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雨の日の午後、特別な遊び。
日曜日の午後。
公園に行くも、ゲリラ豪雨に見舞われ帰宅。
天気は相変わらず悪く、外に出られない午後。
うーん、子どもたちを持て余す。
何をして、どう乗り越えようか。
いろいろ考えた結果、ある場所を開放することにした。
お風呂だ。
本日は「お風呂遊び」解禁である。
はじめは、次男だけが遊んでいた。
Tシャツ一枚にオムツ姿でお風呂場に入り、蛇口から出るお湯をシャバシャバと触る。
それだけで、大喜び。
そのうち、洗面器にお湯を溜め込み、コップとペットボトルを使って遊び始めた。
まずは、コップにたぷたぷに溜めたお湯を、ザバッとこぼして、ケタケタ笑う。
それから、ペットボトルにもお湯を溜める。
コップより入り口が小さいので、なかなかうまく入らない。
何度かキレながら、それでも真剣に口を尖らせて、ペットボトルに並々と注ぐ。
そしたら、ペットボトルのお湯を、コップへ。
ドバッとこぼれても、お構いなし。
1人で何度も、実験、実験。
その集中力は、他では見られない。
何十分でも、ひとりで遊ぶ。
パシャパシャ、ザブザブ。
そんな楽しそうな音を聞きつけた長男。
「長男ちゃんもする!」と駆けつけてきた。
あれよあれよ、と真っ裸になって、長男は湯船に突入する。
数センチほどお湯をためてやると、次男も加わり、2人の息子たちの風呂遊びが始まった。
コップとペットボトルだけで、遊ぶ、遊ぶ。
なんで楽しそうなんだろう。
長男はコップやペットボトルに溜めては移しかえるのが楽しそう。
次男は、バジャバシャと飛び跳ねてみたり、座り込んで足を動かしてみたり。
性格のちがいも楽しみながら、わたしは脱衣所でそれらを見守った。
跳ねる息子たちを見ていたら、子どもの頃を思い出す。
そういえばわたしも、雨の日には、お風呂を開放してもらっていた。
*
アパートの小さな狭いお風呂。
そこに、数センチほどのお湯を溜めてもらって、裸や水着で入り込む。
その頃は、まだ弟も妹もいない。
ひとりぼっちだ。
親は外で見守っていたり、時々家事をしにどこかに消えたり。
わたしはそこで、息子たちと同じように、ペットボトルやコップで何度も水を汲んだり、こぼしたりして遊び続けた。
時には、せっけんでシャボン玉や泡風呂をつくり、時にはシャワーでおもちゃを洗ったり。
何分でも、何十分でも、そこで遊んだ。
ひとりでも、ずっと楽しかった。
のほほんとしたお湯のぬくもり。
ほわほわの湯気に包まれて、そこはわたしだけの世界だった。
お風呂遊びは、雨の日が多かった気がする。
雨で外に出られず、つまらない顔をしていたわたしに、母がしてくれた特別サービス。
お風呂遊びは、どんなに濡れても怒られないし、いつまで遊んでも平気だし。
自由で、あったかくて、ずっとわたしだけの世界にいられる、特別な時間だった。
思い出に浸っていると、次男が「出たい」と手を伸ばしてきた。
待て待て、まだ出さないよ。
脱出前に、ササっと体を洗う。
シャワーで流して、任務完了。
今日の風呂は、これでおしまい。
遊びのついでに風呂も済んで、一石二鳥。
湯船につかれない日があっても、大丈夫。
長男は、あとでまた夫と入る。
ゆっくり熱い湯に浸かりながら、夫とあれこれおしゃべりするのが、長男にとっての癒しなのだ。
その時間は、奪うまい。
6月に入った。
梅雨はまだなのに、どうも雨が多い。
コロコロと変わる天候に振り回されて、外で遊べない日が続く。
そんな日は、家で楽しく過ごすくふうが必要。
今月は、お風呂が大活躍しそうな予感だ。
次男の体を拭きながら、散らかった風呂場をぼんやり眺めた。
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