【ショート】耳
「あんたの幸せなんて見たくないんやけど!」
─ うわぁ…はじまってしまった。
「帰るんやったら、いっそここで死んでくれん?」
─ やっぱりこうなるのかな…。
「まぁ落ち着いてや。そもそも互いに割り切ろうって話やったやん」
「はぁ!?いつの話しよると?もうここまできとって、本当に意気地のない男やねぇ!」
─ フライパンの上で白菜と挽肉とキノコが踊ってる音が聞こえる。このままじゃ焦げ付く。
「いや、そらお前の方がルール違反やねぇんか?」
─ 救急車の音が聞こえる。どこかの誰かが助けを待ってる。俺も助けて。
「はぁ?ルール、ルールっち、なんかあればルールばっか言いよってなっさけない!」
「結局、覚悟決める勇気がないだけやん!アンタ私のことなんやと思いよるん!?」
─ あー、今日休みか。外のカップル楽しそうやなぁ。俺と代わってくれん?
「お前が勝手に本気になっただけやろ!言いよることが違うけんルール違反やっち言いよるだけやろ!意味わからん!」
─ 今日だけはうるせーバイクの音が救いやわ。
早う終わらしたい。
「もういい!アンタがそんなんやったら、あたしもうこの世におらんでいいわ。さよなら。」
─ バタン!(バタン!
「いや待てって…あー、もうめんどくさっ」
─ あー、焦がしたわ。どっちも。外のワンコロは元気やねぇ。
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