別マガジンの『青い希望を求めて』から続く世界観で書いた曲の纏めです。一曲一曲に読み返すと顔を覆わずにいられないフレーバーテキストが付いてます。癖の強い曲のばかりですので、ぜひ一曲…
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05,テラリウム
シリーズもの5曲目です。 ガラスケースの中に小さな植物の世界を創るテラリウム。挑戦ことはないですが、いつか自分の手で作ってみたいです。テラリウムは植物の選択や装飾品の有無など、個性が強く出るので見ているだけでも楽しいですね。 以下この曲の物語。 「手の中のガラス瓶。雪が降り積もり賑やかだった街はもう見えない。 優しく上下に瓶を振ると、雪が舞い上がり埋もれていた街と森が見えた。木々は潰れ、家々も崩れて可愛らしかった瓶の中の世界は見る影もない。見ていて悲しくなって、もう一度あの景色を見たいと願いながら瓶の蓋を撫でるとカランと音を立てて瓶が震えた。改めて瓶の中を覗くと、まるで何事も無かったかのように木々や家々が蘇り、瓶の中の星明りに照らされている。 …なんとなく分かった。突然降り出した雪、蘇った森に街。この瓶の中は僕の思いが反映されている。僕が願えば、僕が祈れば、僕の思い描く世界になるのだ。ならこの瓶の中に僕の大好きな物語を、御伽噺を描こう。どこまでも続く平原を、過去を想像させる遺跡を、旅人が疲れを癒す街々を、そして人ならざる住人達を、壮大な世界を隅々まで描こう。 何もない暗闇の中で、一人輝く瓶に向かい僕は静かに笑った。」