私の雨の日の楽しみ方は園児が教えてくれた。

今日からまた雨が続くらしい。天気予報を伝えるお姉さんが、可愛らしい傘と合羽でそう伝えた。

ああ、雨の日は濡れるから嫌だなぁと思いながらも、実はそこまで嫌いじゃない私がいる。それは、雨の日がちょっと特別な日であることを知っているから。教えてくれたのは、実習先の保育園の園児だった。




「先生、ぼく、雨の日だからスペシャル傘だったの!」
登園するなり私に耳打ちした男の子。彼の持ち物にはカーズのキャラクターがついたものが多くて、すぐに名前を覚えられた。確か、何をするよりも外遊びが大好きな子だったから、とても驚いた記憶がある。

「雨の日はね、カーズの傘の日なんだよ!カーズの靴の日なんだ!」
きらきらした目で続きを話してくれた。私にとっての憂鬱な雨が、一瞬でその印象を変えてしまうくらいの力がある言葉だった。



雨の日と仲良くなる方法は、びっくりするほど簡単だった。あの男の子が教えてくれた。

お気に入りの傘とレインブーツ。身につけて外出できるだけでテンションが上がるようなアイテムたち。それらがあれば、雨の日は楽しい。特別な日になる。

たぶん、子どもの頃はそれを知っていた。けど、気がつかないうちにすっかり忘れていたんだ。私の他にも忘れている人がいるんじゃないかな?




あの実習から私は、コンビニで買うただの透明なビニール傘をほとんど使わなくなった。必ずその時の自分のお気に入りの傘を持つようにしている。

フライングタイガーの虹色の傘は3本くらいはリピートした。今の傘は、傘をくるくるするとピンクと赤と透明のしましまになるとってもかわいいビニール傘だ。どちらも自信を持ってお気に入りだと言える。



傘を変えた。

たったそれだけなのに、あの実習から雨の日はさほど憂鬱じゃない。傘をさす度に空を見上げて、お気に入りの傘を見てにやにやしちゃう瞬間がある。傘をくるくる回しても楽しい。濡れるのはやだけどね。



お気に入りのものを持つ心地よさを、みんな感じてほしいくらい。みんな、お気に入りの傘を持とうよ。そしたら雨の日が今よりちょっと楽しくなるかもしれない。

そしてそれが毎年たくさんの捨てられる透明なビニール傘が減ることにも繋がったらいいなと思う。


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