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第三章 自然治癒力を高める (一)微量元素の大きな役割

◎「平成」が残したもの

平成という時代も既に30年が過ぎ、天皇陛下の生前退位による終わりの日が近づきました。振り返ってみれば、その名とは裏腹に、この時代はあまり「平静」ではなかったように思います。

阪神大震災(平成7年1月)や東日本大震災(同23年3月)、熊本地震(同28年4月)、北海道胆振東部地震(平成30年9月)など、大規模災害が続発しました。中でも東日本大震災は、巨大津波が福島第一原発の炉心溶融事故を引き起こし、放射性物質を広域に撒き散らすという人類が経験したことのない複合災害でした。

事件では、「地下鉄サリン」(同7年3月)をはじめとする一連のオウム真理教事件など、前代未聞の大規模凶悪テロが発生。歩行者天国を一瞬で恐怖に陥れ、17人が殺傷された秋葉原通り魔殺人事件(同20年6月)や、相模原市の障害者施設で発生した入所者46人殺傷事件(同28年7月)のように、突発的な無差別大量殺人が多発したのも平成の悲しい記憶です。

さらに、神戸市の「酒鬼薔薇(さか き ば ら)事件」(同9年2~5月)や、佐世保市の「小6女児同級生殺害事件」(同16年6月)のように、凶悪事件の低年齢化が社会問題化しました。

◎児童虐待、年間12万件

しかし、何と言っても痛ましかったのは、幼児や児童に対する虐待事件の続発です。

平成28年度に全国の児童相談所が対応した虐待件数は12万件を超え、年ごとに増え続けています。

中でも、全国の親たちを驚愕させ、戦慄させたのは、平成30年6月に東京都目黒区で明るみに出た幼女虐待死事件でした。

この両親は、五歳の娘に満足な食事を与えず、殴る蹴るの暴行を繰り返しました。女の子は、「しつけ」と称する両親の虐待に耐えきれず「あしたからはできるようにするから、もうおねがい、ゆるしてください」と許しを乞う反省文を何度も書き綴っていたというのです。しかし、親たちは実の娘を容赦せず、虐待を繰り返して遂に死亡させたという事件でした。

これはもはや、人間の所業ではありません。動物は自分の子どもを産み、健やかに育てて子孫を残すという本能を備えています。それなのに、「万物の霊長」であるはずのヒトに、なぜこんな酷いことができるのか。

頻繁に新聞紙面に登場するようになった異常な親たちの悪業を見るにつけ、わたしは、人間の本能をつかさどる体の中の大事なものが壊れつつあるのではないか――と危機感を強くするのです。

「  児童(幼児)虐待 厚生労働省の定義によると、児童(幼児)虐待には①殴る、蹴る、火傷を負わせるなどの身体的虐待 ②性的虐待 ③家に閉じ込める、食事を与えない、病気を放置するなどのネグレクト(怠慢または拒否) ④言葉による脅し、兄弟間の差別的扱いなどの心理的虐待――の四類型がある。警察庁の統計では、平成19年に3516人だった被害児童の通告件数は、同29年には65431人と18倍以上にも激増。29年の検挙者は1138人にのぼり、加害者の約7割を実の父母が占めている。」

 

◎愛情ミネラルの不足?

若者がキレやすくなったとマスコミで指摘され始めたのは、時代が昭和から平成へと移った1990年代ごろから。その後、当時の若者たちが親の世代になり、「虐待」多発が騒がれるようになって行ったのです。

これらの要因の一つとして、若い世代の生活習慣の乱れが指摘され、食生活の悪化も挙げられていました。例えば、大学生の食生活を調べてみると、「朝食抜き」はザラ。ポテトチップスとコーラ、お菓子などを朝食代わりにする若者もかなりいるのだそうです。

当然、人間にとって必要な栄養のバランスが崩れて行きます。中でも野菜などに含まれている微量元素が欠如し、知らず知らずのうちに体と精神の機能を蝕んで行くのです。

人間の体の中に存在する微量元素は30種近くもあるそうですが、生命活動の維持に欠かせない主要元素の一つであるマンガンが、「愛情ミネラル」と呼ばれているのをご存知でしょうか。

マンガンは、炭水化物やタンパク質、脂肪を消化吸収する役割を持つ酵素が機能を発揮するために、重要な働きをしています。また、肝臓が脂肪肝にならないように働くコリンという栄養素をつくるのにも必要です。これが不足すると、糖分の代謝が乱れて血糖値が上がり、血中脂肪酸の量を増やして動脈硬化をもたらします。

さらに、マンガンは生殖機能の維持にも深く作用し、これが不足すると女性の受胎率が低下するといわれます。

マンガンが不足した土地では、乳牛の受胎率が低下するという報告もあり、「愛情の塩」と名付けた学者もいます。子どもに対する愛情がなくなり、産み捨て、育児放棄、虐待などが起こるのは、マンガン不足が原因の一つという指摘もあるのです。

そう言えば、第二章に登場した土づくり農法の中嶋常允先生のお話で、動物実験で子育て放棄するマンガン不足の動物のことを聞いたことがあります。

今では、全国で年間12万件にものぼるという児童虐待事件の頻発――。その背景に、1日の必要量わずか数ミリグラムのマンガン不足が関与しているとしたら……。

「微量」だからといって見過ごせない、ゆゆしき大問題だとは思いませんか。

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ミネラルって何??

体の機能を維持するために欠かせない栄養素、それが「ミネラル」です。ミネラルは人間の体内で作ることが出来ません。ですから食事などで摂取しなければならない栄養素なのです。
最近やっと少し注目されてきたミネラルですが、厚生労働省のHPのミネラルの解説では以下のような説明がされています。
※ミネラルとは
体を構成する主要な4元素(酸素、炭素、水素、窒素)以外のものの総称で、無機質ともいいます。

ミネラルは体内で合成できないため食物として摂る必要があります。不足した場合は欠乏症やさまざまな不調が発生しますが、摂りすぎた場合にも過剰症や中毒を起こすものがあります。

「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、リンを多量ミネラル、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンを微量ミネラルとして、基準を設定しています。

ミネラルは、互いに吸収や働きに影響をあたえ合うことがあるため、バランスよく摂ることが求められます。

(最終更新日:2021年5月10日)

また、通常の食事からでは不足しがちなミネラルを「必須ミネラル」と言い、これが16種類と言われています。
ですが、自然界に存在するミネラルの種類は100種を言われ、そのうち人間には60とも70ともいわれるミネラルが存在しています。
ミネラルとはお互いに繋がって仕事をしていますので、バランスよくとることがとても重要なのです。
また、ストレスや心配事があると一気に使われてしましますので、現代は最も不足しがちな栄養素です。

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次回は

第三章 自然治癒力を高める

(二) 毛髪で過不足チェック

あなたの体の中のミネラル・微量元素の量は、十分に足りていますか?  お楽しみに
https://www.youtube.com/watch?v=yK3lFhPgygs


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