【学級経営】「時を守るクラス」にするためには②~大勢の生徒が守らない場合~
前回の記事から、「時を守る」ということについて執筆しています。
1⃣大勢の生徒が時間を守らない状態のクラスを「時を守る」クラスにするために大切なポイント。
今回は、クラスの大勢の生徒が時間を守らない状態からどうしていくのかを伝えていきたいと思います。
大きなポイントを伝えると、「守る生徒を褒めながら、行動に対する価値づけと味方を増やし、守れない生徒を少なくした上で、少数の生徒を緊張感をもって指導する」ということです。
まず、担任に対して信頼感をもって話を聴くことができるクラス集団であれば、「時を守る」ということの価値を語ります。
もし、担任の話を聴くという姿勢がとれないクラスであれば、ここは省くかもしれません。
ただ、「時を守る」ということを大切にするということは、事前に伝えておきます。
2⃣ 具体的な流れ①~味方を増やす&事前予告~
例えば、午前中に自分の授業があったとします。
その場合は、朝の会で、口頭と黒板の板書で「授業の始まりの時刻までに、授業準備をして着席して、落ち着いた状態で待ちましょう」という理想の状態を伝えておきます。
そのことを、全体に認識させた上で、自分の授業の時間をむかえます。
もちろん、教師は早めに教室に行きましょう。
例えば、授業の3分前ぐらいに教師が教室に入って授業の準備をしながら、教室の生徒たちを見ながら、声掛けをしていきます。
例えば
「お、〇〇くんはもう着席できているね」
「〇〇さんはもう授業準備もできているね」
「〇〇さんは時計をみて行動できているね」
「〇〇くんはみんなに声かけているね」
などと、褒める言葉を全体に聞こえるように伝えましょう。
そうすると、その姿に感化された生徒たちの中で早めに座り始める人が表れます。
そこでも、「お、今、気付いて座った人は偉いね」
そうやって、たくさん褒めることによって、褒められた生徒としては嬉しいはずです。そのことで、褒められた生徒としては先生の味方側になっていくのです。
そして、チャイムが鳴ります。
チャイムが鳴ってから、挨拶をしてから始めます。
「私が授業前に、教室にいて様子を見ていたのですが、素晴らしい人がたくさんいました。
まず、チャイムが鳴る前に座っていた人がいました。とても素晴らしかったです。
そして、さらにすごいのが、授業準備をしていた人です。ぜひ、ここも目指しましょう。
さらに、親切だなと思った人はみんなに声掛けをしてくれていた人です。ありがとう。助かります。ただ、この声掛けがなくてもみんなが準備できている状態が理想ですから、このクラスはきっとできますから、それをみんあで目指しましょう。
次に、チャイムと同時に座った人は、惜しいですね。チャイム前に座れたら、バッチリだと思います。次に頑張りましょう」と。
こうやって、たくさん褒めることで、クラス全体にポジティブな印象を与えます。
次に
「逆に、授業開始までに座れていない人がいましたね。それはとても残念ですね。授業開始前までに着席して準備しておくというのが当たり前です。
ですから、もし、次回、授業開始までに着席できず、遅れる連絡や真っ当な理由がなく遅れてきた場合は、すぐに着席できないかもしれません。もし、そのような人数が多かった場合には、一番最後の人はすぐに着席できないかもしれません。」
というように、次回の対応について、全体に対して事前に予告しておきます。
そして、最後にクラスの味方側の心をしっかりつかむために、「対比」を使います。
「私は当たり前を当たり前のようにできる子たちが大切です。ですから、今回時間を守っていた生徒たちの意識が素晴らしいからこそ、そのような生徒たちの行動を大切にします。」と。
3⃣ 具体的な流れ②~予告の回収&全体の前での指導~
そして、次の「時を守る」シチュエーションが来た時、前回の予告などが役立ちます。
前回と同様、時を守っている生徒たちは大いに褒めます。たくさん褒めます。見方を増やすイメージで。
そして、遅れてきた生徒がいたとします。
①もし、遅れてくる生徒が多いのであれば
一番最後の生徒が来るまでは、普通に授業をします。
そして、その遅れてきた最後の生徒が来た時に、教室内で立ち止まるように合図を送ります。座ろうとしても「まだ、座らないでください」と緊張感をもって伝えます。
そして1~2分ほど着席させない状態で、平然と授業を行い、区切りの良いタイミングで、全体に筆記用具を置き、机の上を整理させるようにします。
(私の場合、重要度が高ければ机の上は何もない状態にさせます。それは手遊びなどをなくして、緊張感を持たせるためです)
そして、次のようにいいます。
「前回、私は時間を守ることについて、守れない場合の対応を伝えておきました。今回はその時に伝えた通り、一番遅かった人は着席できませんよと伝えてあったので、そうしました。」
このように伝えると、生徒たちが前回の予告を明確に思い出して、教師の言葉と対応に納得感がでます。
「でも、本来はこのような対応をしなくてもいいようにするのがベストです。でも、遅れることが普通になってしまうと、きちんと守っていた素晴らしい人たちにとっても良くない影響を与えるので、厳しく対応しました。そのことを反省して、理解できたのなら座ってください。あとは、一番最後でなくても、遅れてきた人は良くないことなので、次回は遅れてきたら同じ対応をするかもしれません」
といいます。
このことによって、全体に守らない場合の対応を目の当たりにしてもらいます。
なぜ、最後の人だけにそれを適応したかと言えば、もし、クラスの3分の1以上の生徒が遅れてきた場合に、全員に適応してしてしまうと、当事者意識が分散されて、事態の重さが薄れてしまうからです。
②遅れてきた人がクラスで3~4人ほどなら。
クラスで遅れてきた人がごく少人数であれば、遅れていた人を座席に座らないように指示します。そして、そこから普通に授業を1~2分ほどして区切りの良いところで、次のようなことをいいます。
「前回、私は時間を守ることについて、守れない場合の対応を伝えておきました。今回はその時に伝えた通り、遅くれた人は着席できませんよと伝えてあったので、そうしました。今座っている人たちはしっかり時間を守れてとても素晴らしいです。」
このように伝えて、前回の予告を思い出させ、また時間を守れている生徒たちを褒めることによって、彼らに時間を守ることの価値づけと、時間を守ることについて、同じ立場である味方と設定できます。
そして、
「今座ることができていない人は正当な理由ではなく、また、適切な対応をせずに遅れてきたということで、予告通り対応をしています。でも、本来はこのような対応をしなくてもいいようにするのがベストです。」
そのように伝えることで、「着席をさせないという対応は教師が理想とする対応ではない」ということを伝えておきます。
「でも、遅れることが普通になってしまうと、きちんと守っていた素晴らしい人たちにとっても良くない影響を与えるので、厳しく対応しました。そのことを反省して、理解できたのなら座ってください。次回は遅れてきたらもっと厳しい対応をするかもしれません」
といいます。
ポイントは「守る生徒を褒めながら、行動に対する価値づけと味方を増やし、守れない生徒を少なくした上で、少数の生徒を緊張感をもって指導する」ということです。
これを間違えて、生徒全体を敵にしてしまったり、大勢を叱ることによって当事者意識が薄れてしまうようなことをしないように。そして、クラスとして大切な規律を浸透させるためには、初期段階ではクラス全体の前で指摘する必要があります。(ただし、生徒によって正当な理由で、全体の前で取り上げないこともあり得ます)
4⃣ 補足①~指示に対して生徒が不適切な行動をする場合は~
もし、着席をとめる合図を出しても、そのまま座ったり、周りにちょっかいを出すようであれば、教師は授業を一旦中止して、無言で待ちます。そうすれば、その緊張感でその生徒は指示を守るよになるでしょう。それでも守らないのであれば、
「3分待っても適切な状態にならないので、全体を優先します。」
と言って、授業を始めます。
このようにして、そのまま不適切な行動をスールするのではなく、一つ対応をはさむことによって、他の生徒が同じように不適切な行動をすることを抑止することもつながりますし、間違っても1時間すべてを授業しないという事態も避けることができるのです。
とにかく、教師の言った指示しを不適切に守らないと、スムーズに進まないということを全体に認識してもらうのです。
5⃣ 補足②~「今回の指導の応用性」と「指導後の展望」~
これは、他の指導でも同じような手法と流れをとることもありますのでぜひ応用してみてください。
ただし、このような指導は一年間ずっと行うのではなく、ある程度、指導内容がクラス全体に浸透してきたら、個別指導や少し緩い指導になってもいいでしょう。
以上、「時間を守る」クラスにするための手法紹介でした。
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