エーデルワイスの魔法書店 秋〈心の声をきく魔法〉第一章
第一章 売れない占い師
「はぁ……。」
私の吐いたため息は、瞬く間に夜風にさらわれて遠くに行ってしまう。それでも、私は憂鬱な気持ちを抱えながら、夜の街を歩く。最近は、いつも同じ道を歩いている。母が、道ゆく人を占っていた場所。母は、この道を通る人たちを占って、幸せになれるアドバイスをしていた。恋人といい関係を築ける方法とか、喧嘩してしまった友達と仲直りする方法とか。アドバイスを受けた人たちはみんな母にお礼を言いに来ていた。母は、占い師と言うよりも、その人の悩みや人間性などを「