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天風の剣

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右目が金色、左目が黒色という不思議な瞳を持つ青年キアランは、自身の出生の秘密と進むべき道を知るために旅に出た。幼かった自分と一緒に預けられたという「天風の剣」のみを携えて――。 …
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【創作長編小説】天風の剣 第124話

【創作長編小説】天風の剣 第124話

第九章 海の王
― 第124話 携行食 ―

「花紺青っ!」

 鈍い音がした。
 パールの尾が、花紺青の操る板を直撃し、そこから続けざまに花紺青の後頭部にも激突していたようだった。
 板もろとも花紺青、キアランは落下する。

 花紺青――!

 垣間見えた花紺青の表情は、うつろで――、意識を失っているようだった。

 うっ!

 強い風と共に、なにかが迫る。それは鱗に覆われた、パールの尾。

 

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