言った。 「遅刻よ。罰として朝食抜きじゃないの?」  サトルは無視して、昨夜の行動を問いただした。  カレンはつまらなそうな顔になり「知らないわ」と言った。 「ペーパーナイフで私を襲ったんだぞ」 「まさか」  と、肩をすくめる。 「でも、あなたがそう言うのならきっとそうなのね。ごめんなさい。偶にそういう事あるみたい。ベラも言ってたわ。夜中に私が寝惚けてベッドに潜り込んできた