みなさんの大多数は地上で生活されていると思います。しかし、そんな陸地もかつては海の底だったというのはよく聞く話。
2023.11.04
暦の上ではとっくに秋だというのに、季節外れの陽気に誘われて外で出た。暑いあつい、Tシャツだけで十分なくらいの陽の強さ。だったら無理に外出しないで、家の中で涼んでいればいいじゃないかという、そんな冷静な思考もできないくらい暑い。
暑さをしのぐには、まず水だ。
水といえば海だろう。
よし、そうと決まったら、東中神へ行こう! どうやら、くじらがいるらしいよ。なんとなくの「涼しそうなイメージ」だけを携えて😄
新宿から中央線特快で40分程度。まったく未知のエリアに降り立ち、緊張して歩を進めます。
午前中のまだ早い時間、にもかかわらずこの気温か。先が思いやられるわ🥵
改札を抜け、眼下に広がる駅前ロータリーを見渡します。う~む、ひと気がない。
階下にある案内図で周辺情報を仕入れます。おおまかな位置関係を頭に入れて、さっそく周辺の探索へ移ります。
視線を感じて振り向くと、河童がいました。
地下水供給網が発達しているんだね。こういうところ、もっとアピールすればいいのに。
駅前のほとんどのエリアが、URと都営住宅とで占められています。
そして1Fが店舗、2F以上が居住スペースという、いわゆる下駄履き団地になっています。アーケード商店街の愛称は「くじらロード」。実に涼しげなイラストですね。くじらちゃんの目つきがちょっとアレですけど。
ザ・昭和。店構えや食品サンプルはかなり年季が入っていますが、メニューは美味しそうです。
商店街の一区画にクジラスペースがあり――
なぜここがくじらロードと呼ばれているか、説明がありました。60年以上前にクジラの骨の化石が出土したことがきっかけみたい。
しかし、営業している店舗はあまりに少なく、かなりの割合でシャッターが降りている。
高齢化や人口減少にもってきて、コロナ禍の影響もあったのかな。後継者不足も深刻で、若い人に跡を継いでもらえればいいけれど、そうでなければいずれ店をたたまざるを得ない。
そんなことを考えながら、URの2号棟へやってきました。
Welcome
階段の手すりをすべって遊ぶ子どもがいるようです。イタズラがヤンチャで済まされるのは小学生までです🥴
とにかく一辺が長い!
音量注意!
フジツボのように壁面を覆う室外機の群れ。高さこそ湯島ハイタウンには及ばないが、横の長さでいけばここもなかなか。
階段で行ってもいいんだけれど、まだ先は長い。ここは文明の利器に頼ります。
そして途中階には目もくれず、一気に屋上へ。
「そこ、ウチがいつも使っているんですけど」みたいなことか。これだけたくさんの人が共同生活していると、必ずひとりやふたり出てくるからね。音量注意!
抜けるような青空とはまさにこういうことだね。空気は澄んでいて、穏やかな陽光の下、音もなく風が抜けてゆく。
今の時代では、もはやそういう人もおりますまい。
地上へ戻り、おとなりの昭島玉川町アパートのほうへ向かいます。くじら推しがすごい😵💫
街灯のボディにも。
音量注意!
孫はどっちでしょう。先入観よくない!
洋食屋さんだったようです。食べログにも載っており、軒並み高評価なんだよね。
閉店したのは今年に入ってからのことらしいが、見事なまでに何もない。
豊洲四丁目アパートと同じで、1Fは中庭に面してドアが並ぶ。
全体的に緑が多く、保育園もあります。土曜日だからなのか、子どもたちの声は聞こえません。
公営住宅で壁面に名称がデカデカと書かれているのをたまに見るけど、どういう意図なんだろう?
大規模アパートにふさわしく、がっちりした防火扉が複数枚用意されています。
パースのきいた構図。つきあたりはかすんでよく見えません。途中に階段塔があるのですが、それを加味しても長すぎだろ😅。途中の部屋の住人は、表へ出るにも一苦労だね。
窓のそとでは鳩が飛び交っている。数も半端ない。
ひたすら階段をのぼる。10階くらいまできたところで、屋上が見えてきた。
最上階は天井も高く、荘厳な雰囲気すら感じさせる。
行き止まりの階段を上がったところから。
當屋上……いつの筆だろうか。これ手書きだよね。
屋上は換気口にひっかけて布団が干してあったり、
よくわかんない動物のオブジェがあったり。どういうことなのか。まったく謎である。
見渡せば、あちらこちらに集合住宅が点在しているのがわかる。多摩地域は高度経済成長期に爆発的に増加した東京の労働者の生活基盤をささえるため、ベッドタウンとして1950年代から急速に発展をとげてきた。
さて、エレベータで下に降りよう、と思ったら「愛を死に」。こじらせてんなぁ🤣
地上へ戻り、UR方面に回り込みながら――
ギラつく太陽の下、駅を挟んで反対側を目指します。
実は、駅の反対側に建設中のUR住宅があるんです。それがこの「コンフォール東中神」。重機が入って、ただいま絶賛工事中。先ほどの駅前エリアは再開発の対象となっており、東中神団地はいずれ取り壊し。こちらのコンフォールへの移住を勧められているというわけです。
とはいえ、家賃は据え置きというわけにもいかないでしょう。昭島玉川町アパートはそのまま残ると思うけれど、どのみち老朽化は否めず、いつまで持ちこたえられるのか。そして、URが取り壊された後、くじらロードはどうなってしまうのか😔
あたりを覆うススキの波が、ふと秋を感じさせる。
ひたすらまっすぐ伸びる道を北上し、本日の終着点を目指します。
やってきたのは上砂町一丁目アパート。通称大山団地。高齢化が進むなか、住民の連帯意識を高めることで孤独死ゼロを目指しているという、コミュニティ意識の高い団地です。現時点で全26棟からなるマンモス団地です。ここのエリアはその中のほんの一部。初期の1~13号棟の竣工は1996年11月20日。まだバブルの残り香があった時代です。
何より目を引くのが、この連絡橋。なぜこんなところに? ちょっと脇の階段を上ってみます。
歩を進めるにつれ、建築物の全貌が見えてきました。なんだこれ、えらい複雑なことになってる。
まるで船の甲板にいるみたい。狭く急な階段が上へ続いています。
これがさっき下から見上げた渡り廊下か。
最上段まで上り詰めて、眼下に広がる景色を眺める。どこかで見た景色だと思ったんだけれど、ここ、完全に軍艦島だよね。あるいはマチュピチュ。とにかく天空都市であることは間違いない。
音量注意!
パズルのように入り組んだ、デザイン性の高い建築群。まだ30年も経っていない。
しかし、ところどころにくたびれた表情が見え始めている。
それでも、そこに人の生活があれば、建物は二人三脚で歩んでいけるんだ。
濃い緑のなかにひっそりとたたずむ巨大遺跡のような印象の大山団地。ここは、夏が似合うよ。また来年、かまびすしいセミの声と、照り付ける太陽の下、スポドリ片手にひーひー言いながら😜
小鳥のさえずりがこだまする、のんびり穏やかな昼下がり。
住宅街を抜けて駅へ向かう。朝から歩きっぱなしで足が棒。おまけになにも食べていないから腹ペコで、おなかがグーグーいってます。
注意する気力もないっす😵
ようやく駅に到着。復路は西武線で帰ります。
変化しつづける町があり、団結を強める町がある。世の中が目まぐるしく変わるなかで、何が正解かなんて誰にも分らないし、そんなもの、いつでもひっくり返るんだ。だから、自分たちが信じることをただひたすらに続けるしかない。春が訪れ、夏の盛りを過ぎ――
秋の木枯らしに襟を立て、厳しい冬にふるえながらも、だれにだって次の春は訪れる。でも、それは春を信じて準備をしている人しか気づかないんだ。
くじらの住む町と天空都市と。
それぞれ抱えている問題は異なれど、みんなが視線の先に希望を見据えていれば、季節は巡るのかもしれない😉